死にたくない、若返りたい、人生やり直したい、還暦親父の異世界チート無双冒険譚

克全

文字の大きさ
32 / 53
第1章

第24話:神像

しおりを挟む
 ガニラス王国歴二七三年五月九日
 ミノル・タナカ城の周囲にある魔境
 田中実視点

 とても欲深い御願いをした後、暫く待ったが、何も起こらなかった。

「……流石にいくら何でも無理な御願いだったようですね」

 ヴィオレッタが慰めるように言ってくれるが、手応えはあった。
 もう少し何か工夫する事で、神々の力をこの世界に止められる気がする。
 それに、何が足らないのかくらい、直ぐに分かった。

 俺が手を抜いたからできなかっただけだと思う。
 仏造って魂入れずという言葉があるのだ。
 神々の御力を地上に止める神像は、自分で造らないといけないのだ。

 だが、俺は壊滅的に不器用で、神々が認めて下さるような像は造れない。
 かといって、地球の神々の事など全く知らない異世界人に、造ってもらうのはもっとおかしい気がする。

 日本に戻って既製品の神像を買ってくるのもおかしい気がする。
 有名な仏師に造ってもらうのなら大丈夫な気はするが、お金的にも時間的に難しいので、自分で何とかするしかない。

「遠く大八島国に暮らされている全ての神々に希い願い奉る。
 遠く蝦夷地に暮らされている全ての神々に希い奉る。
 特に石を司る石土毘古神と石巣比売神に希い奉る。
 木を司る久久能智神と五十猛神に希い奉る。
 粘土と埴輪を司る波邇夜須毘古神に希い奉る。
 鉱山を司る金山彦神と金山毘売神に希い奉る。
 製鉄と鍛冶を司る天目一箇神に希い奉る。
 鋳物と金属加工を司る神伊斯許理度売命に希い奉る。
 勾玉を司る玉祖命に希い奉る。
 鍛冶と鋳造を司る天之御影命に希い奉る。
 御身を慕う者に力を御貸し下さい。
 御身を慕う者に神像を創らせたまえ。
 木像、石像、埴輪像、砂像、銅像、乾漆像、鉄筋コンクリート像など、考えられる全ての材料で神像を創らせたまえ。
 大八島国と蝦夷地に暮らしておられる全ての神々が望まれる、ありとあらゆる神像を、御身を慕う者に創らせたまえ。
 御身らを加えた、志那都比古神、国之常立神、建御雷之男神、淤加美神、天迦久神、大山津見神、ニドムカムイ、天御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神、伊邪那岐神、伊邪那美神、大物主神、猿田毘古神、道祖神が望まれる神像を創らせたまえ。
 御身を敬い信じる者の願いを御聞き届けください、守護神像」

「「「「「うっわ!」」」」」

 憐れむような表情で俺を見ていたヴィオレッタたちが、驚きの声を上げた。
 俺は喝采を上げて小躍りしたかったが、我慢した。
 ぐっとこらえて思いつく限りの神々に心から御礼を言った。

「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」

 神々の御力で創る事ができた街道の両脇に、神像が立ち並んでいく。
 ニドムカムイに御願いして根返りさせた木々を材料にした神像が創られる。
 木像だけではなく、他の素材でも神像が創られていく。

 大理石の白さが美しい神像、黒光りする御影石が美しい神像、青味のある輝きを放つ栗石の神像、真新しい銅が光り輝く神像、砂を固めた神像、陶磁の神像などが街道に向こうにまで創られていく。

 多くの神々に心から希い奉ったからだろうか?
 如何にも強力そうな剣と盾を持たれ、神々しいほどの光を放つ鎧と勾玉などを身に纏っておられる。

 これは、自身がこの世界に顕現される事を考えて創られたのだろうか?
 神通力の一部であろうと、この世界に留まらせるためには、これほど神々しい神像が必要なのだろうか?

 などと考えている時間があるなら、やって見ればいい。
 駄目だったらまた挑戦すれば良いだけの事だ。

「遠く大八島国に暮らされている全ての神々に希い奉る。
 遠く蝦夷地に暮らされている全ての神々に希い奉る。
 特にこれまで御力を御貸し下さった神々に希い奉る。
 風を司る志那都比古神、地上世界を成り立たせる国之常立神、雷と剣と相撲を司る建御雷之男神、水と雨雪を司る淤加美神、矢よりも速く駆ける天迦久神、山と森を司る大山津見神、森を司るニドムカムイ、天地宇宙創造の神である天御中主神、男女産霊の神で生成力を持たれる神でもある高皇産霊神、生成力を我々人間の形とした御祖神である神皇産霊神、国生みと神生みの男神である伊邪那岐神、天津神の命により創造活動の殆どを司り冥界も司る女神である伊邪那美神、五穀豊穣と厄除けと国の守護神である大物主神、道を司る猿田毘古神、村を守り子孫を繁栄させ旅の安全を守る道祖神、石を司る石土毘古神と石巣比売神、木を司る久久能智神と五十猛神、粘土と埴輪を司る波邇夜須毘古神、鉱山を司る金山彦神と金山毘売神、製鉄と鍛冶を司る天目一箇神、鋳物と金属加工を司る神伊斯許理度売命、勾玉を司る玉祖命、鍛冶と鋳造を司る天之御影命。
 御身を慕う者に力を御貸し下さい。
 御身の形代、神像に力を留まらせてください。
 善良な者を守り、悪しき者を罰する力をこの世界に留まらせてください。
 御身を敬い信じる者の願いを御聞き届けください、守護結界」

 とんでもない力が次々とやってくるのが分かる。
 これまで多くの神々の御力を御借りしていたからこそ分かる。
 数えきれない御力の一つ一つに、ドラゴンを狩った時以上の御力がある。

「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」

 何万何十万と下された御力の一つだけで、ドラゴンを斃す事ができる。
 これで街道に近づく魔獣もドラゴンもいないと確信できる。
 悪しき心を持つ者は、近づいただけで滅されるだろう。

 これで老若男女が何の不安もなく安全に街道を使える。
 目的地にまでつなげれば、安全に交易できるだろう。
 ただただ御礼を言うしかないほど強大な御助力を賜った。

「……ミノル様、これはいったい……」

 ヴィオレッタが震える声で聞いてきた。
 六人の中で最上位だという責任感が、畏怖を押し殺して質問させたのだろう。
 本当に気高く勇気ある、尊敬に値する騎士だ。

「俺の世界の神々が神像に御力を込めて下さったのだ。
 これでこの街道が魔獣やドラゴンに襲われる事は無くなった。
 エマヌイユ・ディアマンティス街までつなげるから、安心して交易するが良い」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~ 大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。 話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。 説明口調から対話形式を増加。 伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など) 別視点内容の追加。 剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。 2021/06/27 無事に完結しました。 2021/09/10 後日談の追加を開始 2022/02/18 後日談完結しました。 2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...