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第一章
第8話:子供
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いやあ、思いっきり制限なしで魔術を放つのがこれほど気持ちいいとわ。
もう、手当たり次第といった感じで超広範囲攻撃魔術を放ち続けた。
一ケ所で魔術を放ったら、狩った魔物を魔法袋と名付けた亜空間に放り込む。
俺の魔力なら、時間停止をさせた状態で無制限に獲物を保管できる。
だから、狩った魔物も伐採した魔樹も、手あたり次第魔法袋に放り込んだ。
貧乏性だと言われるだろうが、学校給食以外食べられなかった影響かな。
夢中になった俺は、大魔境の境界に沿って移動した。
移動しては超広範囲攻撃魔術を放ち、獲物を魔法袋に蓄える。
時間を忘れるくらい熱中してしまい、延々とそれを繰り返した。
ようやく自分を取り戻したのは、陽が暮れかけた時間だった。
朝食直後に大魔境監視城に移動したから、ほぼ一日やっていたようだ。
昼食を抜いて、夕食の時間になって、空腹になって自分を取り戻せたようだ。
「イーライ様は本当にモノを大切になされますね。
わたくしが素材を気にしないで魔術訓練をしてくださいと申し上げましたのに、最小の傷で魔物を狩り続けられました」
セバスチャンはずっと俺に付き合ってくれていたのだな。
にこにこと笑いながら、本当にうれしそうに話しかけてくれる。
俺が成長した事を喜んでくれているのだろうか。
それならうれしいな、恥ずかしくてお礼を口にできないけど、本当にうれしい。
だけど、褒めながら貧乏性を揶揄うのは止めてくれ、文句が言えなくなる。
「ああ、モノは大切に扱わないといけないからな。
それよりも、悪かったな、ずっと見守らせてしまって。
これだけ長く付き合わせてしまったら、明日から仕事が大変じゃないのか」
公爵家のほぼ全てを見守っているセバスチャンは恐ろしく忙しい。
最近は若手も育っているようだが、その若手の仕事も見守っている。
何時寝ているのか心配になるくらい忙しく働いている。
それなのに、俺の養育のためなら時間を惜しまずに付き合ってくれるのだ。
「ご心配には及びませんよ、イーライ様。
今日は長くかかると思っていた事が簡単に片付きましたから。
それに、公爵家の大掃除ができましたら、余計な仕事が一気になくなります」
城代たちを俺が眠らせた事を言っているのだろうな。
俺がセバスチャンの役に立てたのなら、うれしいな。
「では最後の狩りをして城に戻りましょう、イーライ様。
公爵閣下と奥方様がお帰りを待っておられますよ」
確かにその通りだ、父上と母上が心配してくださっている。
セバスチャンが父上に全てを説明してくれたが、捕らえた謀叛人を父上にお渡ししたのだ、とても忙しくしておられるはずだ。
それに、そんな状況で、説明したとはいえ魔術訓練で長時間留守にしたら、とても心配してくださるだろうな。
さっきは狩りがしたくて気が回らなかったけど、とんでもない事をしてしまった。
「いや、もう魔術は十分使ったから、直ぐに城に帰ろう」
俺はそう言って城に帰ろうとしたのだが、展開していた探索魔術に反応があった。
明らかに人と分かる反応が、魔物と分かる反応に追われている。
セバスチャンに説明している時間もない、と思った瞬間には駆けだしていた。
セバスチャンを置いていくと心配するから、念動魔術で浮かせて連れ行った。
信じられない事に、大魔境の中に子供がいた。
ゴブリンと呼ばれている人型の魔物たちに襲われていた。
(超広範囲小火弾)
無詠唱で魔術を放つ事にしているので声には出さない。
大声で魔術の言葉を叫ぶなど恥ずかし過ぎてできない。
それに、セバスチャンが呪文を声に出すのは不利だと言っていた。
敵が老練な魔術だと、呪文の頭でどんな魔術で攻撃するか理解して、対抗する魔術を放つらしい。
「こちらに来なさい、大丈夫、助けてあげるから」
