皇帝の14男ですが、皇位争いの暗殺や謀殺から生き延びて、何とか貧乏辺境伯家に婿入りできました。前世知識と魔力でスローライフしたい。

克全

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第1章

第27話:ゴブリンダンジョン1

神歴1817年皇歴213年2月29日子爵家ゴブリンダンジョン
ロジャー皇子視点

「今日はとても危険なゴブリンダンジョンに潜る。
 対人戦用の実戦訓練だから、くれぐれも目先の利益に走らない事」

「「「「「はっ!」」」」」

 俺は朝早くから家臣を率いてゴブリンダンジョンに潜った。
 皇都の肉ダンジョンにように効率の良いダンジョンではない。

 倒したダンジョンゴブリンの10体に1体しかドロップしないのだ。
 それも1ペクーニア硬貨10枚しかドロップしない。
 命懸けの戦いに対する報酬としては、他のダンジョンに比べて少な過ぎるのだ。

 しかも地下4階からは、攻撃魔術を使うシャーマンビッグゴブリンや、回復魔術を使うプリーストビッグゴブリンが現れる。
 更に白兵戦に特化したファイタービッグゴブリンまでが現れるのだ。

 惰弱な皇国騎士や徒士だと、地下3階でも確実に死んでしまう。
 子爵家自慢の騎士や徒士でも、単独で戦う場合は魔術攻撃のない地下3階が限界だと聞いた。

 完全装備をした子爵家軍が上手く連携して戦えば、何とか地下5階までは潜れるそうだが、それでは全く採算が合わず、むしろ大損を出してしまう。

 5階のヒュージゴブリンが落としてくれる1000ペクーニアはそれなりの価値があるのだが、確率が1割だし、それを手に入れるのに武器や防具が壊れてしまう。
 10体倒して1000ペクーニアでは狩れば狩るほど大赤字だそうだ。

 だから子爵領の騎士や徒士は、1番弱いゴブリンしか出ない1階で狩りを行い、武器も防具も壊さず、自分が死傷する事もない狩りをするという。

「1階は、子爵領の者たちの邪魔にならないように一気に駆け抜ける。
 2階は、狩っている者が誰もいなかったら肩慣らしをする、いいな?」

「「「「「はっ!」」」」」

 俺は家臣たちの早さに合わせてゴブリンダンジョン1階を駆けた。
 家臣の半数を率いての訓練狩りだ。
 残る半数は、地上に置いてある馬車や軍馬を見張らせないといけない。

 地階2階は、子爵が話していたように、子爵領の者は誰もいない。
 ゴブリンよりも10倍強いホブゴブリンと戦うのは危険なのだろう。

 皇都の肉ダンジョンのように、徐々に強くなっていくなら、狩る方も慣れるし徐々に強くもなれるのだが、ゴブリンダンジョンは敵が急に強くなり過ぎる。

 2階はホブゴブリン1体にゴブリン9体の群れを作る事が多い。
 それをこちらも10人の部隊を作って戦う。
 敵が2体で味方が1人のような、不利な状況は絶対に作らない。

「よし、2階のホブゴブリンは簡単に殺せる事が確認できた。
 今から3階に下りるが、今度はビッグゴブリンに指揮された100体の群れだ。
 くれぐれも油断しないように」

「「「「「はっ!」」」」」

 ほんの少しだけ心配していたが、地下3階でも何の問題なかった。
 皇都の肉ダンジョンで毎日狩りをしていたからだろう。
 全員が同時に複数のゴブリンを相手にしても楽に戦えた。

「多数の敵を相手に良く戦った、君たちが日頃鍛錬している成果が見事に現れた。
 だが、次の4階では敵が一気に強くなる。
 ゴブリンが現れなくなり、1番弱い敵でもホブゴブリンだ。
 少しでも危険だと思ったら防御に徹するのだ、いいな?!」

「「「「「はっ!」」」」」

 100対45だからほぼ倍で、1番弱い敵がホブゴブリンというのは厳しかった。
 護衛騎士やカラス家系の陪臣徒士や兵卒は大丈夫なのだが、他の、特に守役であるアントニオの家臣が弱かった。

「ひるむな、よく敵を見て盾を使い防御に徹したら大丈夫だ。
 敵を狩るのは護衛騎士や狩りに慣れた徒士に任せたらいい」

 アントニオ個人は素晴らしい騎士だが、家臣全員が同じではない。
 文官能力を買われている者もいるし、そもそも経済的に苦しくて家臣の定員を満たしていなかったので、俺の守役に選ばれてから急いで召し抱えた家臣もいるはずだ。

「焦らなくていい、ここでじっくりと対人戦の訓練をするのだ。 
 領地に入ったら何が起こるか分からない、全員が必要な力を得るまでのここに残るから、焦らなくていい」

 さて、ここなら俺の支援なしでも死ぬことはないだろう。
 そういう意味では、ちょうど良い階層が見つかってよかった。
 こいつらが訓練している間に、腕試しに地下10階まで潜ろうか?
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