婚約破棄戦争

克全

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2章

18話

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 イーヴィンが使った矢の鏃は、鏃の部分が二股になってる、狩猟用のモノです。
 大雁股と呼ばれる、手の平くらいある大きな鏃で、別名頚落としと呼ばれるほどの鏃なのです。
 その矢を使って、狙って子爵の腕を射落としたのです。

 イーヴィンの腕前を見た者は、逃げようとは思わないでしょう。
 背中を見せた途端、矢で頚を射落とされてしまいます。
 もはや誰も何も言わず、一歩も動かないです。
 ただ、痛みに泣き叫ぶオハラ子爵の声が響くだけです。

「問答無用。
 キアン・オハラとスミス・ドゥリスコルを連れてこい。
 さもなくば、この城にいる者を殺し尽くす。
 武舞姫の異名に誓って断じて行う!」

 人は卑怯なモノです。
 今迄散々キアン・オハラとスミス・ドゥリスコルに媚びへつらっていた家臣達が、今度は姫様に媚びへつらい、オハラ子爵、キアン・オハラ、スミス・ドゥリスコルに襲い掛かりました。

 ドゥリスコル一族は抵抗しました。
 私が姫様の嬢子団に加わっている以上、絶対に許されないと思ったのでしょう。
 死に物狂いで抵抗しました。
 ですが、相手になる訳がないのです。

 私達は猛獣とも言えるギャラハー馬にまたがっているのです。
 馬上の騎士と徒士では全く勝負にならないのです。
 実力以前の問題で、馬上の騎士が圧倒的に有利なのです。
 その上で、実力も段違いなのです。

 姫様を護る嬢子団は、コナン王が姫様の為に厳選した一騎当千の戦士です。
 忠誠心は当然の事として、どれほど名門の譜代家臣家の出身でも、実力の伴わない者は入団が許されないのです。
 一方私のような訳有りの流れ者でも、実力を認められたら幹部に登用して頂けるのです。

 そんな嬢子団に、父上亡き後に腐ったオハラ子爵家の者が、敵う訳がないのです。
 ですが、腐った者同士の戦いは無様です。
 命惜しさに、へっぴり腰で戦うのです。
 見苦しい事この上ありません。

「ベイタ。
 正々堂々と一騎討ちをやりなさい。
 立ち合いは私達がやってあげます」

「ありがとうございます」

「許してくれぇぇえ。
 私じゃないんだぁ。
 家臣達が勝手にやった事なんだぁ。
 私は悪くないんだよぉ」

「情けない奴です。
 構いません。
 かかって来なければ嬲り殺しにしなさい」

「はい」

 キアン・オハラとスミス・ドゥリスコルは、情けなくも地べたに這いつくばって言い訳しています。
 しかし、そのようなたわごとを聞く必要はありません。
 父上様、母上様、弟妹の敵を討つために、ただでは殺しません。



★★★
御願いします。
ザマァに特化した新作「聖女は教会に裏切られ、王子達に輪姦され、奈落の底に落とされました。」を読んでください。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/672198375/805309960
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