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「ああ、もうわかっていると思うけど、婚約破棄ね。
理由は、そうだな、不敬罪でいいかな?」
「お待ちください王太子殿下。
もうこれで十度の婚約破棄でございます。
いいかげん貴族の目が厳しくなっております。
ティナム伯爵家にまで冤罪を擦り付けては、内乱に発展してしまいます!」
「構わないじゃないか。
文句を言う貴族は攻め滅ぼして、領地を僕のモノにしてくれよ」
「必ず勝てるとは限りません!
負ければ首を切られるのは王太子殿下でございますぞ!」
「我が国の軍隊はそんなに弱かったの?
いままでは簡単に逆らう貴族を潰せたじゃない?」
「今までは貴族も士族も王太子殿下を信じていましたから、殿下のつかれる嘘を鵜呑みにして諸侯軍を出してくれました。
しかし殿下は協力してくれた貴族家の令嬢を弄んでは、冤罪を被せて婚約破棄にしたうえ、実家まで攻め潰されてしまわれました。
そんな事を九度も繰り返されては、協力してくれる貴族がいなくなって当然ではありませんか!」
馬鹿です。
どうしようもない大馬鹿です。
主従そろって救いようのない馬鹿です。
婚約破棄を言い渡した私を前にして、今までの悪行を口にするなんて、馬鹿以外の何物でもありません。
いえ、王太子付き侍従を悪く言ってはいけませんね。
恐らく彼は、王太子に愛想が尽きたのでしょう。
それに、もうこれ以上貴族令嬢を王太子の毒牙にかけたくないのでしょう。
噂では、彼の娘も王太子の毒牙にかかって自害したという話ですから。
「話がまとまらないのでしたら、私はこれで屋敷に戻らせていただきます」
「逃がすな!
ここで殺して口を封じるのだ!
だが殺す前に一度は嬲り者にする。
余が終わったら下げ渡してやるから、しっかりと押さえつけておけ」
相変わらず下種な人間ですね。
王太子でなかったら、とっくの昔に捕縛されていたはずです。
国王陛下が健在であれば、このような事にならなかったのですが、病床につかれてはや五年、王都はすっかり無法地帯となってしまいました。
ですが、さすがに襲い掛かってきませんね。
前回の件がよほど応えたのでしょう。
王太子付きの侍従も、前回の事を見ていたから、安心して私の味方をしてくれているのかもしれません。
「近づかない方がいいですよ。
私が身に着けている御守が強力なのは、前回襲ってきた貴男達が一番身に染みて分かっているでしょう?
それに前回の事を聞いた幼馴染が、今日はもっと強力な呪いがかかった御守を貸してくれましたから、今度こそ死んでしまうかもしれませんよ?」
私の脅し文句に王太子の取り巻き達の顔がこわばっています。
前回王太子が私を犯そうとしたときに、私の手足を押さえて身動きさせないようにした屑達は、今も豚の姿をしているのかもしれませんね……
理由は、そうだな、不敬罪でいいかな?」
「お待ちください王太子殿下。
もうこれで十度の婚約破棄でございます。
いいかげん貴族の目が厳しくなっております。
ティナム伯爵家にまで冤罪を擦り付けては、内乱に発展してしまいます!」
「構わないじゃないか。
文句を言う貴族は攻め滅ぼして、領地を僕のモノにしてくれよ」
「必ず勝てるとは限りません!
負ければ首を切られるのは王太子殿下でございますぞ!」
「我が国の軍隊はそんなに弱かったの?
いままでは簡単に逆らう貴族を潰せたじゃない?」
「今までは貴族も士族も王太子殿下を信じていましたから、殿下のつかれる嘘を鵜呑みにして諸侯軍を出してくれました。
しかし殿下は協力してくれた貴族家の令嬢を弄んでは、冤罪を被せて婚約破棄にしたうえ、実家まで攻め潰されてしまわれました。
そんな事を九度も繰り返されては、協力してくれる貴族がいなくなって当然ではありませんか!」
馬鹿です。
どうしようもない大馬鹿です。
主従そろって救いようのない馬鹿です。
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いえ、王太子付き侍従を悪く言ってはいけませんね。
恐らく彼は、王太子に愛想が尽きたのでしょう。
それに、もうこれ以上貴族令嬢を王太子の毒牙にかけたくないのでしょう。
噂では、彼の娘も王太子の毒牙にかかって自害したという話ですから。
「話がまとまらないのでしたら、私はこれで屋敷に戻らせていただきます」
「逃がすな!
ここで殺して口を封じるのだ!
だが殺す前に一度は嬲り者にする。
余が終わったら下げ渡してやるから、しっかりと押さえつけておけ」
相変わらず下種な人間ですね。
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ですが、さすがに襲い掛かってきませんね。
前回の件がよほど応えたのでしょう。
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「近づかない方がいいですよ。
私が身に着けている御守が強力なのは、前回襲ってきた貴男達が一番身に染みて分かっているでしょう?
それに前回の事を聞いた幼馴染が、今日はもっと強力な呪いがかかった御守を貸してくれましたから、今度こそ死んでしまうかもしれませんよ?」
私の脅し文句に王太子の取り巻き達の顔がこわばっています。
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