35 / 111
第1章
第35話:バカン辺境伯領冒険者ギルド
神歴1817年皇歴213年4月30日バカン辺境伯家領都冒険者ギルド
ロジャー皇子視点
俺が自分の目で冒険者ギルドを確かめようと思ったのは、子爵領で仮病を使っている間に集めた情報の中に、許せない内容があったからだ。
バカン辺境伯家の領都内にある冒険者ギルドの建物はよくある造りだ。
入り口を入った1階正面は受付で、右側の壁に依頼を書いた木板が張られている。
左側には乱暴な冒険者が他の場所で暴れないように、酒場が併設されている。
受付と酒場の間には2階3階に上がる階段があって、2階には冒険者用の安宿があり、行き来出来ないようになっている奥には幹部職員用の部屋もあるはずだ。
3階も通り側の半分は冒険者用の安宿で、奥側半分が平職員用の部屋のはず。
階段と受付の間は通路になっていて、受付で買い取ったモンスターを裏の倉庫に運べる構造になっている。
倉庫には、モンスターだけでなく保存食や薬も保管されていて、いざという時はギルドの建物に籠城する事も考えられている。
ギルドは、領都東側の城壁内、城門の直ぐ近く、何かあれば城門を守れるような場所にあり、冒険者が毎日大森林に通いやすい場所でもある。
領都自体が、大森林から現れるモンスターに対処するためにあるから、領地の中央や交通の要衝ではなく、大森林の直ぐ側にある。
建物に入った直後から、粘り付くような嫌な視線が向けられている。
右側の依頼掲示板と左側の酒場にクズがいるのは当然だが、正面の受付からも粘り付くような嫌な視線が向けられている。
ただ、気をつけなければいけないような強い奴は1人もいない。
連れてきた美少女たちの誰か1人でも、単独で瞬殺できる程度の連中だ。
とんでもなく強い奴が酒場の奥にいたら別だが、まあ大丈夫だろう。
俺たちが受付に向かって進むと、酒場から現れた5人が背後に回った。
腐っても冒険者と冒険者ギルドだな。
範囲魔術を受けないように、獲物を円形に囲む。
「ゴート子爵領で冒険者をしていました、これが証明書と推薦状です」
美少女の1人が、ゴート子爵が領内の冒険者ギルドに命じて作らせてくれた、子爵家の領民で冒険者である証明書とギルドの推薦状を受付に見せる。
1番早い通信手段が、貴族家が抱えている魔術士なので、領地や冒険者ギルドによって連絡の早さや情報の精度が大きく違っている。
多くのラノベでは、冒険者ギルドは国や貴族とは独立した組織になっている。
だがこの世界では、王侯貴族が戦闘力を持つ冒険者ギルドの独立を許さなかった。
皇国はもちろん、全ての貴族が領内の冒険者ギルドを支配下に入れている。
どの貴族だって領内の情報を皇国や他貴族に知られたくないのだ。
当然バカン辺境伯家も冒険者ギルドを統制している。
つまり、さっきまで権力を握っていた10家の支配下にあったのだ。
「ゴート子爵領、聞いた事がありませんね」
10家の支援があるからか、ただの受付嬢のくせに偉そうだ。
「こんな子供まで冒険者登録させるなんて、非常識な領地ですね。
バカン辺境伯領の冒険者ギルドでは、そんな非常識は認められません。
常識のないギルドの証明書や推薦状を信じるわけにはいきません。
ここで冒険者として働きたいのでしたら、1番下の木片級からです」
「ありゃ~、それはいくら何でもかわいそうじゃないか?」
「そう、そう、子爵領でどれくらいの階級だったか知らないけど、木片級、それも初級からやり直すのは大変だぜ」
「だったら俺たちのパーティーに入れてやれば良いんじゃないか?」
「そうだな、そうしてやれば鈦級から始められるぜ」
流れるように話しかけて近づいてくる。
馴れ馴れしく美少女たちの肩を抱こうとしたが、するりとかわされている。
この程度で鈦級なんて笑わせてくれるぜ。
「とはいえ、いくら何でもこんなガキはパーティーに入れられない。
こいつを追い出して上でゆっくり話し合わせてもらおうぜ」
「おい、こんな言動を許しているという事は、冒険者ギルドもグルだな。
この方法で何十何百の冒険者を闇組織に売ったな?!」
「「「「「なっ!」」」」」
「もういいぞ、叩きのめしてやれ!」
「「「「「はい!」」」」」
★★★★★★以下は設定です、好きな方だけ読んでください。
「冒険者ギルドの階級」
木級:ギルドメンバーの認識票が木製
:見習の駆け出しに与えられる
:初級、中級、上級があり、木片に印を加える事で昇級
鋁級:ギルドメンバーの認識票がアルミニウム製
:見習を終えた駆け出しギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、アルミニウム片に印を加える事で昇級
鉄級:ギルドメンバーの認識票が鉄製
:最低限の魔獣を狩れるようになったギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、鉄片に印を加える事で昇級
鈦級:ギルドメンバーの認識票がチタン製
:一人前と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、チタン片に印を加える事で昇級
鎳級:ギルドメンバーの認識票がニッケル製
:一流と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、ニッケル片に印を加える事で昇級
黄銅級:ギルドメンバーの認識票が黄銅製
:超一流と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、黄銅片に印を加える事で昇級
銀級:ギルドメンバーの認識票が銀製
:伝説級と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、銀片に印を加える事で昇級
ロジャー皇子視点
