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第一章
5話
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「いやあ、バーリー男爵家は凄いね。
たった二百の兵力で、バルフォア侯爵軍五万を撃退するなんてね。
でも今度は厳しいとおもうよ。
今度は兵力が三万だけど、そのうちの一万が専従将兵だからね。
前回のようにはいかないよ。
二万はバルフォア侯爵領との物資補給をやっているよ。
早く降伏した方がいいんじゃないかな?
僕はその使者に選ばれちゃってね。
ファティマとの約束を破ったんじゃないのだよ。
バーリー男爵家と家臣領民のためを思って受けたんだよ。
他の三人も同じだよ」
白々しいことを口にします。
苦しい事情は理解しますが、それで怒りがおさまるわけではありません。
バルフォア侯爵軍の内情を話してくれるのは、罪の意識からでしょうか?
しかしその程度の情報では、全く贖罪になりません。
そんな情報をくれなくても、わが軍が勝つのは決まっています。
「そう。
事情は想像できるけど、だからといって許せる事ではないわ。
今回のヴィクトルたちの誓約違反は、ブルース城伯ディミタール様に訴えさせてもらうわ!」
「ああ、そうなるだろうね。
でもそれはバーリー男爵家が残っていればの話だよね。
本気なのかい?
本気でバーリー男爵家がバルフォア侯爵軍に勝てると思っているのかい?
今度はバルフォア侯爵も万全の手配をしているよ」
ヴィクトルたちは勘違いしているのでしょう。
大山脈街道の所々にある安全地帯にいれば、魔獣にも亜竜にも襲われないと思い込んでいるのです。
確かに魔獣にも亜竜にも襲われませんが、猛獣には襲われます。
特に行軍用の牛馬に荷馬車を牽かせると、猛烈な勢いで猛獣が集まるのです。
ですがこのことを教えるわけにはいきません。
こんな時のために、敵対勢力を撃退するための、偽りの情報を流していたのです。
安全ではない場所を、安全地帯と呼んでいたのです。
領民以外の人間が交易部隊に加わっているときは、危険を覚悟で安全ではない安全地帯で休息夜営したのです。
いえ、違います。
そもそも完全に安全な場所などないのです。
「元婚約者とはいえ、誓約破りの卑怯者とこれ以上話すことなどないわ。
直ぐに出ていかないと、この場で鼻をそいで叩きだすわよ。
そんなことになったら、猛獣たちが血の臭いに集まってくるわよ。
いえ、この時期なら、魔獣や亜竜も襲いかかってくるわよ!」
「おい、おい、おい。
本気で言っているのかい?
僕の言う通りにする方が君たちのためだよ。
今ならまだ間にあうよ。
僕がバルフォア侯爵にとりなしてあげるよ。
だかね、分かっているだろ?」
たった二百の兵力で、バルフォア侯爵軍五万を撃退するなんてね。
でも今度は厳しいとおもうよ。
今度は兵力が三万だけど、そのうちの一万が専従将兵だからね。
前回のようにはいかないよ。
二万はバルフォア侯爵領との物資補給をやっているよ。
早く降伏した方がいいんじゃないかな?
僕はその使者に選ばれちゃってね。
ファティマとの約束を破ったんじゃないのだよ。
バーリー男爵家と家臣領民のためを思って受けたんだよ。
他の三人も同じだよ」
白々しいことを口にします。
苦しい事情は理解しますが、それで怒りがおさまるわけではありません。
バルフォア侯爵軍の内情を話してくれるのは、罪の意識からでしょうか?
しかしその程度の情報では、全く贖罪になりません。
そんな情報をくれなくても、わが軍が勝つのは決まっています。
「そう。
事情は想像できるけど、だからといって許せる事ではないわ。
今回のヴィクトルたちの誓約違反は、ブルース城伯ディミタール様に訴えさせてもらうわ!」
「ああ、そうなるだろうね。
でもそれはバーリー男爵家が残っていればの話だよね。
本気なのかい?
本気でバーリー男爵家がバルフォア侯爵軍に勝てると思っているのかい?
今度はバルフォア侯爵も万全の手配をしているよ」
ヴィクトルたちは勘違いしているのでしょう。
大山脈街道の所々にある安全地帯にいれば、魔獣にも亜竜にも襲われないと思い込んでいるのです。
確かに魔獣にも亜竜にも襲われませんが、猛獣には襲われます。
特に行軍用の牛馬に荷馬車を牽かせると、猛烈な勢いで猛獣が集まるのです。
ですがこのことを教えるわけにはいきません。
こんな時のために、敵対勢力を撃退するための、偽りの情報を流していたのです。
安全ではない場所を、安全地帯と呼んでいたのです。
領民以外の人間が交易部隊に加わっているときは、危険を覚悟で安全ではない安全地帯で休息夜営したのです。
いえ、違います。
そもそも完全に安全な場所などないのです。
「元婚約者とはいえ、誓約破りの卑怯者とこれ以上話すことなどないわ。
直ぐに出ていかないと、この場で鼻をそいで叩きだすわよ。
そんなことになったら、猛獣たちが血の臭いに集まってくるわよ。
いえ、この時期なら、魔獣や亜竜も襲いかかってくるわよ!」
「おい、おい、おい。
本気で言っているのかい?
僕の言う通りにする方が君たちのためだよ。
今ならまだ間にあうよ。
僕がバルフォア侯爵にとりなしてあげるよ。
だかね、分かっているだろ?」
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