2 / 7
第一章
第2話:厳罰
しおりを挟む
「ウラント公爵家長男スルト、その所業は貴族として許し難し!
よって貴族の権利を剥奪し、庶民として神殿奴隷とする。
この事はウラント公爵キレル卿も納得の事である」
ウラント公爵キレル卿も、流石に今回の件では息子を庇いきれませんでしたね。
ですがそれも当然です、ひとつ間違いがあれば、スルトの子供がリャノン公爵家の後継者になっていた可能性があるのです。
今回は莫大な賠償金ですみましたが、リャノン公爵ジリド卿が強硬に出れば、スルトをこの場で殺すことになっていたでしょう。
奴隷に落とされるとはいえ、命が助かっただけでも運がいいのです。
いえ、リャノン公爵ジリド卿が若ければ、公爵家同士の戦争になっていました。
その時は、全ての王侯貴族がリャノン公爵家の味方をしていたでしょう。
こんな破廉恥な方法で家の乗っ取りを図ったのです、誰もウラント公爵の味方はしませんし、水に落ちた犬は叩けの諺通り、全ての王侯貴族がウラント公爵家を潰す好機と見たでしょう。
今回はウラント公爵キレル卿がなりふり構わず頭を下げて詫びた事と、王家と有力貴族家に金を積んで味方につけた事、更にはリャノン公爵ジリド卿の怒りが裏切った後妻のギネビアに向かった事で、戦争にまでは至りませんでした。
ですが、これでウラント公爵家の没落は確定です。
「元ウラント公爵家長男スルトの妻ノヴァ嬢。
貴女の白の結婚だという訴えは、修道女の調べて証明された。
スルトとの結婚はなかった事とし、ノヴァ嬢が乙女であることを裁判所が証明するので、安心するがいい」
「ありがとうございます」
私の実家、ゴルドン伯爵家が今回の件で強硬に出なかったのは、私の今後を考えてくれたからです。
スルトの妻であった事にして、スルトの不貞を理由にウラント公爵家から賠償金を手に入れた方がいいのか、それとも乙女であることを証明して、今後の結婚に賭けた方がいいのか、私の希望を聞いてくれたのです。
金銭的な利益だけを考えれば、スルトの妻で裏切られたことにした方が、賠償金は多くもらえたと思います。
ですが、私は、スルトの元妻と言われる事に耐えられません。
そんな不名誉な事に耐えられるほど恥知らずではありません。
ですから、スルトとの結婚は無効であった事にしてもらったのです。
ですが、それでも、全く賠償されなかったわけではありません。
スルトとギネビアの不貞を現場を見て取り押さえた、私を味方にする事。
大将軍の地位にある父上、ゴルドン伯爵カレブ卿を味方につける事は、スルトを助命するうえで大切な事でした。
だから私に、ウラント公爵家の従属爵位であるブラント男爵位を、賠償金として譲渡すると言ってきました。
父上はそれだけでは納得されず、激しく交渉され、男爵領に相応しい領地と小古城、更には大魔境の狩猟権を私のために確保してくださいました。
いえ、本当は私のためではありませんね。
本腰を入れて大魔境を探索したいと言っておられた父上が、自分の欲望を剥き出しにして交渉されたのです。
まあ、それは私も同じです。
腐り果てたスルトとの政略結婚を認めたのも、大魔境で狩りがしたかったからですから、父上の事を笑える立場ではありません。
今日中に旅装を整えて、明日の早朝には領地に行きましょう。
よって貴族の権利を剥奪し、庶民として神殿奴隷とする。
この事はウラント公爵キレル卿も納得の事である」
ウラント公爵キレル卿も、流石に今回の件では息子を庇いきれませんでしたね。
ですがそれも当然です、ひとつ間違いがあれば、スルトの子供がリャノン公爵家の後継者になっていた可能性があるのです。
今回は莫大な賠償金ですみましたが、リャノン公爵ジリド卿が強硬に出れば、スルトをこの場で殺すことになっていたでしょう。
奴隷に落とされるとはいえ、命が助かっただけでも運がいいのです。
いえ、リャノン公爵ジリド卿が若ければ、公爵家同士の戦争になっていました。
その時は、全ての王侯貴族がリャノン公爵家の味方をしていたでしょう。
こんな破廉恥な方法で家の乗っ取りを図ったのです、誰もウラント公爵の味方はしませんし、水に落ちた犬は叩けの諺通り、全ての王侯貴族がウラント公爵家を潰す好機と見たでしょう。
