追放された古代神の巫女は規格外

克全

文字の大きさ
3 / 11

第2話古代神の巫女視点

しおりを挟む
「本当に行ってしまうのか。
 俺達が神官達に直談判すれば、修道女として残る事はできるぞ」

 聖堂騎士団で百騎長を務めるコナーが、親身になって言ってくれますが、正直余計なお世話です。
 私は正々堂々と大手を振って神殿を出る事ができて、心から喜んでいるのです。
 明らかな不正を行った神殿上層部が、本来なら死ぬまでこき使うはずの私を、証拠隠滅のために神殿から追放してくれれるという、もう二度とない好機なのです。
 流れが変わってしまう前に、少しでも遠くに逃げなければいけないのです。

「気持ちはうれしいけれど、それは私には余計なお世話よ。
 私は自由に生きていきたいの。
 神殿のような制約の多い所は息苦しのよ。
 せっかく手に入れた自由を奪わないで。
 邪魔したらカイでも許さないわよ!」

 コナーを厳しく言い負かしておきます。
 そうしておかないと間違った親切心で上層部を説得して、地方の神殿の下っ端として雑用係にでもされてしまったら、死ぬまで最低の待遇で扱き使われてしまいます。
 コナーが驚いた顔をしていますが、私とコナーでは全く価値観が違うのです。
 守護神を信じ、教会上層部を清廉潔白だと信じてしまう、生まれ持っての御人好しとは違うのです。

「分かった、俺も神殿をでる。
 アメリを実質追放にするような、馬鹿な上層部の下で働く気はない 
 今から退団届を出してくるから、ここで待っていてくれ」

 コナーと同じく聖堂騎士団で百騎長を務めるカイが、突然とんでもない事を口にしました。
 まだまだ若いのに、異例の抜擢で正道騎士団の百騎長に任じられたカイです。
 辞めさせてくれと言って、簡単に辞めさせてもらえる立場ではありません。
 それはコナーも同じですし、同じように百騎長に抜擢されたソニーも同じです。

「そうだな。
 俺もアメリのいない神殿には欠片も未練などない。
 俺も騎士団長に退団届を出してくる。
 コナーは俺達が戻るまでアメリが出ていかないように、見張っていてくれ」

 さっき心に思い浮かべたソニーまでが、神殿騎士団を退団すると言い切り、神殿上層部、いえ、多分聖堂騎士団長と幹部達のいる部屋に行くのでしょう。
 神殿上層部と交渉しようとしても、上層部はソニー達の強さを利用しようと思っているので、絶対に退団を認めてくれないでしょう。

 ですが、自分達の地位が脅かされている、現正道騎士団団長や、千騎長達は二つ返事で退団を認めるでしょう。
 神殿上層部が、説得したり権力で退団を認めない事のないように、報告自体を大幅に遅らせる事でしょう。
 知略縦横無尽と評されるソニーなら、それくらいの計算はしているでしょう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思うので、第二の人生を始めたい! P.S.逆ハーがついてきました。

三月べに
恋愛
 聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思う。だって、高校時代まで若返っているのだもの。  帰れないだって? じゃあ、このまま第二の人生スタートしよう!  衣食住を確保してもらっている城で、魔法の勉強をしていたら、あらら?  何故、逆ハーが出来上がったの?

追放同然で遠国に献上された古代種の姫を王太子が溺愛しているらしい

nanahi
恋愛
マハ王国の翡翠姫は遠国ルヒカンド王国に戦利品として献上されることになった。国交も結んでいない野蛮な国の姫として誰からも蔑まれながら、王太子アレクサンドルだけは翡翠姫を見つめる目が違った。王太子は美しい黒髪とエメラルドの瞳をもつ異国の姫に一瞬で心を奪われる。 実は翡翠姫は尊き血筋の古代種の一族であった。溺愛が始まるも、翡翠姫はなかなか王太子の気持ちに気づかなくて──? ◆完結しました。読んでくださった全ての皆様に感謝いたします。

【完結】魔力の見えない公爵令嬢は、王国最強の魔術師でした

er
恋愛
「魔力がない」と婚約破棄された公爵令嬢リーナ。だが真実は逆だった――純粋魔力を持つ規格外の天才魔術師! 王立試験で元婚約者を圧倒し首席合格、宮廷魔術師団長すら降参させる。王宮を救う活躍で副団長に昇進、イケメン公爵様からの求愛も!? 一方、元婚約者は没落し後悔の日々……。見る目のなかった男たちへの完全勝利と、新たな恋の物語。

平凡な伯爵令嬢は平凡な結婚がしたいだけ……それすら贅沢なのですか!?