ボロボロの、いや、とても服とは言えないような布切れで僅かに身体を隠している少女が、怯えて座り込んでいた。
もう、手当たり次第といった感じで超広範囲攻撃魔術を放ち続けた。
一ケ所で魔術を放ったら、狩った魔物を魔法袋と名付けた亜空間に放り込む。
俺の魔力なら、時間停止をさせた状態で無制限に獲物を保管できる。
だから、狩った魔物も伐採した魔樹も、手あたり次第魔法袋に放り込んだ。
貧乏性だと言われるだろうが、学校給食以外食べられなかった影響かな。
夢中になった俺は、大魔境の境界に沿って移動した。
移動しては超広範囲攻撃魔術を放ち、獲物を魔法袋に蓄える。
時間を忘れるくらい熱中してしまい、延々とそれを繰り返した。
ようやく自分を取り戻したのは、陽が暮れかけた時間だった。
朝食直後に大魔境監視城に移動したから、ほぼ一日やっていたようだ。
昼食を抜いて、夕食の時間になって、空腹になって自分を取り戻せたようだ。
「イーライ様は本当にモノを大切になされますね。
わたくしが素材を気にしないで魔術訓練をしてくださいと申し上げましたのに、最小の傷で魔物を狩り続けられました」
セバスチャンはずっと俺に付き合ってくれていたのだな。
にこにこと笑いながら、本当にうれしそうに話しかけてくれる。
俺が成長した事を喜んでくれているのだろうか。
それならうれしいな、恥ずかしくてお礼を口にできないけど、本当にうれしい。
だけど、褒めながら貧乏性を揶揄うのは止めてくれ、文句が言えなくなる。
「ああ、モノは大切に扱わないといけないからな。
それよりも、悪かったな、ずっと見守らせてしまって。
これだけ長く付き合わせてしまったら、明日から仕事が大変じゃないのか」
公爵家のほぼ全てを見守っているセバスチャンは恐ろしく忙しい。
最近は若手も育っているようだが、その若手の仕事も見守っている。
何時寝ているのか心配になるくらい忙しく働いている。
それなのに、俺の養育のためなら時間を惜しまずに付き合ってくれるのだ。
「ご心配には及びませんよ、イーライ様。
今日は長くかかると思っていた事が簡単に片付きましたから。
それに、公爵家の大掃除ができましたら、余計な仕事が一気になくなります」
城代たちを俺が眠らせた事を言っているのだろうな。
俺がセバスチャンの役に立てたのなら、うれしいな。
「では最後の狩りをして城に戻りましょう、イーライ様。
公爵閣下と奥方様がお帰りを待っておられますよ」
確かにその通りだ、父上と母上が心配してくださっている。
セバスチャンが父上に全てを説明してくれたが、捕らえた謀叛人を父上にお渡ししたのだ、とても忙しくしておられるはずだ。
それに、そんな状況で、説明したとはいえ魔術訓練で長時間留守にしたら、とても心配してくださるだろうな。
さっきは狩りがしたくて気が回らなかったけど、とんでもない事をしてしまった。
「いや、もう魔術は十分使ったから、直ぐに城に帰ろう」
俺はそう言って城に帰ろうとしたのだが、展開していた探索魔術に反応があった。
明らかに人と分かる反応が、魔物と分かる反応に追われている。
セバスチャンに説明している時間もない、と思った瞬間には駆けだしていた。
セバスチャンを置いていくと心配するから、念動魔術で浮かせて連れ行った。
信じられない事に、大魔境の中に子供がいた。
ゴブリンと呼ばれている人型の魔物たちに襲われていた。
(超広範囲小火弾)
無詠唱で魔術を放つ事にしているので声には出さない。
大声で魔術の言葉を叫ぶなど恥ずかし過ぎてできない。
それに、セバスチャンが呪文を声に出すのは不利だと言っていた。
敵が老練な魔術だと、呪文の頭でどんな魔術で攻撃するか理解して、対抗する魔術を放つらしい。
「こちらに来なさい、大丈夫、助けてあげるから」
ボロボロの、いや、とても服とは言えないような布切れで僅かに身体を隠している少女が、怯えて座り込んでいた。
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