今回はウラント公爵キレル卿がなりふり構わず頭を下げて詫びた事と、王家と有力貴族家に金を積んで味方につけた事、更にはリャノン公爵ジリド卿の怒りが裏切った後妻のギネビアに向かった事で、戦争にまでは至りませんでした。
ですが、これでウラント公爵家の没落は確定です。
「元ウラント公爵家長男スルトの妻ノヴァ嬢。
貴女の白の結婚だという訴えは、修道女の調べて証明された。
スルトとの結婚はなかった事とし、ノヴァ嬢が乙女であることを裁判所が証明するので、安心するがいい」
「ありがとうございます」
私の実家、ゴルドン伯爵家が今回の件で強硬に出なかったのは、私の今後を考えてくれたからです。
スルトの妻であった事にして、スルトの不貞を理由にウラント公爵家から賠償金を手に入れた方がいいのか、それとも乙女であることを証明して、今後の結婚に賭けた方がいいのか、私の希望を聞いてくれたのです。
金銭的な利益だけを考えれば、スルトの妻で裏切られたことにした方が、賠償金は多くもらえたと思います。
ですが、私は、スルトの元妻と言われる事に耐えられません。
そんな不名誉な事に耐えられるほど恥知らずではありません。
ですから、スルトとの結婚は無効であった事にしてもらったのです。
ですが、それでも、全く賠償されなかったわけではありません。
スルトとギネビアの不貞を現場を見て取り押さえた、私を味方にする事。
大将軍の地位にある父上、ゴルドン伯爵カレブ卿を味方につける事は、スルトを助命するうえで大切な事でした。
だから私に、ウラント公爵家の従属爵位であるブラント男爵位を、賠償金として譲渡すると言ってきました。
父上はそれだけでは納得されず、激しく交渉され、男爵領に相応しい領地と小古城、更には大魔境の狩猟権を私のために確保してくださいました。
いえ、本当は私のためではありませんね。
本腰を入れて大魔境を探索したいと言っておられた父上が、自分の欲望を剥き出しにして交渉されたのです。
まあ、それは私も同じです。
腐り果てたスルトとの政略結婚を認めたのも、大魔境で狩りがしたかったからですから、父上の事を笑える立場ではありません。
今日中に旅装を整えて、明日の早朝には領地に行きましょう。
0
あなたにおすすめの小説
理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら
赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。
問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。
もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
夢を現実にしないための正しいマニュアル
しゃーりん
恋愛
娘が処刑される夢を見た。
現在、娘はまだ6歳。それは本当に9年後に起こる出来事?
処刑される未来を変えるため、過去にも起きた夢の出来事を参考にして、変えてはいけないことと変えるべきことを調べ始める。
婚約者になる王子の周囲を変え、貴族の平民に対する接し方のマニュアルを作り、娘の未来のために頑張るお話。
こうして私は悪魔の誘惑に手を伸ばした
綴つづか
恋愛
何もかも病弱な妹に奪われる。両親の愛も、私がもらった宝物もーー婚約者ですらも。
伯爵家の嫡女であるルリアナは、婚約者の侯爵家次男ゼファーから婚約破棄を告げられる。病弱で天使のような妹のカリスタを抱き寄せながら、真実の愛を貫きたいというのだ。
ルリアナは、それを粛々と受け入れるほかなかった。
ゼファーとカリスタは、侯爵家より譲り受けた子爵領へと移り住み、幸せに暮らしていたらしいのだが。2年後、『病弱』な妹は、出産の際に命を落とす。
……その訃報にルリアナはひっそりと笑みを溢した。
妹に奪われてきた姉が巻き込まれた企みのお話。
他サイトにも掲載しています。※ジャンルに悩んで恋愛にしていますが、主人公に恋愛要素はありません。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる