6 / 111
第1章
第6話:バカン辺境伯家
神歴1817年皇歴213年1月29日皇都バカン辺境伯家上屋敷
ロジャー皇子視点
俺はバカン辺境伯家への婿養子入りが決まってから精力的に動いていた。
皇帝から正式な任命があってからではない。
選帝侯たちが裏で動いているのを知った時からだから、もう2年は経つ。
「殿下、ロジャー伯爵の叙爵と伯爵領の封地おめでとうございます」
「ありがとうございます、スレッガー叔父上」
「領地に誰か送られますか?」
「カラス家の家臣使用人を殺す気はありませんよ。
大砂漠内に与えられた形だけの領地など、放っておくしかありません」
「そうですか、殿下なら大砂漠でも開拓してしまうのではありませんか?」
「やってやれない事はないでしょうが、それより前に、バカン辺境伯家と領地を何とかしなければいけません。
俺を狙っている家臣がいるというのは本当ですか?」
「はい、殿下から預かったお金で情報を集めさせましたが、間違いありません。
明日の謁見で毒を盛る段取りになっているそうです」
「謁見の場には叔父上がついて来て下さるのですよね?」
「私だけでなく、殿下が選らばれた護衛騎士も一緒です」
護衛騎士たちは、母方カラス家が長年かけて築いてきた血縁と友情を前提に、俺が魔術で確認した性格を基に選んだ者たちだ、命懸けの場所でも逃げ出したりしない。
武力に関しても、皇国に仕える騎士の中なら頭1つ2つ抜けた強さを誇っている。
そんな護衛騎士たちがついて来てくれるのなら、自分で戦わなくても大丈夫だろうが、念のためにできる限りの準備をしておく。
「解毒剤を渡しておきます。
少し話し難くなるでしょうが、前もって口に含んでいてください」
「本当にそれで良いのですか、今からでもバカン辺境伯に取り締まるように言う方が、波風を立てずにすんで良いのではありませんか?」
「それでは選帝侯たちの目が母上やオスカー兄上に向いてしまいます。
俺の方が付け入り易いと思わせた方が良いのです」
「なにも殿下が囮にならなくても、オスカー殿下には父と母がついています。
ロクスバラ公爵家の家臣が1000人以上で守りを固めているのです」
「私の事を思って言ってくれているのでしょうが、ウソは駄目です。
ロクスバラ公爵家の家臣とは言っても、皇国騎士が派遣されているだけ。
側近はカラス家で選びましたが、9割は選帝侯たちが選んだ者たちです。
いつ牙を向いて襲って来るか分からない!」
「殿下は本当に6歳ですか?
オスカー殿下と比べるまでもなく、24歳のフレディ殿下よりも優秀です!」
「フレディ殿下も十分優秀な方ですよ。
そうでなければとうの昔に毒殺されています」
「毒殺される側だけではなく、毒殺する側でもあります。
フレディ殿下自身がやらせている証拠はありませんが、実家や取り巻きが、我が家に刺客を放っているという情報があります!」
「それは知っていますが、絶対にこちらから動かない、いいですね!
動く時は1度に全員を殺してしまわないと、族滅させられますよ!」
「……分かっています、殿下の申された通り、その時のための人を育てています」
スレッガー叔父上とは普段から色々と話し合っている。
今直ぐやらなければいけない事と、後回しにしてもいい事を話し合った。
そして、今はバカン辺境伯家を最優先する事に決まった。
俺はできるかぎりの準備をしてからバカン辺境伯と対面した。
「よく我が家にきてくださいました、ロジャー皇子殿下。
殿下をミオリネの婿に迎えられたのは、バカン辺境伯家の誉れです」
バカン辺境伯ブレイク・フォン・アースキン・バカンが頭を下げて迎えてくれる。
どうせ皇子を婿に迎えなければいけないのなら、徹底的に利用する覚悟と才覚をもっている立派な貴族だ、と思う。
問題は、辺境伯を支えるべき10家の重臣がそろいもそろって愚かな事だ。
下級家臣の中には見所のある者もいるが、身分が高くなるほど愚かになっていく。
これは皇室に仕える直臣も同じだから、しかたがないと言えばしかたがないのだが、早急にどうにかしないとバカン辺境伯が滅んでしまう。
皇国は、俺の足場をもっと固めてからでないと手が付けられない。
さて、目の前に置かれた毒入りのお茶をどうしたものだろう?
指摘して同席している重臣連中に飲ませるか?
それとも毒を消して飲んでしまおうか?
★★★★★★以下は設定です、好きな方だけ読んでください。
『バカン辺境伯:アースキン・バカン家』領民32万5000人
父親:ダニエル(1768年)
母親:エミリー
本人:ブレイク・フォン・アースキン・バカン
正妃:グレース・フォン・カニンガムの次女
側妃:
長女:フレイヤ(1811)
次女:ミオリネ(1813)ロジャー正室(小児麻痺)
3代目当主時代に、皇国から当主が幼少だからという理由で移封された。
領民42万人の領地から32万人の領地に移封されたため家臣が多過ぎて困窮。
『家臣』
爵位 :領民数格(バカン辺境伯家との関係)
男爵家:3万人1家(辺境伯家分家)
:2万人1家(辺境伯家分家)
準男爵:1万5000人(辺境伯家外戚)
:1万2000人(辺境伯家外戚)
:5000人(辺境伯家外戚・藩主の子供が婿養子に入ってから分家格)
:7000人(藩主の子供が婿養子に入ってから分家格)
:5500人(譜代重臣)
士爵 :2200人(辺境伯家分家)
:3000人(辺境伯家分家)
:2000人(辺境伯家分家)
:3500人(譜代重臣)
:3000人(譜代重臣)
:2000人(譜代重臣)
:2000人(譜代重臣)
:他合計39家
騎士 :合計221家
徒士 :合計230家
卒族 :多数
「皇都屋敷」
上屋敷 :皇都東・人質の夫人や子供が住む、政治経済外交活動の本拠地
中屋敷 :皇都西・隠居した藩主、先代の未亡人、上屋敷後宮をでた子女の住居
下屋敷 :皇都北・別荘・火災やモンスター襲撃時の避難場所
拝領屋敷:皇都南・ロジャーの婿養子に伴い拝領された。
:特別な理由があって皇国から拝領される
ロジャー皇子視点
俺はバカン辺境伯家への婿養子入りが決まってから精力的に動いていた。
皇帝から正式な任命があってからではない。
選帝侯たちが裏で動いているのを知った時からだから、もう2年は経つ。
「殿下、ロジャー伯爵の叙爵と伯爵領の封地おめでとうございます」
「ありがとうございます、スレッガー叔父上」
「領地に誰か送られますか?」
「カラス家の家臣使用人を殺す気はありませんよ。
大砂漠内に与えられた形だけの領地など、放っておくしかありません」
「そうですか、殿下なら大砂漠でも開拓してしまうのではありませんか?」
「やってやれない事はないでしょうが、それより前に、バカン辺境伯家と領地を何とかしなければいけません。
俺を狙っている家臣がいるというのは本当ですか?」
「はい、殿下から預かったお金で情報を集めさせましたが、間違いありません。
明日の謁見で毒を盛る段取りになっているそうです」
「謁見の場には叔父上がついて来て下さるのですよね?」
「私だけでなく、殿下が選らばれた護衛騎士も一緒です」
護衛騎士たちは、母方カラス家が長年かけて築いてきた血縁と友情を前提に、俺が魔術で確認した性格を基に選んだ者たちだ、命懸けの場所でも逃げ出したりしない。
武力に関しても、皇国に仕える騎士の中なら頭1つ2つ抜けた強さを誇っている。
そんな護衛騎士たちがついて来てくれるのなら、自分で戦わなくても大丈夫だろうが、念のためにできる限りの準備をしておく。
「解毒剤を渡しておきます。
少し話し難くなるでしょうが、前もって口に含んでいてください」
「本当にそれで良いのですか、今からでもバカン辺境伯に取り締まるように言う方が、波風を立てずにすんで良いのではありませんか?」
「それでは選帝侯たちの目が母上やオスカー兄上に向いてしまいます。
俺の方が付け入り易いと思わせた方が良いのです」
「なにも殿下が囮にならなくても、オスカー殿下には父と母がついています。
ロクスバラ公爵家の家臣が1000人以上で守りを固めているのです」
「私の事を思って言ってくれているのでしょうが、ウソは駄目です。
ロクスバラ公爵家の家臣とは言っても、皇国騎士が派遣されているだけ。
側近はカラス家で選びましたが、9割は選帝侯たちが選んだ者たちです。
いつ牙を向いて襲って来るか分からない!」
「殿下は本当に6歳ですか?
