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村2
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「ありがとうございます。ありがとうございます」
「もういい、気にするな」
幼い子供を抱きながら、地に頭をすりつけるように礼を言う女房を宥め、重傷人が寝ていた粗末な小屋を出る。
「さて、これで信用してもらえたかな」
俺は村長に確認する。
「まだ信用などできない。だが恩を受けたのは確かだ。礼を言う」
「なら全てを正直に話してくれるな」
「最初から何一つ嘘など言っていない」
「最初に言っておくが、村外れに埋めていた兵士の死体を確認している」
「そうか。あれを見つけていたのか」
「何故国から派遣された兵士を殺した」
「あんたの事だから、既に何もかも気が付いているのではないのか?」
「想像は付いているが、誤解と言う事もある。村長の口から真実が聞きたいのだ」
「よくある話だ。国から派遣された兵が、国の威光を笠に着て、村の女達を襲ったのだ」
「未婚の娘であろうと人の妻だろうと関係なく、無理矢理手籠めにしたのだな」
「そうだ。最初は村長である私を他の村への連絡に行かせ、その間に隠れてやっていたのだが、今あんたが治療してくれた男が、自分の女房が襲われそうになって抵抗して斬られたのだ」
「それで村長のあんたが成敗したのか? だがそれにしては斬り傷が幾種類もあったぞ」
「あの死体を見ただけで分かるのか」
「それなりの経験は積んでいる。で、理由を何なのだ」
「兵士を殺した俺が全ての責任を取ると言ったのだが、村人全員が反対してくれたのだ」
「村長一人を人身御供にするのではなく、村全体の罪にするべき、村人全員が死体に斬り付けたのだな」
「ああ、そうだ」
「結束が強いのだな」
「辺境の貧しい村ならどこも同じだ。強く結びついていないと、弱い者から死んでいく」
「一人の死者も出さない為には、強い者が弱い者を庇わないといけないと言う事か?」
「ああ。村長やそれに準ずるものが、率先して弱い者を助けていかないと、村など直ぐに崩壊してしまう」
「なるほど。一定人数以下になってしまうと、共同で運営している村仕事が出来なくなると言う事だな」
「そういう言う事だ」
「だが今のままだと、村人全員が飢え死にするのではないか」
「それも運命だ」
「さっきも言っていたが、人の物を奪うくらいなら死を選ぶと言う事か?」
「ああ、お天道様に恥じる行動はとれん」
「お天道様と言うのは、この村が信じている神様か?」
「そうだ」
「奴隷になってでも生き残ろうとは思わないのか」
「人間の誇りを捨てる気はない」
「奴隷になるのは嫌なのだな」
「奴隷になるくらいなら飢え死にを選ぶ」
「全ての村人がその気持ちなのか?」
「そうだ」
「本当にそうなのか? 子供だけでも生き延びさせたいと思っている親がいるのではないのか?」
「・・・・・今のこの国に、奴隷に与える食糧などないのだ」
「ネッツェ王国に逃げて奴隷になると言う方法は考えないのか」
「奴隷の生活は人間の尊厳を捨てる過酷な生活だ。子供や孫までずっと奴隷として生きていくことになる。イマーン王国からネッツェ王国に売られていった奴隷が、どれほど過酷な暮らしをしているかは調べた」
「なるほど、では俺から一つ提案をしよう」
「もういい、気にするな」
幼い子供を抱きながら、地に頭をすりつけるように礼を言う女房を宥め、重傷人が寝ていた粗末な小屋を出る。
「さて、これで信用してもらえたかな」
俺は村長に確認する。
「まだ信用などできない。だが恩を受けたのは確かだ。礼を言う」
「なら全てを正直に話してくれるな」
「最初から何一つ嘘など言っていない」
「最初に言っておくが、村外れに埋めていた兵士の死体を確認している」
「そうか。あれを見つけていたのか」
「何故国から派遣された兵士を殺した」
「あんたの事だから、既に何もかも気が付いているのではないのか?」
「想像は付いているが、誤解と言う事もある。村長の口から真実が聞きたいのだ」
「よくある話だ。国から派遣された兵が、国の威光を笠に着て、村の女達を襲ったのだ」
「未婚の娘であろうと人の妻だろうと関係なく、無理矢理手籠めにしたのだな」
「そうだ。最初は村長である私を他の村への連絡に行かせ、その間に隠れてやっていたのだが、今あんたが治療してくれた男が、自分の女房が襲われそうになって抵抗して斬られたのだ」
「それで村長のあんたが成敗したのか? だがそれにしては斬り傷が幾種類もあったぞ」
「あの死体を見ただけで分かるのか」
「それなりの経験は積んでいる。で、理由を何なのだ」
「兵士を殺した俺が全ての責任を取ると言ったのだが、村人全員が反対してくれたのだ」
「村長一人を人身御供にするのではなく、村全体の罪にするべき、村人全員が死体に斬り付けたのだな」
「ああ、そうだ」
「結束が強いのだな」
「辺境の貧しい村ならどこも同じだ。強く結びついていないと、弱い者から死んでいく」
「一人の死者も出さない為には、強い者が弱い者を庇わないといけないと言う事か?」
「ああ。村長やそれに準ずるものが、率先して弱い者を助けていかないと、村など直ぐに崩壊してしまう」
「なるほど。一定人数以下になってしまうと、共同で運営している村仕事が出来なくなると言う事だな」
「そういう言う事だ」
「だが今のままだと、村人全員が飢え死にするのではないか」
「それも運命だ」
「さっきも言っていたが、人の物を奪うくらいなら死を選ぶと言う事か?」
「ああ、お天道様に恥じる行動はとれん」
「お天道様と言うのは、この村が信じている神様か?」
「そうだ」
「奴隷になってでも生き残ろうとは思わないのか」
「人間の誇りを捨てる気はない」
「奴隷になるのは嫌なのだな」
「奴隷になるくらいなら飢え死にを選ぶ」
「全ての村人がその気持ちなのか?」
「そうだ」
「本当にそうなのか? 子供だけでも生き延びさせたいと思っている親がいるのではないのか?」
「・・・・・今のこの国に、奴隷に与える食糧などないのだ」
「ネッツェ王国に逃げて奴隷になると言う方法は考えないのか」
「奴隷の生活は人間の尊厳を捨てる過酷な生活だ。子供や孫までずっと奴隷として生きていくことになる。イマーン王国からネッツェ王国に売られていった奴隷が、どれほど過酷な暮らしをしているかは調べた」
「なるほど、では俺から一つ提案をしよう」
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