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第1章
第11話:誘拐
神歴1817年皇歴213年1月29日皇都バカン辺境伯家拝領屋敷近くの道
ロジャー皇子視点
もうさすがに何も起こらないと思っていたのだが、大間違いだった。
常時発動させている索敵スキルに人を襲う者たちが映った。
前世で中学生くらいの女の子が襲われているのを見過ごせるほど不人情ではない。
「スレッガー叔父上、左2本目の小道でどこかの令嬢が襲われています。
近くの屋敷に連れ込まれそうです。
私にその屋敷を破壊させたくないのなら、直ぐに助けてください」
俺は馬車の扉を開けて命じた。
「本当に、難儀な性格の皇子殿下だよ!」
スレッガー叔父上が、鍛え上げた馬術で愛馬を操って駆けていきます。
叔父上に素直に従っていますが、他人が触ろうとすると腕を咬み千切るくらい猛々しい軍馬なので、叔父上1人で十分です。
「私も助けに行かせていただきます、我に続け!」
ハミルトン家のノアが、家臣を引きて叔父上の後を追いかけます。
ノアのお陰で、俺を襲ってきた刺客たちを運ぶ人数は300人を超えています。
その手柄を分かり易く評価するのに、最先頭を歩いてもらっていました。
「他の者はそのまま刺客を見張り運んでくれ、いつ口封じが現れるか分からん!」
またノアに引き摺られて助っ人連中が動こうとした。
自分たちが大切な生き証人を護送していることを分かっていない。
ノアと自分たちの役割の違いすら理解できていない、愚かすぎて話にならない。
200年以上も戦争がないと、戦争の専門家であるはずの騎士と徒士がここまで愚かになるのかと、ため息が出る。
しばらく待つだけでスレッガー叔父上とノアが令嬢と下女を助けて戻って来た。
複数の索敵魔術で助けたのは分かっていたから、何も心配していなかった。
毎日水洗いしているのだろう、不潔な感じは全く無いが、着ている服の状態で貧しいのがひと目で分かる。
「初めてお目にかかります、バニングス騎士家の次女リンジーと申します。
ロジャー皇子殿下に助けていただき、お礼の申しようもございません」
良く教育された騎士家の令嬢だ。
オレンジ寄りの長い赤毛がとても目を引く。
瞳も同じ色だが、とても澄んでいて、心の美しさがひと目で分かる。
「やい、やい、やい、俺様たちを誰だと思っていやがる!?
天下の大侍従、ディクソン家のハンター様の手の者だぞ!
俺様たちの邪魔をしてただで済むと思っていやがるのか!?」
周囲の助っ人たちが思わず身を引き逃げそうになる。
情けない、陪臣とは言え徒士や兵卒だろうが!
それにしても、この腐れ外道たちは、俺の馬車が8頭立てなのが分からないのか?
それとも、皇子ごときなら、皇帝のお気に入りであるハンターの意向でどうとでもなると、思い上がっているのか?
「リンジー、何か事情があるようですが、教えてもらえますか?」
「申し訳ありません、ロジャー皇子殿下。
おそれ多い事ですが、家の恥になるかもしれない事を、私の一存でお話しする事はできません」
「けっ、何が騎士家だ、借金で首が回らない乞食同然のくせに!
それにどこの皇子殿下様だか知らないが、100人もいる皇子や皇女よりも、ハンター様の方が皇帝陛下のお気に入りだと知らないのか?!」
「おのれ、言わしておけば好き勝手な悪口雑言、この場で斬り殺してくれる!」
「やめろ、愚か者、それでも余の守役か!
皇帝陛下を迷わす佞臣を処罰できる絶好の機会を潰す気か!
