妹に婚約者の王太子を寝取られた公爵令嬢は、辺境の飛び地に隠棲することになりましたが、実は精霊の愛し子だったのです。

克全

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3話

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「やあ、初めまして。
 僕は大地の精霊ベヒモスだよ。
 君のような人間に出会えるとは思ってもいなかったよ。
 これからは仲良くやっていこうね!」

 刺客に襲われる心配がなくなって、やっと熟睡できるようになったと思ったのに、また連日悪夢にうなされるのでしょうか?
 しかも今日は上位精霊まで悪夢に出てきました。
 今日はどんな殺され方をするのでしょうか?
 
「もうそんな心配はいらないよ!
 人間ごときに君を襲わせたりはしないよ。
 それに君は眠っているわけではないよ。
 ちゃんと目覚めているよ。
 起きて僕と話しているんだよ」

 今日の悪夢はいつも以上に現実的です。
 いえ、悪夢はいつも現実的でした。
 拷問される夢では現実に拷問されているような痛みを感じました。
 襲われる夢では心底恐怖を感じました。
 何とか逃げ切って眼が覚めた時には、心臓が爆発するかと思うくらい激しく動悸していました。

「本当にもう大丈夫だって。
 君にかけられていた呪いは完全に払っておいたよ。
 人間がかけたにしては綿密で強いん呪いだったけど、僕にとっては児戯さ。
 払ったついでに、術者に三倍の呪いを返しておいたよ。
 もちろん術者の記憶をしらべて、依頼した人間にも三倍の呪いを返しておいたよ。
 確実に死んだことを確認しておいたから、もう何の心配もいらないよ」

 これは、夢ですよね?
 マクリントック公爵家が全力をかけて施した、私への護りが全く効果なかったというのですか?

「そうではないよ。
 効果があったからこそ、君は今まで生きてこれたのさ。
 だけど護るだけでは駄目なのさ。
 何度も手を変え品を変えて繰り返し呪いをかければ、護りの小さな穴や綻びを見つけられるモノなのさ」

 そうですか。
 それなら理解でいます。
 私が王太子の婚約者候補に選定された時から、呪いを試し続けていたのですね。
 ああ、いけません。
 こんな悪夢を本気で信じてしまっています。
 早く眼を覚まさないと、恐怖や痛みを感じてしまったら、心臓に負担がかかってしまいます。

「だあかあらあ、もう大丈夫なんだよ。
 君の心臓も癒しておいたから、もう乳母に心配かけないように、無理して隠すことはないんだよ。
 こういう場合は直ぐに周りに相談しないといけないよ。
 相談していれば、呪いを防ぐことも返すこともできたんじゃないかな」

 私が、悪かったのですか?
 ちゃんと相談していれば、あんなに怖い思いも、痛い思いもしなくてよかったのですか?

「そうだよ。
 忘れちゃいけないよ。
 自分を愛してくれている人を本当に大切に思うのなら、全てを相談しないと、何かあったら、その人が自分を攻め苦しむからね。
 だからね、僕に全てを打ち明けてよ。
 僕は君を心から大切に思っているからね!」
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