大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

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三百六十五期作

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「今日も一日で作物を収穫されたのですか」
「ああ。昨日の三倍の収穫量だったよ」
「連作障害は出ないのですか」
「ああ、それは大丈夫だよ。稲や小麦を成長させる前に、豆とクローバーと蕪を植えて収穫しているからね」
「それでは、一枚の畑で、一日に四度の収穫をされたのですか」
「そうだよ」
「非常識も極まりないですね」
「そうだね。本来四年かかる事を、一日で済ますなど、ありえない事だね」
「それを見ている民がいるのですね」
「ああ、周辺の民は皆、唖然として見ていたよ」
「そのような田畑を与えられたら民は、大きな勘違いをしてしまうのではありませんか」
「魔導師の技だと言ってあるから、そう心配する事もないと思うよ」
「多くの魔法使いが、迷惑すると思いますが」
「魔法陣の勉強と、魔力量次第では、再現可能だと思うよ」
「魔界から奪って来る、無尽蔵の魔力と同じだけの魔力を、人間界の魔法使いが確保出来るとは思えません」
「それもそうか」
「まだ明日以降も続けられるのですか」
「魔界で戦ったせいで、魔力の感覚が狂ってしまっているから、色々と弊害はあるだろうけれど、食糧確保が最優先だからね」
「続けられるのですね」
「ああ」
「果物も山のように難民キャンプに届けられたと聞いております」
「全て知っていたのだね」
「ルイ様から国を押し付けられ、民の生活を護るように言われましたから、責任を持って統治させて頂いておりますから、飢えていないかの報告は、毎日届いております」
「そうか。そうだね。ありがとう」
「どういたしまして」
「それで果樹はどうなされたのですか」
「稲や麦と同じだよ」
「魔法で成長を早められたのですか」
「ああ。魔力が無尽蔵にあって、働き手の魔晶石使い魔もいるからね」
「しかし光合成だけでは、美味しい果樹を実らせることは出来ないですよね」
「それも魔法を使って解決しているよ」
「魔晶石使い魔を使って、どこかから肥料となるモノを運ばせておられるのですか」
「ああ。魔境やダンジョンはもちろん、海底や湖底からも栄養豊かな土を集めさせているよ」
「それほど魔晶石使い魔を扱使ったら、いくら何でも魔力が足らなくなりませんか」
「金剛石級魔晶石使い魔と玉鋼級魔晶石使い魔は、この世界と魔界の間を、一日何往復もさせているからね」
「使い魔遣いの粗い事ですね」
「魔族の所為で困窮している人が落ち着くまでだよ。魔族には、自分の行った事の責任を取ってもらわなければいけない」
「だから、魔界の魔力を収奪しても構わないと考えておられるのですね」
「ああ。だが、永遠に奪おうとは思わない。人々が落ち着いたら、この世界の理に応じた生活をしてもらうよ」
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