大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

文字の大きさ
154 / 212
本文

断念

「ガビの言う通りだ。余が間違っていた」
 前日ルイとガビは、公務を務める部屋でよく話し合った。
 私室に戻ってからは、公務に関する事は一切話さず、互いを癒し合うように、ゆったりとした時間を過ごした。
 寝室では、互いの愛を確かめ合った。
 ガビの真心の優しさが、頑ななルイの心を解してくれた。
 正義の気持ちとは言え、洗脳とも言える教えを受けては、千差万別の現実には、臨機応変に対応できない。
 特に非常時には、正義が衝突することが多い。
 全ての人に公平に正義と慈愛を与える事など出来ない。
 今回の件も、ガビと民を選ぶのか、ダイを選ぶのか、決断しなければいけなかった。
「魔界に行くのを諦めて下さったのですね」
「ああ、魔界に行くのは諦めた。だが、ダイを助ける事を諦めた訳ではない」
「分かっております。ルイ様なら、きっとそう言って下さると、信じていました」
「信じてくれてありがとう」
「その御顔だと、具体的も思い浮かんだのですね」
「ああ、思い浮かんだ。魔晶石使い魔を魔界に送る」
「魔族とスライム討伐に使った魔法石使い魔を、魔界用に改造なされるのですね」
「いや、あれは隣国が攻め込んできた時の為に、国境線に配備しておく」
「では、昨日配給用に処分した魔獣から採った魔晶石を使って、新たな魔晶石使い魔を創り出されるのですか」
「ああ、銅級、鉄級、銀級の魔晶石百万個を魔法陣に組み込んで、金剛石級の使いを創り出す」
「それほどの魔晶石を御持ちなのですか」
「昨日配給に使った魔獣の魔晶石だけで、それほどの量があったのですね」
「ああ、四百万六十人分の食糧だからね」
「金級、白金級、白銀級の魔晶石は使われないのですか」
「その三つを使えば、千個で同じ金剛石使い魔を創り出せるけど、魔力を蓄えておく魔晶石を持っておかなければいけないからね」
「では今日も、一緒に魔境に狩りに行きましょう」
「いや、ガビには他に頼みたいことがあるのだ」
「まぁ、一緒にいたいですが、魔界に行くことを断念してくださったのですから、私も多少の所は諦めないといけませんね」
「ありがとう、ガビ。頼みたいのは、昨日ガビが狩ってくれた、魔獣を売却して欲しいんだ」
「まあ、そうでした。流石に昨日のような狩り方をしてしまったら、直ぐに魔法袋が一杯になってしまいますね」
「そうなのだ。今日は別の魔境で狩りをする心算なのだけれど、ガビの方の魔法袋も軽くして置いて欲しいんだ」
「分かりました。早速手配いたします」
「ただ気を付けておいて欲しいことがあるのだ」
「何でございますか」
「魔獣肉の値段が値下がりし過ぎて、冒険者や狩人の狩った魔獣が、安く買い叩かれないように、相場に気を付けて欲しいのだ」
「そうですね。私達の所為で、困る人が出ては困りますね。飢える人をなくそうとして、新たな難民を生み出したりしたら、本末転倒ですね」
「ああ、頼んだよ」
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

追放された悪役令嬢は、辺境の谷で魔法農業始めました~気づけば作物が育ちすぎ、国までできてしまったので、今更後悔されても知りません~

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リーゼリット・フォン・アウグストは、婚約者であるエドワード王子と、彼に媚びるヒロイン・リリアーナの策略により、無実の罪で断罪される。「君を辺境の地『緑の谷』へ追放する!」――全てを失い、絶望の淵に立たされたリーゼリット。しかし、荒れ果てたその土地は、彼女に眠る真の力を目覚めさせる場所だった。 幼い頃から得意だった土と水の魔法を農業に応用し、無口で優しい猟師カイルや、谷の仲間たちと共に、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。やがて、その成功は私欲にまみれた王国を揺るがすほどの大きなうねりとなり……。 これは、絶望から立ち上がり、農業で成り上がり、やがては一国を築き上げるに至る、一人の令嬢の壮大な逆転物語。爽快なざまぁと、心温まるスローライフ、そして運命の恋の行方は――?

追放令嬢のスローライフ。辺境で美食レストランを開いたら、元婚約者が「戻ってきてくれ」と泣きついてきましたが、寡黙な騎士様と幸せなのでお断り!

緋村ルナ
ファンタジー
「リナ・アーシェット公爵令嬢!貴様との婚約を破棄し、辺境への追放を命じる!」 聖女をいじめたという濡れ衣を着せられ、全てを奪われた悪役令嬢リナ。しかし、絶望の淵で彼女は思い出す。――自分が日本のOLで、家庭菜園をこよなく愛していた前世の記憶を! 『悪役令嬢?上等じゃない!これからは大地を耕し、自分の手で幸せを掴んでみせるわ!』 痩せた土地を蘇らせ、極上のオーガニック野菜で人々の胃袋を掴み、やがては小さなレストランから国をも動かす伝説を築いていく。 これは、失うことから始まった、一人の女性の美味しくて最高に爽快な逆転成り上がり物語。元婚約者が土下座しに来た頃には、もう手遅れです!

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。