大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

文字の大きさ
194 / 212
本文

陶芸村2

「巡検使様。私こそが、十三代目に相応しいのです」
「いえ、巡検使様。私の焼き物の方が、女王陛下に相応しいです」
「兄たちに才能はありません。私こそが相応しいのです」
「うるさい。そんなに大声を出さないでも聞こえている。
 陶芸村に入ると、村長の家の家督争いに巻き込まれてしまった。
 普通の村なら、長幼の序に従って、兄に継がせればすむ。
 いや、すむと言うよりは、そうしないと色々家督争いが激しくなる。
 だが陶芸村の場合は、優秀な焼き物を創り出せないと話にならない。
 本来ならば、現当主が厳正に才能を見極めて、次代の当主を決めるべきなのだ。
 ところが、魔族と馬鹿王女によって引き起こされた戦争で、当主が殺されてしまったのだ。
 当主だけでなく、多くの優秀な陶工が非業の最期を迎えていた。
 生き残った者達の中から、次代の当主を決めなければならない。
 ここに莫大な利権が絡んでしまった。
 戦争で高価な焼き物が失われてしまっていた。
 多くの愛好家が、失った焼き物を欲しているのだ。
 先にも書いたが、多くの優秀な陶工が殺されてしまっている。
 焼き物の値段は鰻登りだ。
 商人が財力にモノを言わせて買い占めている。
 焼けば焼くほど儲かるのだ。
 殺された当主の息子達が、跡目を争うのも人の業と言えるかもしれない。
 だが問題は、生き残った三人の息子達は、平凡な才能だと言う事だ。
「もう一度、一世一代の皿を焼いてもらおう。この程度の焼き物では、女王様に御渡しする事など出来ない」
「そんな」
「それでは、王室御用達の看板を下ろせと言う事ですか」
「大損してしまいます」
「店が潰れてしまいます」
 大儲けしようと、三人の息子についていた商人達が、真っ青になっている。
 まあ当然だろう。
 先行投資で買い占め、どんどん焼かせていた陶磁器が、全て二束三文の廉価品になってしまうのだから。
 先代までは王家に献上していたのに、当代になって献上出来なくなったとなれば、名声は地に落ち価格が大暴落するのは必至だ。
 だが余としても、このように不出来な焼き物を、王家のパーティーで使う訳にはいかない。
 個人的に旅先で使う皿は、割れない金属製や木製品だ。
 陶磁器を使うのは、公式な行事に限られる。
 自国や他国の王侯貴族を招いた席で、これほど不出来な陶磁器を使用したら、ガビが恥をかいてしまう。
「下郎共の金儲けの為に、女王陛下にこのような不出来な陶磁器を使わせろと言うのか。女王陛下が恥をかく事になったら、下郎共の一族一門皆殺しになると心得よ」
 余の怒声を受けて、商人どもはもちろん、三人の次期当主候補も恐怖で震えあがっている。
 これで少しでもましなモノが出来上がればいいが、そうでなければ、陶磁器はベルト王国から取り寄せよう。
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

追放された悪役令嬢は、辺境の谷で魔法農業始めました~気づけば作物が育ちすぎ、国までできてしまったので、今更後悔されても知りません~

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リーゼリット・フォン・アウグストは、婚約者であるエドワード王子と、彼に媚びるヒロイン・リリアーナの策略により、無実の罪で断罪される。「君を辺境の地『緑の谷』へ追放する!」――全てを失い、絶望の淵に立たされたリーゼリット。しかし、荒れ果てたその土地は、彼女に眠る真の力を目覚めさせる場所だった。 幼い頃から得意だった土と水の魔法を農業に応用し、無口で優しい猟師カイルや、谷の仲間たちと共に、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。やがて、その成功は私欲にまみれた王国を揺るがすほどの大きなうねりとなり……。 これは、絶望から立ち上がり、農業で成り上がり、やがては一国を築き上げるに至る、一人の令嬢の壮大な逆転物語。爽快なざまぁと、心温まるスローライフ、そして運命の恋の行方は――?

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。