25 / 111
第1章
第25話:キャンサー襲撃
神歴1817年皇歴213年2月27日皇都拝領屋敷:ロジャー皇子視点
「キャンサーだ、キャンサーが現れたぞ!」
今日の宿泊する予定の子爵領に入ってから最初の駅家で休憩していたら、川に住むモンスター、キャンサーが現れたと騒ぎ出した。
キャンサーはカニ型のモンスターで、甲羅がイチョウのような丸みを帯びている。
甲羅の全長は1メートルで全幅は2メートル、縦よりも横に大きいモンスターだ。
それに短い脚を大きく広げると3メートルを越える大きさがある。
怖いのは陸上でも素早く動ける事と力強い両方のハサミで獲物を軽々と潰す事。
ハサミは鋭さよりも圧し潰す力強さに発達している。
しかもたくさん食べるので、人間の村に入り込まれたら大変な事になる。
駅家の周りには街道に沿って家が並んでいる。
このようなモンスターの襲撃を恐れて、人は少しでも戦力の有る公共の場所に集まり助け合って生きている。
駅家を中心とした村は、街道に沿って細長く並んでいる。
防御を考えれば円形に集まるべきなのだが、街道を通る人たちの落とすお金が大切な収入源なのでしかたがない。
それでも街村の周りには浅い壕が掘られているし、庭もなくして集まり家の壁を防壁にしているから、モンスターが入り難くしている。
普通のモンスターならそれである程度侵入を防げるのだが、斜面どころか壁すら登れるカニ型モンスターが相手だと、何の役にも立たない。
「余はロジャー皇子である、戦える者は今直ぐタイマツを用意しろ!
キャンサーは火に弱い、あるだけのタイマツを用意しろ!
火魔術が使える者がいるなら余と一緒に戦え!」
俺がキャンサーを倒せるほどの攻撃魔術を使えると知られると困る。
睡眠魔術や麻痺魔術なら評価されないが、攻撃魔術は評価されてしまうのだ。
本当は実戦で役に立つ魔術を評価すべきなのだが、長い平和が見た目の派手な魔術を評価する風潮にしてしまっている。
運が良いのか悪いのか、1匹や2匹ではなく、23匹ものキャンサーが川から上がってきている。
川沿いの街道にある駅家村なら、キャンサーにも慣れているはずなのだが、数が多過ぎて平常心を失っているのか、戦う準備が全くできていない。
「お前らやる気が有るのか?!
これは大金を稼げる絶好の機会なのだぞ!
23匹ものキャンサーが手に入れば、まとまった金になるのだぞ!」
キャンサーの外骨格はとても硬くて、上手く処理すれば盾や武器に加工できる。
更に外骨格以上にお金になるのが、とても美味しい身とミソだ。
外骨格が硬く厚くて高価な分、身の量が少ないが、それだけに高く売れる。
駄目だ、駅家の役人も村人も逃げ腰で役に立ちそうにない。
血が遠い枝葉とはいえ、皇室から分かれた子爵領で勝手な事をする気はなかったが、駅家や村が破壊されるのを黙って見てはいられない。
どうせ戦うのなら、俺の利益になるようにする。
キャンサーの金額的な価値は、俺には大して意味はないが、美味しいカニを確保できる事には大きな意味がある!
まだキャンサーの身を食べた事はないが、柔らかいチーズのような独特の食感でほぐれやすく、とても甘みがあって美味しいらしい。
「お前らに駅家も村も守る気がないのなら余が狩る」
俺はそう宣言すると逃げ腰の役人と村人をにらみつけてやった。
「キャンサーを売った時の金になど何の興味もないが、美味いいと評判の身とミソには興味がある!
