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第二章貴族偏

決死

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 この時のために、とても高価な真銀を槍の素材に使っているのです。
 最も魔力伝道の高い真銀を使う事で、魔法書の効果を高めるつもりだったのです。
 物理攻撃力と物理防御力のために、属性竜の牙と骨と革を主要に使っていますが、これを固め安定させる素材として、鉄や銅ではなく真銀を使っているのです。
 いま、その成果を確かめるのです!

「ギャアアアアア!」

 属性竜が耳をつんざく悲鳴をあげました。
 即死はさせられませんでしたが、かなりダメージを与えられたようです。
 ですが、私もただでは済みませんでした。
 属性竜が激烈な攻撃魔法を叩きつけてきたのです。

 眼に見えない攻撃魔法を、殺気だけを頼りにギリギリ避けました。
 普通なら避けられない攻撃ですが、なぜか避けられました。
 これが死力なのかも知れませんが、次の属性竜の攻撃は避けられませんでした。
 ただの攻撃ではなく、防御魔法を広く大きく展開して、私が避けられないようにしてきたのです。

 強力な魔法壁を叩きつけられた衝撃に、私の防御魔法は脆くも破壊されました。
 魔法書を使った五重の防御魔法が、次々と破壊されるわずかな時間に、私はできるだけ属性竜から離れようとしました。
 
 しかし逃げ切る事ができなくて、魔法書を使って防御力を強化した属性竜鱗骨革鎧が、脆くも音を立てて破壊されました。
 属性竜鱗骨革鎧の下に着ていた、柔らかく加工した属性竜の革製鎧下など、全く役に立ちませんでした。

 ボキリボキリという音とともに、属性竜の方に向けた左上腕と左前腕が折れ、痛みはともかく腕が使えなくなりました。
 反射的に槍を手放すしかありませんでした。
 攻撃手段を手放すことは死に直結しますが、今はケガを直す方が優先します。
 ですが、槍を手放すよりも早く、左側の肋骨が次々と折れました。

 信じられないですが、現実を受け入れるしかありません。
 防御魔法を付与して強化した属性竜鱗骨革鎧が、左腕を犠牲にして一度攻撃を受け止めて、その後で左胸部で受け止めたのに、胸部まで破壊されてしまったのです。
 肺が潰される感覚が、死を意識させます。

 治癒魔法の魔法書を使って、回復しようとしましたが、間に合わないです。
 せめて一太刀。
 もう一太刀属性竜に叩きこんでやりたい!
 私に遠距離攻撃をする方法があれば!
 私に攻撃魔法を使う事ができたら!
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