3 / 9
2話
しおりを挟む
「よく無事だったね!
襲われなかったのかい?」
「心配してくれてありがとう、イライジャ。
イライジャが強力な御守を貸してくれていると言ったら、王太子が命令しても襲い掛かってこなかったわ」
「それはよかったよ。
それで婚約の件はどうなったの?」
「婚約は破談になったわ。
私との間では破談と言う話だったけど、発表がどうなるのかは分からないわ」
「そうなんだね。
馬鹿な王太子がティナム伯爵家を取り潰そうとするかもしれないね」
「う~ん、どうなるかな?
侍従の話では、もう王太子に味方する貴族はいないようなのよ」
「そうだね、諸侯軍の協力なしにティナム伯爵家を攻め滅ぼすのは無理だね。
それに安心してよ。
ヴォークス伯爵家は何があってもアメリアを護るからね」
「ありがとう、イライジャ」
私の幼馴染イライジャ。
主なる神という意味からつけられた名前。
ヴォークス伯爵家は敬虔な神の信徒なのに、長年子供に恵まれませんでした。
毎日神に子供を願い続けて三十年、初老といえる歳になってようやく授かったのがイライジャなのです。
だからこそ主なる神という名を付けられるくらい、愛され期待されているのです。
赤ちゃんの頃のイライジャは、笑顔だけでヴォークス伯爵家に幸せを持たらしたと、ヴォークス伯爵からも奥方からもお聞きしました。
子供のころに天使のように可愛いかったのは、一緒に遊んでいた私もよく知っています。
でもイライジャは可愛いだけの存在ではありません。
神々に愛されているのでしょう。
天才的な頭脳で、次々と魔法式を覚えて行きました。
膨大な魔力で、全ての魔法を使いこなしました。
魔法式を改良して、新たな魔法を生み出しました。
何の欠点もないようなイライジャですが、貴族として致命的な欠点があります。
優し過ぎるのです!
あまりにも優しすぎて、横暴な子供にいいように虐められていました。
一方私は何の才能もない子供でした。
容姿も十人並以下で、不器量者と陰口を叩かれていました。
ですが私にも少しはいい所があるのです。
真面目な父上が、努力できる人間になれと願いを込めてつけてくださったアメリアという名にふさわしく、鈍才ながら諦めることなく努力できることです。
そして、少々気が強いところです。
そんなイライジャと私が幼馴染というのは、神々の配剤だと思うのです。
優し過ぎるイライジャが虐められていると、私が苛めっ子を追い払いました。
字も絵も楽器もマナーも覚えられない私を、イライジャは見捨てることなく時間をかけて教え導いてくれました。
そんな私達の事を、父上も母上もヴォークス伯爵夫妻も、結婚させようと考えてくださるようになっていたのです。
それを、あの王太子が邪魔したのです!
襲われなかったのかい?」
「心配してくれてありがとう、イライジャ。
イライジャが強力な御守を貸してくれていると言ったら、王太子が命令しても襲い掛かってこなかったわ」
「それはよかったよ。
それで婚約の件はどうなったの?」
「婚約は破談になったわ。
私との間では破談と言う話だったけど、発表がどうなるのかは分からないわ」
「そうなんだね。
馬鹿な王太子がティナム伯爵家を取り潰そうとするかもしれないね」
「う~ん、どうなるかな?
侍従の話では、もう王太子に味方する貴族はいないようなのよ」
「そうだね、諸侯軍の協力なしにティナム伯爵家を攻め滅ぼすのは無理だね。
それに安心してよ。
ヴォークス伯爵家は何があってもアメリアを護るからね」
「ありがとう、イライジャ」
私の幼馴染イライジャ。
主なる神という意味からつけられた名前。
ヴォークス伯爵家は敬虔な神の信徒なのに、長年子供に恵まれませんでした。
毎日神に子供を願い続けて三十年、初老といえる歳になってようやく授かったのがイライジャなのです。
だからこそ主なる神という名を付けられるくらい、愛され期待されているのです。
赤ちゃんの頃のイライジャは、笑顔だけでヴォークス伯爵家に幸せを持たらしたと、ヴォークス伯爵からも奥方からもお聞きしました。
子供のころに天使のように可愛いかったのは、一緒に遊んでいた私もよく知っています。
でもイライジャは可愛いだけの存在ではありません。
神々に愛されているのでしょう。
天才的な頭脳で、次々と魔法式を覚えて行きました。
膨大な魔力で、全ての魔法を使いこなしました。
魔法式を改良して、新たな魔法を生み出しました。
何の欠点もないようなイライジャですが、貴族として致命的な欠点があります。
優し過ぎるのです!
あまりにも優しすぎて、横暴な子供にいいように虐められていました。
一方私は何の才能もない子供でした。
容姿も十人並以下で、不器量者と陰口を叩かれていました。
ですが私にも少しはいい所があるのです。
真面目な父上が、努力できる人間になれと願いを込めてつけてくださったアメリアという名にふさわしく、鈍才ながら諦めることなく努力できることです。
そして、少々気が強いところです。
そんなイライジャと私が幼馴染というのは、神々の配剤だと思うのです。
優し過ぎるイライジャが虐められていると、私が苛めっ子を追い払いました。
字も絵も楽器もマナーも覚えられない私を、イライジャは見捨てることなく時間をかけて教え導いてくれました。
そんな私達の事を、父上も母上もヴォークス伯爵夫妻も、結婚させようと考えてくださるようになっていたのです。
それを、あの王太子が邪魔したのです!
10
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
『無能な聖女』と婚約破棄された私、実は伝説の竜を唯一従える『真の守護者』でした。~今さら国に戻れと言われても、もう遅いです~
スカッと文庫
ファンタジー
「魔力値たったの5だと? 貴様のような偽聖女、この国には不要だ!」
聖女として国を支えてきたエルナは、第一王子カイルから非情な婚約破棄を言い渡される。隣には、魔力値を偽装して聖女の座を奪った男爵令嬢の姿が。
実家からも見捨てられ、生きては戻れぬ『死の森』へ追放されたエルナ。しかし、絶望の中で彼女が目覚めさせたのは、人間には測定不能な【神聖魔力】だった。
森の奥で封印されていた伝説の銀竜を解き放ち、隣国の冷徹皇帝にその才能を見出された時、エルナを捨てた王国は滅びの危機に直面する――。
「今さら謝っても、私の結界はもうあなたたちのために張ることはありません」
捨てられた聖女が真の幸せを掴む、逆転劇がいま幕を開ける!
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる