7 / 111
第1章
第7話:対面
神歴1817年皇歴213年1月29日皇都バカン辺境伯家上屋敷
ロジャー皇子視点
(アンチドート)
目の前に置かれたティーカップに解毒の魔術を放つ。
中に入っているお茶だけでなく、カップにも毒が塗られている。
(ピュアリフィケイション)
解毒だけでは心配なので、浄化の魔術も放つ。
本来は俺が飲む前に毒見役が飲むのだが、ここは俺が飲んで見せる。
叔父上たちには、俺が何をやっても黙って見ているように言ってある。
「ゴックン」
同席した10家の当主や跡継ぎが喉を鳴らしてつばを飲み込んだ。
そんなに緊張するなら最初から毒など盛らなければいい。
俺の毒見役を殺して好き勝ってさせないと警告する気だったのか?
(ヒール)
俺はとても慎重なのだ、事前に毒を消しただけで安心しない。
回復の魔術を自分にかけて万が一に備える。
その上で重臣10家の連中をじっと見てやる。
(キュア)
小心で頭の悪い連中だから、理解できるか分からないが、全て知っているぞと見てやれば、この件に関係して連中は、全員動揺して態度がおかしくなる。
誰よりもバカン辺境伯が気がつくだろう。
(デトックス)
じっと見てやると、10家の連中、露骨に態度がおかしくなってきた。
辺境伯も俺の態度に気がついたのか表情が険しくなってきた。
「ロジャー殿下は天才だとお聞きしていたのですが、単に天才という言葉では片付けられない胆力と覚悟がおありのようですね。
今直ぐにでも辺境伯をお譲りした方が家の為だと分かりました」
今直ぐ隠居するから毒を盛ったのは許してくれと言っているのか?
返事は王侯貴族らしく遠回しに言うべきなのだろうが、それでは俺らしくない。
それに、愚かな10家の連中では、遠回しな表現を理解できないかもしれない。
「養子縁組が決まったので養父上と言わせていただきますが、親になってくださったのなら、父親らしく守っていただきたい。
家臣に好き勝手されて、お茶に毒を入れられるようでは、名門バカン辺境伯家の当主として失格ではありませんか?」
「本当に毒が入っていたのですね。
黙って飲んでくださったのは、表沙汰にせずに私を隠居させたいからではなかったのですか?
ここでそれを口にされたら、養子に入られたバカン辺境伯家が取り潰しになってしまうのではありませんか?」
「毒は魔術で消しましたから、証拠は残っていません。
皇国の重臣連中が騒いだとしても、証拠がなければ何もできません。
養父上が辺境伯家の当主として家臣を処分しただけなら、何の問題もありません」
「私が処分すると言って素直に従ってくれればいいですが、この者たちは辺境伯領内にそれぞれの領地を持っています。
そこに籠城されたら、家中取り締まり不行届きで処罰されてしまう。
皇国はこれまでも何十何百もの貴族家をそう言って潰して来た」
「私が皇帝陛下を説得するから何があっても大丈夫と言っても信じられませんか?」
「私にも目もあれば耳もある。
ロジャー皇子が皇帝陛下を説得すると言われても信じられない。
家臣の処分は時間をかけて行わせていただきたい。
家中の取り締まりが終わるまでは、拝領屋敷で自由に過ごしてください」
「私はそれで構いませんが、養父上はそれで良いのですか?
ミオリネ嬢が不自由な身体になられたのは、自分の娘に養父上の子供を産ませて辺境伯家を乗っ取りたい家臣が、毒を盛ったからではありませんか?」
「……ロジャー皇子の言われた事が本当なら、私も黙ってはおられない。
辺境伯家を潰してでも娘の仇を討つ。
ですが、皇子の言われている事が本当か確かめないと私も動けない」
「確かめられるのは良いですが、後が無くなった家臣が養父上を殺すかもしれない。
何かあった時のために、これを身に付けていてください」
俺はそう言って、ストレージから魔宝石ネックレスを取り出した。
他人にはポケットの中から取り出したように見せかけている。
そのネックレスをスレッガー叔父上が手に取って、養父上の近臣に渡してくれる。
いちいち面倒だが、常に暗殺の危険がある貴族ならしかたがない。
「そう言われるのなら、何かの守りが付与された魔道具ですか?」
「完全防御魔術と報復魔術を封じた魔宝石です。
蓄えられている魔力が尽きるまで持ち主を守り続けてくれます。
攻撃を仕掛けた相手を自動的に殺してくれる優れ物です」
俺がそう言うと、バカン辺境伯は表情を厳しくした。
ロジャー皇子視点
(アンチドート)
目の前に置かれたティーカップに解毒の魔術を放つ。
中に入っているお茶だけでなく、カップにも毒が塗られている。
(ピュアリフィケイション)
解毒だけでは心配なので、浄化の魔術も放つ。
本来は俺が飲む前に毒見役が飲むのだが、ここは俺が飲んで見せる。
叔父上たちには、俺が何をやっても黙って見ているように言ってある。
「ゴックン」
同席した10家の当主や跡継ぎが喉を鳴らしてつばを飲み込んだ。
そんなに緊張するなら最初から毒など盛らなければいい。
俺の毒見役を殺して好き勝ってさせないと警告する気だったのか?