俺が自分の目で冒険者ギルドを確かめようと思ったのは、子爵領で仮病を使っている間に集めた情報の中に、許せない内容があったからだ。
バカン辺境伯家の領都内にある冒険者ギルドの建物はよくある造りだ。
入り口を入った1階正面は受付で、右側の壁に依頼を書いた木板が張られている。
左側には乱暴な冒険者が他の場所で暴れないように、酒場が併設されている。
受付と酒場の間には2階3階に上がる階段があって、2階には冒険者用の安宿があり、行き来出来ないようになっている奥には幹部職員用の部屋もあるはずだ。
3階も通り側の半分は冒険者用の安宿で、奥側半分が平職員用の部屋のはず。
階段と受付の間は通路になっていて、受付で買い取ったモンスターを裏の倉庫に運べる構造になっている。
倉庫には、モンスターだけでなく保存食や薬も保管されていて、いざという時はギルドの建物に籠城する事も考えられている。
ギルドは、領都東側の城壁内、城門の直ぐ近く、何かあれば城門を守れるような場所にあり、冒険者が毎日大森林に通いやすい場所でもある。
領都自体が、大森林から現れるモンスターに対処するためにあるから、領地の中央や交通の要衝ではなく、大森林の直ぐ側にある。
建物に入った直後から、粘り付くような嫌な視線が向けられている。
右側の依頼掲示板と左側の酒場にクズがいるのは当然だが、正面の受付からも粘り付くような嫌な視線が向けられている。
ただ、気をつけなければいけないような強い奴は1人もいない。
連れてきた美少女たちの誰か1人でも、単独で瞬殺できる程度の連中だ。
とんでもなく強い奴が酒場の奥にいたら別だが、まあ大丈夫だろう。
俺たちが受付に向かって進むと、酒場から現れた5人が背後に回った。
腐っても冒険者と冒険者ギルドだな。
範囲魔術を受けないように、獲物を円形に囲む。
「ゴート子爵領で冒険者をしていました、これが証明書と推薦状です」
美少女の1人が、ゴート子爵が領内の冒険者ギルドに命じて作らせてくれた、子爵家の領民で冒険者である証明書とギルドの推薦状を受付に見せる。
1番早い通信手段が、貴族家が抱えている魔術士なので、領地や冒険者ギルドによって連絡の早さや情報の精度が大きく違っている。
多くのラノベでは、冒険者ギルドは国や貴族とは独立した組織になっている。
だがこの世界では、王侯貴族が戦闘力を持つ冒険者ギルドの独立を許さなかった。
皇国はもちろん、全ての貴族が領内の冒険者ギルドを支配下に入れている。
どの貴族だって領内の情報を皇国や他貴族に知られたくないのだ。
当然バカン辺境伯家も冒険者ギルドを統制している。
つまり、さっきまで権力を握っていた10家の支配下にあったのだ。
「ゴート子爵領、聞いた事がありませんね」
10家の支援があるからか、ただの受付嬢のくせに偉そうだ。
「こんな子供まで冒険者登録させるなんて、非常識な領地ですね。
バカン辺境伯領の冒険者ギルドでは、そんな非常識は認められません。
常識のないギルドの証明書や推薦状を信じるわけにはいきません。
ここで冒険者として働きたいのでしたら、1番下の木片級からです」
「ありゃ~、それはいくら何でもかわいそうじゃないか?」
「そう、そう、子爵領でどれくらいの階級だったか知らないけど、木片級、それも初級からやり直すのは大変だぜ」
「だったら俺たちのパーティーに入れてやれば良いんじゃないか?」
「そうだな、そうしてやれば鈦級から始められるぜ」
流れるように話しかけて近づいてくる。
馴れ馴れしく美少女たちの肩を抱こうとしたが、するりとかわされている。
この程度で鈦級なんて笑わせてくれるぜ。
「とはいえ、いくら何でもこんなガキはパーティーに入れられない。
こいつを追い出して上でゆっくり話し合わせてもらおうぜ」
「おい、こんな言動を許しているという事は、冒険者ギルドもグルだな。
この方法で何十何百の冒険者を闇組織に売ったな?!」
「「「「「なっ!」」」」」
「もういいぞ、叩きのめしてやれ!」
「「「「「はい!」」」」」
★★★★★★以下は設定です、好きな方だけ読んでください。
「冒険者ギルドの階級」
木級:ギルドメンバーの認識票が木製
:見習の駆け出しに与えられる
:初級、中級、上級があり、木片に印を加える事で昇級
鋁級:ギルドメンバーの認識票がアルミニウム製
:見習を終えた駆け出しギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、アルミニウム片に印を加える事で昇級
鉄級:ギルドメンバーの認識票が鉄製
:最低限の魔獣を狩れるようになったギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、鉄片に印を加える事で昇級
鈦級:ギルドメンバーの認識票がチタン製
:一人前と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、チタン片に印を加える事で昇級
鎳級:ギルドメンバーの認識票がニッケル製
:一流と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、ニッケル片に印を加える事で昇級
黄銅級:ギルドメンバーの認識票が黄銅製
:超一流と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、黄銅片に印を加える事で昇級
銀級:ギルドメンバーの認識票が銀製
:伝説級と認められたギルドメンバーに与えられる
:初級、中級、上級があり、銀片に印を加える事で昇級
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始!
2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!