王家を追放されたわけじゃないけど、世直しすることにしました。

克全

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反撃1

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「おいおいおい、こんな城を攻めろと言われても無理だぞ」
「おお、せっかくの金蔓を無駄死にさせることになる」
「だがよぉ、一度くらいは攻撃しておこないと、将軍や隊長がうるさいぜ」
「それもそうだな」
「だったら、稼げそうな若い奴は休ませて、死にぞこないに死に場所を与えてやればいい」
「なるほど。そすりゃ余計な食料も与えなくて済むな」
「ああ、俺達の手を汚さずに無駄飯ぐらいを殺すことが出来る」
 俺の城を攻撃に来た、イマーン王国の兵士が好き勝手言っている。
 どうやら国か将軍に、俺の城を攻撃しろと命じられたようだ。
 普段はネッツェ王国の村々に略奪に行っている、配下の村人を率いて俺の城に来たようだ。
 兵士たちの常識では、いや、この世界の常識では、俺の築いた城は有り得ない規模だ。
 半年程度の期間で整備できるのは、元の寒村に逆茂木や柵を巡らせるくらいだ。
 金と人手を湯水のように投入して、本格的な城作りをしたとしても、深さ二メートル幅二メートルの濠と、高さ二メートル幅二メートルの土塁を築ければ上出来なのだ。
 それが三十メート級の濠と土塁を五重に築いてあるのだから、戦う前から負けを認めて当然だ。
 だがそれにしても、将軍や隊長への言い訳に、罪もない老人を死地に送ろうとするとは、絶対に許せない。
 奴隷代表のチャスから、近隣の村々に攻め込んで、無理矢理盗賊にさせられている民を奴隷にしてやって欲しいと頼まれていたが、その為にこの城にイマーン王国が攻め込んできたら面倒だと躊躇っていた。
 イマーン王国軍に負けるとは全然思っていないのだが、問題は捕虜にした民なのだ。
 捕虜にして戦争奴隷にしたら、当然彼らを養っていく責任が出てくる。
 一年二年と順調に領地開発が進み、ネッツェ王国内の商業流通が順調に行けば、家畜百頭当たり五人を養う事が出来る。
 今一万頭の家畜がいるから、五百人なら十分養えるだろうが、冒険者兵士千兵と奴隷二千兵は難しい。
 家畜の糞が城内の農地を豊かにし、安定した農作物が収穫できるようになれば別だが、今はまだ難しい。
 今は俺の魔法袋に蓄えてある食糧を供出しているから、何の問題もなく生活が成り立っているからいいが、食料が尽きたら飢えに直面することになる。
 何より家畜の食糧が問題だ。
 魔境から集めてきた落ち葉や牧草、枝葉が尽きる前に、良質な牧草が生える大地を創り出さなければならない。
 最悪の場合は、イマーン王国内に生えている森林を伐採加工して家畜に与える事は出来るが、その場合は良質な飼料が必要な家畜は処分しなければいけなくなる。
 まあその時は、またアリステラ王国の魔境に行って集めてくればいいのだが、できるだけ早く自主独立できる領地にしなければいけない。
 色々考えたが、それでも民を見捨てるという決断は出来なかった。
 仕方がない。
 不完全な良心回路ではあるが、それに従い民を助けよう。
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