Hibah
恋愛
姉のソフィアは幼い頃から優秀で、両親から溺愛されていた。 一方で私エミリーは健康が取り柄なくらいで、伯爵令嬢なのに贅沢知らず……。 優秀な姉みたいになりたいと思ったこともあったけど、ならなくて正解だった。 姉の本性を知っているのは私だけ……。ある日、姉は王子様に婚約破棄された。 平凡な私は平凡な結婚をしてつつましく暮らしますよ……それすら贅沢なのですか!?

〖完結〗醜い聖女は婚約破棄され妹に婚約者を奪われました。美しさを取り戻してもいいですか?

藍川みいな
恋愛
聖女の力が強い家系、ミラー伯爵家長女として生まれたセリーナ。 セリーナは幼少の頃に魔女によって、容姿が醜くなる呪いをかけられていた。 あまりの醜さに婚約者はセリーナとの婚約を破棄し、妹ケイトリンと婚約するという…。 呪い…解いてもいいよね?

公爵家の赤髪の美姫は隣国王子に溺愛される

佐倉ミズキ
恋愛
レスカルト公爵家の愛人だった母が亡くなり、ミアは二年前にこの家に引き取られて令嬢として過ごすことに。 異母姉、サラサには毎日のように嫌味を言われ、義母には存在などしないかのように無視され過ごしていた。 誰にも愛されず、独りぼっちだったミアは学校の敷地にある湖で過ごすことが唯一の癒しだった。 ある日、その湖に一人の男性クラウが現れる。 隣にある男子学校から生垣を抜けてきたというクラウは隣国からの留学生だった。 初めは警戒していたミアだが、いつしかクラウと意気投合する。クラウはミアの事情を知っても優しかった。ミアもそんなクラウにほのかに思いを寄せる。 しかし、クラウは国へ帰る事となり…。 「学校を卒業したら、隣国の俺を頼ってきてほしい」 「わかりました」 けれど卒業後、ミアが向かったのは……。 ※ベリーズカフェにも掲載中(こちらの加筆修正版)

【完結】あなたの色に染める〜無色の私が聖女になるまで〜

白崎りか
恋愛
色なしのアリアには、従兄のギルベルトが全てだった。 「ギルベルト様は私の婚約者よ! 近づかないで。色なしのくせに!」 (お兄様の婚約者に嫌われてしまった。もう、お兄様には会えないの? 私はかわいそうな「妹」でしかないから) ギルベルトと距離を置こうとすると、彼は「一緒に暮らそう」と言いだした。 「婚約者に愛情などない。大切なのは、アリアだけだ」  色なしは魔力がないはずなのに、アリアは魔法が使えることが分かった。 糸を染める魔法だ。染めた糸で刺繍したハンカチは、不思議な力を持っていた。 「こんな魔法は初めてだ」 薔薇の迷路で出会った王子は、アリアに手を差し伸べる。 「今のままでいいの? これは君にとって良い機会だよ」 アリアは魔法の力で聖女になる。 ※小説家になろう様にも投稿しています。

幼馴染の勇者パーティーから「無能で役立たず」と言われて追放された女性は特別な能力を持っている世界最強。

佐藤 美奈
ファンタジー
田舎の貧しい村で育った6人の幼馴染は、都会に出て冒険者になってパーティーを組んだ。国王陛下にも多大な功績を認められ、勇者と呼ばれるにふさわしいと称えられた。 華やかな光を浴び、6人の人生は輝かしい未来だけが約束されたに思われた。そんなある日、パーティーメンバーのレベッカという女性だけが、「無能で役立たず」と言われて一方的に不当にクビを宣告されてしまう。恋愛感情は、ほんの少しあったかも。 リーダーのアルスや仲間だと思って信頼していた幼馴染たちに裏切られて、レベッカは怒りや悔しさよりもやり切れない気持ちで、胸が苦しく悲しみの声をあげて泣いた――

処理中です...