皇帝の14男ですが、皇位争いの暗殺や謀殺から生き延びて、何とか貧乏辺境伯家に婿入りできました。前世知識と魔力でスローライフしたい。

克全

文字の大きさ
12 / 111
第1章

第12話:バニングス騎士家

神歴1817年皇歴213年1月29日皇都バニングス屋敷:ロジャー皇子視点

「このようなあばら家にロジャー皇子殿下をご案内する愚かな娘に育てた事、心からお詫び申し上げます」

 リンジーがバニングス家に案内してくれたが、古いだけでなく根本的な修理もできていない屋敷を、当主のドレイクがしきりに謝る。

 今日ドレイクが非番なのは偶然ではないだろう。
 誘拐したリンジーの件を交渉する前提で、非番の日を選んだのだろう。

「リンジーにも言ったが、誇り高い者が古い屋敷に移住させられるのは聞いていた。
 ちょうど良い機会だから、実際にどうなっているのか確かめさせてもらいに来た。
 自分で確認しなければ、皇帝陛下に申しあげられないからな」

「ロジャー皇子殿下、余計な事とは重々承知しておりますが、正義感で行動されると、身を危うくするかもしれません」

「もう既に何度も殺されかけているから今更だ。
 今日も13人の刺客に襲われたが、黒幕を吐かすために生きて捕らえてある。
 リンジーを誘拐しようとした連中も、生きて捕らえてある」

「証人や証拠があっても、正義が通用するとは限りません」

「そうだな、父上が皇帝陛下の間は、正義よりも私利私欲が優先される」

「「「「「殿下!」」」」」

「心配するな、正義が勝てないのなら、こちらが相手よりも強い悪になればいい。
 戦国乱世の時代を、大悪党である建国皇帝陛下が勝ち残られた。
 ドレイク、お前も皇室皇国に仕える騎士であろう。
 200年の平和に牙も闘志も失ったのか?
 正義など捨てて大悪党になれ!」

「悪党になって勝てるのならそうしますが、とても勝てそうにありません。
 勝てないのなら、せめて正義の騎士として名を残したいのです」

「俺が手を貸してやる、守ってやる、お前は剣となって相手を斬るだけでいい」

「……私が殿下の剣になれば、家も子供たちも守って頂けるのですか?」

「守ってもらいたい子供と、共に戦いたい子供に分けろ。
 騎士家に生まれた成人男子まで守る気はないぞ」

「分かっております、守ってもらいたいのは娘たちだけでございます」

「成人前の男もだ、戦う準備もできていない男の子にまで死ねとは言わん」

 まだ5歳の俺がこんな事を言うのは笑い話だな。

「有り難き幸せでございます」

 ドレイクは、これから俺が守る事にした母親、妻、娘2人、息子2人を紹介した。
 
「父のフラオン、長男のショット、次男のプラドン、3男のペーゲルはダンジョンに潜っています」

「4人でダンジョンに潜っても返せないくらいの借金を背負わされたのか?」

「はい、妻の実家に頼まれて借金の保証人になったのですが、保証人になった途端に義兄を始め家族全員が行方不明になってしまいました」

「ハンターと手を組んでいたという事か?」

「私は、ハンターに騙されて殺されたのだと信じています」

 そうだな、そう言わないと奥さんがいたたまれない。

「そうかもしれないな、あるいは、その方がバニングス家のためになると心から思っているかだな」

「娘をハンターのおもちゃにする気も、皇位簒奪の手先にする気もありません!」

「娘さんをハンターのおもちゃにさせたくないというのは分かるが、皇位簒奪というのが分からない。
 ハンターにおもちゃにされた後では後宮に入れられないだろう?
 それとも、ハンターのおもちゃと言うのは別の意味なのか?」

「……これは、あくまでもウワサでしかありませんが、ハンターの手は後宮の奥深くにまで伸びていて、皇帝陛下の愛妾になる者の検査まで誤魔化せるそうです」

「それは、乙女でなければ絶対に入れない後宮に、ハンターの子種を宿した者を送り込み、自分の子供を皇帝にしようとしているという事か?」

「あくまでもウワサでございますが、皇都の下町では有名な話です。
 私は、皇位簒奪に加わるくらいなら死を選びます!」

 皇位を簒奪した者は、同じ様に皇位を簒奪されてもしかたがない。
 今の皇帝は、自分の父親が皇位を継ぐべき皇太子を殺したのを知っていて、父親を告発する事なく皇位についた。

 あれほど熱心に子供を作っているのに、1番お気に入りの側近に騙され、側近の子供を自分の子供だと思い込まされ、皇位を奪われる事になっているのか。

 自業自得言えばそれまでだが、できの悪い笑い話でもある。
 それに、皇帝は建国皇帝陛下の血を受け継いでいるので、簒奪とは言っても皇位継承争いでもある。

 だがハンターには建国皇帝陛下の血は1適も流れていないはずだ。
 さすがにこんな奴に皇位を簒奪させる訳にはいかない。
 皇位継承争いでも殺された兄弟姉妹の為にもぶち殺す!

「分かった、その話も皇帝陛下に伝えよう、その上で、最悪の事態も想定しておく。
 俺が守るべき6人は、このまま直ぐに拝領屋敷にかくまう。
 ドレイクは男たちが戻ったら拝領屋敷に来てくれ」 

★★★★★★以下は設定です、興味のない方は飛ばしてください。

「バニングス家」300人の領民がいる。オレンジ寄りの赤毛。
フラオン:1750:65:祖父
バルベラ:1751:64:祖母
ドレイク:1774:41:父
ルーザ :1776:39:母
ショット:1795:20:長男
ヘンリー:1797:18:2男
ペーゲル:1799:16:3男
ガラリア:1800:17:長女
リンジー:1802:15:2女
ショタン:1804:13:4男
ナックル:1806:11:5男
感想 19

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始! 2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!