余が眠りと麻痺の魔術で動けなくする、そこを叩き殺せ!」
俺は配下の騎士たちに命じた。
「「「「「はっ!」」」」」
剣で叩き殺したら、外骨格に亀裂が入って金額的な価値が下がってしまう。
だが金には全く困っていないから何の問題もない。
まあ、火魔術で倒しても外骨格が変質して金額的価値が下がるのだが。
「殿下、もう少し下がっていてください、お前らは殿下の側を絶対に離れるな!」
スレッガー叔父上は演技が上手いな。
俺には指導力と支援魔術の才はあるが、実戦能力はないのだと、同僚の護衛騎士や周囲の者たちに思わせようとしてくれている
あっ、俺は馬鹿だ、あれだけ派手に眠りと麻痺の魔術を使っているのだ。
狡猾な人間なら俺の実戦能力を理解している。
皇帝はともかく皇父や黒幕には気付かれているはずだ。
もしかしたら、何かとんでもない方法で俺を殺そうとするかもしれない。
「キャンサーだ、キャンサーが現れたぞ!」
今日の宿泊する予定の子爵領に入ってから最初の駅家で休憩していたら、川に住むモンスター、キャンサーが現れたと騒ぎ出した。
キャンサーはカニ型のモンスターで、甲羅がイチョウのような丸みを帯びている。
甲羅の全長は1メートルで全幅は2メートル、縦よりも横に大きいモンスターだ。
それに短い脚を大きく広げると3メートルを越える大きさがある。
怖いのは陸上でも素早く動ける事と力強い両方のハサミで獲物を軽々と潰す事。
ハサミは鋭さよりも圧し潰す力強さに発達している。
しかもたくさん食べるので、人間の村に入り込まれたら大変な事になる。
駅家の周りには街道に沿って家が並んでいる。
このようなモンスターの襲撃を恐れて、人は少しでも戦力の有る公共の場所に集まり助け合って生きている。
駅家を中心とした村は、街道に沿って細長く並んでいる。
防御を考えれば円形に集まるべきなのだが、街道を通る人たちの落とすお金が大切な収入源なのでしかたがない。
それでも街村の周りには浅い壕が掘られているし、庭もなくして集まり家の壁を防壁にしているから、モンスターが入り難くしている。
普通のモンスターならそれである程度侵入を防げるのだが、斜面どころか壁すら登れるカニ型モンスターが相手だと、何の役にも立たない。
「余はロジャー皇子である、戦える者は今直ぐタイマツを用意しろ!
キャンサーは火に弱い、あるだけのタイマツを用意しろ!
火魔術が使える者がいるなら余と一緒に戦え!」
俺がキャンサーを倒せるほどの攻撃魔術を使えると知られると困る。
睡眠魔術や麻痺魔術なら評価されないが、攻撃魔術は評価されてしまうのだ。
本当は実戦で役に立つ魔術を評価すべきなのだが、長い平和が見た目の派手な魔術を評価する風潮にしてしまっている。
運が良いのか悪いのか、1匹や2匹ではなく、23匹ものキャンサーが川から上がってきている。
川沿いの街道にある駅家村なら、キャンサーにも慣れているはずなのだが、数が多過ぎて平常心を失っているのか、戦う準備が全くできていない。
「お前らやる気が有るのか?!
これは大金を稼げる絶好の機会なのだぞ!
23匹ものキャンサーが手に入れば、まとまった金になるのだぞ!」
キャンサーの外骨格はとても硬くて、上手く処理すれば盾や武器に加工できる。
更に外骨格以上にお金になるのが、とても美味しい身とミソだ。
外骨格が硬く厚くて高価な分、身の量が少ないが、それだけに高く売れる。
駄目だ、駅家の役人も村人も逃げ腰で役に立ちそうにない。
血が遠い枝葉とはいえ、皇室から分かれた子爵領で勝手な事をする気はなかったが、駅家や村が破壊されるのを黙って見てはいられない。
どうせ戦うのなら、俺の利益になるようにする。
キャンサーの金額的な価値は、俺には大して意味はないが、美味しいカニを確保できる事には大きな意味がある!
まだキャンサーの身を食べた事はないが、柔らかいチーズのような独特の食感でほぐれやすく、とても甘みがあって美味しいらしい。
「お前らに駅家も村も守る気がないのなら余が狩る」
俺はそう宣言すると逃げ腰の役人と村人をにらみつけてやった。
「キャンサーを売った時の金になど何の興味もないが、美味いいと評判の身とミソには興味がある!
余が眠りと麻痺の魔術で動けなくする、そこを叩き殺せ!」
俺は配下の騎士たちに命じた。
「「「「「はっ!」」」」」
剣で叩き殺したら、外骨格に亀裂が入って金額的な価値が下がってしまう。
だが金には全く困っていないから何の問題もない。
まあ、火魔術で倒しても外骨格が変質して金額的価値が下がるのだが。
「殿下、もう少し下がっていてください、お前らは殿下の側を絶対に離れるな!」
スレッガー叔父上は演技が上手いな。
俺には指導力と支援魔術の才はあるが、実戦能力はないのだと、同僚の護衛騎士や周囲の者たちに思わせようとしてくれている
あっ、俺は馬鹿だ、あれだけ派手に眠りと麻痺の魔術を使っているのだ。
狡猾な人間なら俺の実戦能力を理解している。
皇帝はともかく皇父や黒幕には気付かれているはずだ。
もしかしたら、何かとんでもない方法で俺を殺そうとするかもしれない。
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始!
2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!