大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

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治癒

「ウガァルルゥ」
 最初は暴れ回って抵抗していたダイだが、魔力が尽きて純粋な体力だけとなっていた。
 龍の純粋な体力だから、魔王すら一撃で斃す破壊力だが、余には大した力ではない。
 チャーム・ドレインを放ち続けて、ダイに魔力回復をさせないようにしながら、超龍級治癒魔法の効果が現れるのを待った。
 さすがに龍の身体に魔法の効果を表すには、超龍級の魔力を込めないと無理だ。
 徐々に暴れるのを止めた、龍形態のダイの眼には、理性の光が戻り始めた。
憎しみと破壊衝動しか表していなかった眼が、後悔と羞恥の光を放ち始めた。
「大丈夫か、ダイ」
「…すまん…」
「気にするな」
 狂気に囚われて龍形態になっていても、意識はあったようだ。
 自分がやった事は覚えていて、恥じているようだから、魔界を破壊した事は話題にしないようにしよう。
「魔王だが、確実に殺したのだな。ダイ」
「目の前にある身体は破壊した。それは間違いない」
「微妙な表現だな」
「魔族の中には、身体を分裂させて、本体を生き延びさせる種族がいる」
「それくらいの身体に何個まで分裂させられるのだ」
「色々だ。二分割しかできない種族もいれば、数千数万に分裂する種族もいる」
「全ての分裂体に、元の意識を移す事が出来るのか」
「それも、移せる種族と移せない種族がいる」
「魔王がどの種族か分かるか」
「残念だが、進化し過ぎていて分からない」
「魔王の地位につくほどのモノなら、万が一の時の策は施しているだろうな」
「恐らくは、本来の意識を持った分裂体が、どこかに隠れ潜んでいるはずだ」
 その事を憂慮して、狂気に囚われて龍形態になってしまったダイは、魔界を破壊し続けていたのだな。
「だが、魔界がここまで破壊されたら、生き延びている可能性は低いし、生きていたとしても、元の強さに戻るのは難しいのではないか」
「魔界に本体が隠れているのならそうだが、人間界に潜んでいる可能性もある」
「確かに、数多く分裂できるのなら、人間界にも分裂体を潜ませているだろうな」
「それを全て探し出して滅ぼすのは難しい」
 それで狂気に囚われたのか。
 ダイほどの強者が、そんな精神的な事で、狂気に囚われるだろうか。
 ここは、狂気に囚われた理由を聞く必要があるな。
「それで狂気に囚われたのか」
「いや。情けない話だが、罠にかけられて、思いがけず破壊力の大きな攻撃を受けてしまい、怒りに我を忘れてしまった」
「ダイほどの戦士が、その程度の事で狂気に囚われるモノなのか。何か魔法でも掛けられたのではないのか」
「いや。思い上がっていたのだ。敵を侮り、慢心していたから、思いがけない攻撃を受けて、理性を失ってしまった。情けない限りだ」
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