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本文
悪漢の村2
「直ぐ逃げた方がいい」
「何です。貴方はあいつらの仲間ではないのですか」
「ここで生きていくためには仕方がないんだよ」
「そうですか。ですが我々も士族です。ならず者ごときに背中を見せるわけにはいきません」
「だがあいつらのバックには、貴族がいるという噂だ。突っ張らずに逃げた方がいい」
宿屋の店主は、まだ良心を残しているようだ。
色々と悪事に手を貸してきたのだろうが、生きていくために仕方がなかったのだろう。
家族もいるだろうし、力ない者なら、そういう生き方もあるだろう。
まあ、ここで迎え撃っても、村の外で迎え撃っても、やる事は変わらない。
「分かった。店主の諫言に従おう」
「逃げるのなら、一つ頼みがある」
「なんだ」
「子供を連れて行ってくれないか」
「パパ」
さっきの騒動の間、店主の背中に隠れていた少女が、驚いてように店主の顔を見た。
娘か小女か分からなかったが、どうやら実の娘のようだ。
何故連れて逃げてくれと言うのか、大方の想像は出来るが、念のために確認しておこう。
「何故娘を逃がす」
「この子もだいぶ大きくなった。このままでは亡くなった妻のように、無理矢理客をとらされる。客がいない時は、あいつらの嬲り者にされてしまう」
店主は、血を吐くような様子で、事情を話した。
娘の顔は、運命だと諦めたような、見る者を奈落に落とすような、どうにも正視出来ない表情をしている。
こりゃ駄目だ。
幼い子供のこのような表情をみたら、ガビが黙っているはずがない。
それにしても、このような幼い子に無理矢理客を取らせるとは、質が悪いにも程がある。
「分かりました。私達が責任を持って預かりましょう」
今迄黙っていたガビが初めて口を開いた。
「ありがとうございます。これは些少ですが、御礼です」
「そんな物はいりません」
「ですが、娘は足手纏いになります」
店主にすれば、足手纏いになったからと囮に使われたり、逃げ切った後で、別の色町で売られたりするのが心配なのだろう。
実際問題、前王家王国の統治下では、それが当たり前の姿だったのだろう。
そんな危険を知った上でも、この村から逃がす方が、まだ僅かでも娘が助かる可能性が高いと判断したのだろう。
そしてこれも僅かな可能性だが、御金を渡す事で、士族の誇りにかけて護ってくれるかもしれないという、奇跡にかけたいのだろう。
「我らは高貴な者の誇りにかけて約束した。だから命にかけて約束は守る。この娘は私の侍女にする。行儀見習いだから給金は与えないが、家臣として庇護を約束する」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます」
ああ、ガビの母性が溢れ出してしまった。
店主は感謝して土間に土下座している。
娘は何が起こったのか分からず、キョトンとしている。
行儀見習いの侍女か。
嫁入り先まで世話しないといけないのだろうな。
「何です。貴方はあいつらの仲間ではないのですか」
「ここで生きていくためには仕方がないんだよ」
「そうですか。ですが我々も士族です。ならず者ごときに背中を見せるわけにはいきません」
「だがあいつらのバックには、貴族がいるという噂だ。突っ張らずに逃げた方がいい」
宿屋の店主は、まだ良心を残しているようだ。
色々と悪事に手を貸してきたのだろうが、生きていくために仕方がなかったのだろう。
家族もいるだろうし、力ない者なら、そういう生き方もあるだろう。
まあ、ここで迎え撃っても、村の外で迎え撃っても、やる事は変わらない。
「分かった。店主の諫言に従おう」
「逃げるのなら、一つ頼みがある」
「なんだ」
「子供を連れて行ってくれないか」
「パパ」
さっきの騒動の間、店主の背中に隠れていた少女が、驚いてように店主の顔を見た。
娘か小女か分からなかったが、どうやら実の娘のようだ。
何故連れて逃げてくれと言うのか、大方の想像は出来るが、念のために確認しておこう。
「何故娘を逃がす」
「この子もだいぶ大きくなった。このままでは亡くなった妻のように、無理矢理客をとらされる。客がいない時は、あいつらの嬲り者にされてしまう」
店主は、血を吐くような様子で、事情を話した。
娘の顔は、運命だと諦めたような、見る者を奈落に落とすような、どうにも正視出来ない表情をしている。
こりゃ駄目だ。
幼い子供のこのような表情をみたら、ガビが黙っているはずがない。
それにしても、このような幼い子に無理矢理客を取らせるとは、質が悪いにも程がある。
「分かりました。私達が責任を持って預かりましょう」
今迄黙っていたガビが初めて口を開いた。
「ありがとうございます。これは些少ですが、御礼です」
「そんな物はいりません」
「ですが、娘は足手纏いになります」
店主にすれば、足手纏いになったからと囮に使われたり、逃げ切った後で、別の色町で売られたりするのが心配なのだろう。
実際問題、前王家王国の統治下では、それが当たり前の姿だったのだろう。
そんな危険を知った上でも、この村から逃がす方が、まだ僅かでも娘が助かる可能性が高いと判断したのだろう。
そしてこれも僅かな可能性だが、御金を渡す事で、士族の誇りにかけて護ってくれるかもしれないという、奇跡にかけたいのだろう。
「我らは高貴な者の誇りにかけて約束した。だから命にかけて約束は守る。この娘は私の侍女にする。行儀見習いだから給金は与えないが、家臣として庇護を約束する」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます」
ああ、ガビの母性が溢れ出してしまった。
店主は感謝して土間に土下座している。
娘は何が起こったのか分からず、キョトンとしている。
行儀見習いの侍女か。
嫁入り先まで世話しないといけないのだろうな。
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