悪役令嬢を愉しむ事にしました。

克全

文字の大きさ
7 / 7

6話

しおりを挟む
「どうかな、悪い話ではないともうのだが、ディラン公爵は不服かな?」

「不服はございません。
 全ては国王陛下のお考え通りに」

「そうか、そう言ってくれれば助かる。
 聖女は国の護り、王家以外に嫁がせるわけにはいかん。
 かといって、王家の藩屏であるディラン公爵家との関係も大切だ。
 公爵が認めてくれれば全て丸く収まる」

 なにが丸く収まるですか!
 刺客が送れらる事はなさそうですが、地味に報復してきますね。
 この陰湿王は!
 ロビエル王太子を処刑に追い込んだ私達への報復としか思えません。
 父上の兄上も、乗り気ではないようですが、政略結婚と考えれば、悪い条件ではないのが困ったところです。
 これでは正面から文句を言えません。

 聖女エルティナを、新たに王太子になったアレハンド第二王子の婚約者にする。
 これは聖女を王家に取り入れる意味では悪くない手です。
 教会しか後ろ盾のないエルティナを、ディラン公爵家の養女にするのはとてもよい策で、教会の政治への介入を阻止できますし、私がロビエル王太子の婚約者だった公爵家への補償にもなります。
 エルティナの気持ちを無視すればの話ですが。

 これだけなら、国王の厚意だとも考えられたでしょう。
 ですがこれだけではなかったのです。
 私に第三王子ヒューゴ殿下の婚約者になれと言うのです。
 これに悪意が感じられるのです。
 ディラン公爵家を聖女の下に置いているのです。

 エルティナには悪いのですが、国の事を考え家格と長幼の序を考えるのなら、実子で先の王太子の婚約者であった私を、ロビエル王太子に婚約者にすべきでしょう。
 エルティナはヒューゴ殿下の婚約者にすべきでしょう。
 三つ年下のヒューゴ殿下の婚約者にさせられるエルティナは可哀想ですが、それが王家と貴族の序列を考えれば、最もおさまりがいいのです。

「恐れながら申し上げます。
 このような形では、王家のために心から祈る事などできません。
 好きでもない相手と無理矢理結婚させられては、むしろ恨みと憎しみを神々に祈ってしまいます。
 それでもよいと国王陛下は申されるのですか?!」

 なんと!
 あれほど大人しかったエルティナが、敢然と国王に意見しています。
 正直驚きました。
 これは私も覚悟を決めて援護しなければいけませんね。

「私も同じ気持ちです。
 このようななされ方は、ディラン公爵家を蔑ろにしております。
 これでは我がディラン公爵家だけではなく、多くの貴族士族の心を失います」

「だから諌言したではありませんか、父上。
 ここは我らに任せてください。
 私とヒューゴとディエドで、二人の心を射止められるか競って見せますよ。
 もっともディエドは妹を口説くわけにはいかないので、エルティナだけになりますがね」

「ふん!
 少し憂さ晴らしただけだ。
 泣く泣く言う通りにすると思ったのだがな。
 聖女とディラン公爵家を敵に回すわけにはいかん。
 二人の好きにするがいい」

 あら、あら、あら。
 恋愛ゲームの再開ですね。
 私の心を射止められる自信があるのなら、やって見せてもらいましょう。
 伊達に長年干物女だったわけではありませんよ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

悪役令息の婚約者になりまして

どくりんご
恋愛
 婚約者に出逢って一秒。  前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。  その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。  彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。  この思い、どうすれば良いの?

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた

たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。 女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。 そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。 夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。 だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……? ※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません…… ※他サイト様にも掲載始めました!

身勝手な我儘を尽くす妹が、今度は辺境伯である私の夫を奪おうとした結果――。

銀灰
恋愛
誰も止められない傲慢な我儘を尽くす妹のマゼンタが次に欲したものは、姉ヘリオトの夫、辺境伯であるロイだった。 ヘリオトはロイに纏わり付くマゼンタに何も出来ぬまま、鬱々とした日々を送る。 これまでのように、心優しい夫の心さえも妹に奪われるのではないかと、ヘリオトは心を擦り減らし続けたが……騒動の結末は、予想もしていなかったハッピーエンドへと向かうことになる――! その結末とは――?

処理中です...