(ヒール)
俺はとても慎重なのだ、事前に毒を消しただけで安心しない。
回復の魔術を自分にかけて万が一に備える。
その上で重臣10家の連中をじっと見てやる。
(キュア)
小心で頭の悪い連中だから、理解できるか分からないが、全て知っているぞと見てやれば、この件に関係して連中は、全員動揺して態度がおかしくなる。
誰よりもバカン辺境伯が気がつくだろう。
(デトックス)
じっと見てやると、10家の連中、露骨に態度がおかしくなってきた。
辺境伯も俺の態度に気がついたのか表情が険しくなってきた。
「ロジャー殿下は天才だとお聞きしていたのですが、単に天才という言葉では片付けられない胆力と覚悟がおありのようですね。
今直ぐにでも辺境伯をお譲りした方が家の為だと分かりました」
今直ぐ隠居するから毒を盛ったのは許してくれと言っているのか?
返事は王侯貴族らしく遠回しに言うべきなのだろうが、それでは俺らしくない。
それに、愚かな10家の連中では、遠回しな表現を理解できないかもしれない。
「養子縁組が決まったので養父上と言わせていただきますが、親になってくださったのなら、父親らしく守っていただきたい。
家臣に好き勝手されて、お茶に毒を入れられるようでは、名門バカン辺境伯家の当主として失格ではありませんか?」
「本当に毒が入っていたのですね。
黙って飲んでくださったのは、表沙汰にせずに私を隠居させたいからではなかったのですか?
ここでそれを口にされたら、養子に入られたバカン辺境伯家が取り潰しになってしまうのではありませんか?」
「毒は魔術で消しましたから、証拠は残っていません。
皇国の重臣連中が騒いだとしても、証拠がなければ何もできません。
養父上が辺境伯家の当主として家臣を処分しただけなら、何の問題もありません」
「私が処分すると言って素直に従ってくれればいいですが、この者たちは辺境伯領内にそれぞれの領地を持っています。
そこに籠城されたら、家中取り締まり不行届きで処罰されてしまう。
皇国はこれまでも何十何百もの貴族家をそう言って潰して来た」
「私が皇帝陛下を説得するから何があっても大丈夫と言っても信じられませんか?」
「私にも目もあれば耳もある。
ロジャー皇子が皇帝陛下を説得すると言われても信じられない。
家臣の処分は時間をかけて行わせていただきたい。
家中の取り締まりが終わるまでは、拝領屋敷で自由に過ごしてください」
「私はそれで構いませんが、養父上はそれで良いのですか?
ミオリネ嬢が不自由な身体になられたのは、自分の娘に養父上の子供を産ませて辺境伯家を乗っ取りたい家臣が、毒を盛ったからではありませんか?」
「……ロジャー皇子の言われた事が本当なら、私も黙ってはおられない。
辺境伯家を潰してでも娘の仇を討つ。
ですが、皇子の言われている事が本当か確かめないと私も動けない」
「確かめられるのは良いですが、後が無くなった家臣が養父上を殺すかもしれない。
何かあった時のために、これを身に付けていてください」
俺はそう言って、ストレージから魔宝石ネックレスを取り出した。
他人にはポケットの中から取り出したように見せかけている。
そのネックレスをスレッガー叔父上が手に取って、養父上の近臣に渡してくれる。
いちいち面倒だが、常に暗殺の危険がある貴族ならしかたがない。
「そう言われるのなら、何かの守りが付与された魔道具ですか?」
「完全防御魔術と報復魔術を封じた魔宝石です。
蓄えられている魔力が尽きるまで持ち主を守り続けてくれます。
攻撃を仕掛けた相手を自動的に殺してくれる優れ物です」
俺がそう言うと、バカン辺境伯は表情を厳しくした。
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始!
2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!