持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

皇室の決定

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「今日は解散する前に少々話さねばならない事がある。
 狩りはいつもより一時間早く終わってくれ」

 役目を果たすために、いつも通り早朝に集まった私達に、ヨジップ殿下が真剣な表情で話しかけられます。
 正直少々不安になり、表情が引き締まります。
 私だけでなく、他の人達の表情も引き締まります。
 どう考えても、私がヨジップ殿下のプロポーズを断った件です。

 不安ではありますが、私には鈍感力があります。
 他の方々は動きが少し鈍っていましたが、私は普通に動けました。
 ドウラさんやジョージ様まで、わずかに動きが悪くなっています。
 人間多くの物を手に入れると、守るモノができてしまい、以前のように生きていけなくなるというのは、本当の事なのだと思い知りました。

 それとも、以前の大陸逃亡話の時も、ドウラさんやジョージ様は、同じように動きが悪きなっていたのでしょうか?
 格段に身体強化された事で、私の眼力が鍛えられたのでしょうか?
 身体強化ではなく、経験が積み重ねられたからでしょうか?

「率直な話をすると、皇室による大陸支配をどうするかという問題だ。
 君達の忠誠心を疑うわけではないが、疑わなければいけないのが皇族だ。
 そこで政略結婚をしてもいいと言う者は返事をしてくれ。
 今いる正室を側室に落とせと命じて、家庭に問題を引き起こし、皇室に恨みを持たれては逆効果なので、正室複数制で構わない。
 今いる正室を皇族と同等に遇してくれて構わない。
 それなら政略結婚に応じると言う者は誰だ?」

 なんと率直な話しをなされるのですね。
 ああ、それも仕方ないですね。
 私達は生粋の貴族ではありません。
 純粋な貴族のように、迂遠な会話や腹芸などできません。
 冒険者として生きてきたので、できるだけ短く分かり易い言葉を使わないと、急場に役に立たずに死んでしまうのですから。

「ひとつ質問させていただきます。
 当然の話ですが、私やドウラが、今更この歳で皇族と政略結婚するわけではないですよね?
 城伯家の後継者と政略結婚させるという事ですよね?」

「そうだ。
 説明が悪かったな。
 ドウラのドウラ城伯家と、ジョージのゲイツ城伯家に関しては、後継者の結婚相手を皇族にしてもらいたいという事だ」

「では、私のゲイツ城伯家とマルティンのキイツ城伯家は承知です」

「あたしのドウラ城伯家も承知だよ。
 エマのエマル城伯家とニカのニカル城伯家も承知だ。
 二人の希望は以前に確認してある。
 そうだな?」

「「うん」」

 事前に話がすんでいるようです。
 これで八人中五人が承知です。
 この五人なら、不承知の三人を除いても十分属性竜が狩れます。
 厄竜を斃せると断言はできませんが、エマとニカが皇室に加わるのなら、私を含めた残る三人と無理に政略結婚しなくてもいいのではないでしょうか。
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