この者共を証拠に、ハンターの首を刎ねる絶好の機会だと分からぬか!」
「は、申し訳ございません、愚かな事を申しました、どうかお許しください!」
「これからは気をつけよ」
「はっ、気をつけさせていただきます」
「リンジー、貴女が話せないというのなら、当主であるドレイクに直接聞くしかありません、屋敷に案内してください」
「殿下、殿下は騎士でしかない父の名前を知ってくださっているのですか?!」
「当たり前です、皇国に仕える騎士や徒士の名前を知っているのは当然でしょう。
さすがに、家族の名前や屋敷の場所までは覚えていませんが」
「有り難き幸せでございますが、とてもロジャー皇子殿下を案内できるような家ではないのです……」
「何も気にする事はありません、おおよその事情は分かっています。
選帝侯や皇帝のお気に入りに賄賂を贈らない誇り高き者が、古く汚い屋敷に移動させられている事は聞いています。
それをこの目で確かめるためにも、案内して欲しいのです」
「はい、ありがとうございます、ご案内させて頂きます」
ロジャー皇子視点
もうさすがに何も起こらないと思っていたのだが、大間違いだった。
常時発動させている索敵スキルに人を襲う者たちが映った。
前世で中学生くらいの女の子が襲われているのを見過ごせるほど不人情ではない。
「スレッガー叔父上、左2本目の小道でどこかの令嬢が襲われています。
近くの屋敷に連れ込まれそうです。
私にその屋敷を破壊させたくないのなら、直ぐに助けてください」
俺は馬車の扉を開けて命じた。
「本当に、難儀な性格の皇子殿下だよ!」
スレッガー叔父上が、鍛え上げた馬術で愛馬を操って駆けていきます。
叔父上に素直に従っていますが、他人が触ろうとすると腕を咬み千切るくらい猛々しい軍馬なので、叔父上1人で十分です。
「私も助けに行かせていただきます、我に続け!」
ハミルトン家のノアが、家臣を引きて叔父上の後を追いかけます。
ノアのお陰で、俺を襲ってきた刺客たちを運ぶ人数は300人を超えています。
その手柄を分かり易く評価するのに、最先頭を歩いてもらっていました。
「他の者はそのまま刺客を見張り運んでくれ、いつ口封じが現れるか分からん!」
またノアに引き摺られて助っ人連中が動こうとした。
自分たちが大切な生き証人を護送していることを分かっていない。
ノアと自分たちの役割の違いすら理解できていない、愚かすぎて話にならない。
200年以上も戦争がないと、戦争の専門家であるはずの騎士と徒士がここまで愚かになるのかと、ため息が出る。
しばらく待つだけでスレッガー叔父上とノアが令嬢と下女を助けて戻って来た。
複数の索敵魔術で助けたのは分かっていたから、何も心配していなかった。
毎日水洗いしているのだろう、不潔な感じは全く無いが、着ている服の状態で貧しいのがひと目で分かる。
「初めてお目にかかります、バニングス騎士家の次女リンジーと申します。
ロジャー皇子殿下に助けていただき、お礼の申しようもございません」
良く教育された騎士家の令嬢だ。
オレンジ寄りの長い赤毛がとても目を引く。
瞳も同じ色だが、とても澄んでいて、心の美しさがひと目で分かる。
「やい、やい、やい、俺様たちを誰だと思っていやがる!?
天下の大侍従、ディクソン家のハンター様の手の者だぞ!
俺様たちの邪魔をしてただで済むと思っていやがるのか!?」
周囲の助っ人たちが思わず身を引き逃げそうになる。
情けない、陪臣とは言え徒士や兵卒だろうが!
それにしても、この腐れ外道たちは、俺の馬車が8頭立てなのが分からないのか?
それとも、皇子ごときなら、皇帝のお気に入りであるハンターの意向でどうとでもなると、思い上がっているのか?
「リンジー、何か事情があるようですが、教えてもらえますか?」
「申し訳ありません、ロジャー皇子殿下。
おそれ多い事ですが、家の恥になるかもしれない事を、私の一存でお話しする事はできません」
「けっ、何が騎士家だ、借金で首が回らない乞食同然のくせに!
それにどこの皇子殿下様だか知らないが、100人もいる皇子や皇女よりも、ハンター様の方が皇帝陛下のお気に入りだと知らないのか?!」
「おのれ、言わしておけば好き勝手な悪口雑言、この場で斬り殺してくれる!」
「やめろ、愚か者、それでも余の守役か!
皇帝陛下を迷わす佞臣を処罰できる絶好の機会を潰す気か!
この者共を証拠に、ハンターの首を刎ねる絶好の機会だと分からぬか!」
「は、申し訳ございません、愚かな事を申しました、どうかお許しください!」
「これからは気をつけよ」
「はっ、気をつけさせていただきます」
「リンジー、貴女が話せないというのなら、当主であるドレイクに直接聞くしかありません、屋敷に案内してください」
「殿下、殿下は騎士でしかない父の名前を知ってくださっているのですか?!」
「当たり前です、皇国に仕える騎士や徒士の名前を知っているのは当然でしょう。
さすがに、家族の名前や屋敷の場所までは覚えていませんが」
「有り難き幸せでございますが、とてもロジャー皇子殿下を案内できるような家ではないのです……」
「何も気にする事はありません、おおよその事情は分かっています。
選帝侯や皇帝のお気に入りに賄賂を贈らない誇り高き者が、古く汚い屋敷に移動させられている事は聞いています。
それをこの目で確かめるためにも、案内して欲しいのです」
「はい、ありがとうございます、ご案内させて頂きます」
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