オスカー殿下と比べるまでもなく、24歳のフレディ殿下よりも優秀です!」
「フレディ殿下も十分優秀な方ですよ。
そうでなければとうの昔に毒殺されています」
「毒殺される側だけではなく、毒殺する側でもあります。
フレディ殿下自身がやらせている証拠はありませんが、実家や取り巻きが、我が家に刺客を放っているという情報があります!」
「それは知っていますが、絶対にこちらから動かない、いいですね!
動く時は1度に全員を殺してしまわないと、族滅させられますよ!」
「……分かっています、殿下の申された通り、その時のための人を育てています」
スレッガー叔父上とは普段から色々と話し合っている。
今直ぐやらなければいけない事と、後回しにしてもいい事を話し合った。
そして、今はバカン辺境伯家を最優先する事に決まった。
俺はできるかぎりの準備をしてからバカン辺境伯と対面した。
「よく我が家にきてくださいました、ロジャー皇子殿下。
殿下をミオリネの婿に迎えられたのは、バカン辺境伯家の誉れです」
バカン辺境伯ブレイク・フォン・アースキン・バカンが頭を下げて迎えてくれる。
どうせ皇子を婿に迎えなければいけないのなら、徹底的に利用する覚悟と才覚をもっている立派な貴族だ、と思う。
問題は、辺境伯を支えるべき10家の重臣がそろいもそろって愚かな事だ。
下級家臣の中には見所のある者もいるが、身分が高くなるほど愚かになっていく。
これは皇室に仕える直臣も同じだから、しかたがないと言えばしかたがないのだが、早急にどうにかしないとバカン辺境伯が滅んでしまう。
皇国は、俺の足場をもっと固めてからでないと手が付けられない。
さて、目の前に置かれた毒入りのお茶をどうしたものだろう?
指摘して同席している重臣連中に飲ませるか?
それとも毒を消して飲んでしまおうか?
★★★★★★以下は設定です、好きな方だけ読んでください。
『バカン辺境伯:アースキン・バカン家』領民32万5000人
父親:ダニエル(1768年)
母親:エミリー
本人:ブレイク・フォン・アースキン・バカン
正妃:グレース・フォン・カニンガムの次女
側妃:
長女:フレイヤ(1811)
次女:ミオリネ(1813)ロジャー正室(小児麻痺)
3代目当主時代に、皇国から当主が幼少だからという理由で移封された。
領民42万人の領地から32万人の領地に移封されたため家臣が多過ぎて困窮。
『家臣』
爵位 :領民数格(バカン辺境伯家との関係)
男爵家:3万人1家(辺境伯家分家)
:2万人1家(辺境伯家分家)
準男爵:1万5000人(辺境伯家外戚)
:1万2000人(辺境伯家外戚)
:5000人(辺境伯家外戚・藩主の子供が婿養子に入ってから分家格)
:7000人(藩主の子供が婿養子に入ってから分家格)
:5500人(譜代重臣)
士爵 :2200人(辺境伯家分家)
:3000人(辺境伯家分家)
:2000人(辺境伯家分家)
:3500人(譜代重臣)
:3000人(譜代重臣)
:2000人(譜代重臣)
:2000人(譜代重臣)
:他合計39家
騎士 :合計221家
徒士 :合計230家
卒族 :多数
「皇都屋敷」
上屋敷 :皇都東・人質の夫人や子供が住む、政治経済外交活動の本拠地
中屋敷 :皇都西・隠居した藩主、先代の未亡人、上屋敷後宮をでた子女の住居
下屋敷 :皇都北・別荘・火災やモンスター襲撃時の避難場所
拝領屋敷:皇都南・ロジャーの婿養子に伴い拝領された。
:特別な理由があって皇国から拝領される
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始!
2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!