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第1章
第50話:感謝
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神歴1817年皇歴213年6月16日アバコーン辺境伯家領城:ロジャー皇子視点
「15日間もの長きに渡り滞在していただき、感謝の言葉もございません。
心からお礼申し上げます、ありがとうございました」
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
大広間にズラリと整列したアバコーン辺境伯家の家臣が最敬礼してくれる。
それくらい俺が長く泊まった事は大きかった。
アバコーン辺境伯家が、家の威信にかけて掻き集めた美味珍味による歓迎。
俺がそれに倍する宿泊料を支払ったからだ。
領内外の商人も、俺が金払いの良い客だと知って、美味珍味を持ち込んだ。
更に俺が馬車や牛車、保存の利く穀物や塩砂糖を集めていると知って、周辺の領地から買い集めて持って来てくれた。
その全ての物資を領内に持ち込むたびに、アバコーン辺境伯家に関税が入る。
それと、俺が支払う家臣たちの分を合わせた宿泊料も莫大な額だ。
更に、爆増した関税には及ばないが、スレッガー叔父上たちが納めるダンジョン税もそれなりの金額になっていた。
地下1階で堅実にレベル上げを行った叔父上指揮下の新設徒士隊は、7日で地下2階に下りられるようになった。
地下1階で時間をかけたお陰で、地下2階でも堅実に群を狩れた。
危険を感じたハイ・フォリスト・ウルフ逃がすことなく最後に狩る。
確実に10頭全てを狩れるので、ドロップも経験値も堅実に稼げていた。
新たに召し抱えた配下の大半が元平民なので、変なプライドなどはない。
100人で10頭を狩るのを恥だとは思わないし、余計な事も口にしない。
むしろ死傷する危険がなくてうれしいと言う。
だから常に数的有利を保って安全確実に狩りをする。
そのお陰でドロップと経験値を効率的に稼げ、予想以上の早さで深く潜れるようになった。
一瞬頭に浮かんだことを振り払って、家臣総出でお礼を言うアバコーン辺境伯家一堂に返事をする。
「気にするな、血は遠いがアバコーン辺境伯は親戚だ。
同じ皇室の血を受け継ぐ大切な同志、仲間だ。
特にアバコーン辺境伯家は、家祖殿が子孫よりも皇室を優先しろと遺言されたほど、皇室に忠誠厚き家柄だ。
俺ができる協力はこれからも惜しまない、何でも言ってくれ」
「ロジャー皇子殿下からお受けしたご恩は、皇都にいる主人にも伝えております。
主人を通して、この度のキャバン選帝侯の悪行を皇帝陛下に伝え、厳しく糾弾するように願い出ております」
良くできた領地家宰だ、俺の本心を分かってくれている。
「心から感謝する、ありがとう。
だが決して無理をしないようにとアバコーン辺境伯に伝えてくれ。
選帝侯どもの思い上がりと悪行は、留まるところを知らぬ。
皇子皇女をどれだけ殺したか分からぬほどだ。
そのような連中だから、アバコーン辺境伯を殺す事もためらわぬ」
「主の心配をしてくださり、ありがとうございます。
しかしながら、心配には及びません。
主の周りには、我が家自慢の腕利きが常に付き従っております。
ダンジョンの地下5階を、1人で狩りに行ける猛者たちでございます」
「ほう、それほどの猛者がいるのなら安心だ。
それに比べて俺の家臣たちは心許ない。
元は平民で、まだ召し抱えて15日とは言え、ダンジョンに挑んで14日目にようやく地下3階に潜れる程度だ」
「とんでもありません、平民がダンジョンの地下3階に潜れるのなら十分です。
それも武器を初めて持って、たった14日で潜れるようなら、将来は有望です。
もし宜しければ、これからも我が家のダンジョンをご利用ください」
さすがだ、機会を見ては領地の宣伝をする。
「そうだな、考えておこう。
対人戦闘を経験させるために、1度はゴブリンダンジョンに行かせなければいけないが、経験値を稼ぐだけならここでも問題はない」
「はっ、宜しくお願いいたします」
「ただし、以前言ったように、家臣たちの訓練と実利が目的だと、今回のような金遣いはできないぞ」
「心得ております、ロジャー皇子殿下にこれ以上のご負担をかけないように、普通の徒士が宿泊する宿を整備しておきます」
実は、全く負担になっていないので何の問題もない。
だが税を払わず隠れて狩りをしている事は口にできない。
実際にはゴブリンダンジョンよりもぼろ儲けできた。
上はキング・フォリスト・ウルフから下はフォリスト・ウルフまでの毛皮は、寒さの厳しいバカン辺境伯領にはありがたいドロップだった。
正確な人数は分からなくなっているが、建前上32万人いる領民全てに、暖かい毛皮のコートを、予備を含めて作ってやれる。
それだけでなく、狼毛皮を複数使った、厚くて広くて手足の出ない寝具を、上下そろいで作ってやれるだけの数が手に入った。
「うむ、世話になったな」
「15日間もの長きに渡り滞在していただき、感謝の言葉もございません。
心からお礼申し上げます、ありがとうございました」
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
大広間にズラリと整列したアバコーン辺境伯家の家臣が最敬礼してくれる。
それくらい俺が長く泊まった事は大きかった。
アバコーン辺境伯家が、家の威信にかけて掻き集めた美味珍味による歓迎。
俺がそれに倍する宿泊料を支払ったからだ。
領内外の商人も、俺が金払いの良い客だと知って、美味珍味を持ち込んだ。
更に俺が馬車や牛車、保存の利く穀物や塩砂糖を集めていると知って、周辺の領地から買い集めて持って来てくれた。
その全ての物資を領内に持ち込むたびに、アバコーン辺境伯家に関税が入る。
それと、俺が支払う家臣たちの分を合わせた宿泊料も莫大な額だ。
更に、爆増した関税には及ばないが、スレッガー叔父上たちが納めるダンジョン税もそれなりの金額になっていた。
地下1階で堅実にレベル上げを行った叔父上指揮下の新設徒士隊は、7日で地下2階に下りられるようになった。
地下1階で時間をかけたお陰で、地下2階でも堅実に群を狩れた。
危険を感じたハイ・フォリスト・ウルフ逃がすことなく最後に狩る。
確実に10頭全てを狩れるので、ドロップも経験値も堅実に稼げていた。
新たに召し抱えた配下の大半が元平民なので、変なプライドなどはない。
100人で10頭を狩るのを恥だとは思わないし、余計な事も口にしない。
むしろ死傷する危険がなくてうれしいと言う。
だから常に数的有利を保って安全確実に狩りをする。
そのお陰でドロップと経験値を効率的に稼げ、予想以上の早さで深く潜れるようになった。
一瞬頭に浮かんだことを振り払って、家臣総出でお礼を言うアバコーン辺境伯家一堂に返事をする。
「気にするな、血は遠いがアバコーン辺境伯は親戚だ。
同じ皇室の血を受け継ぐ大切な同志、仲間だ。
特にアバコーン辺境伯家は、家祖殿が子孫よりも皇室を優先しろと遺言されたほど、皇室に忠誠厚き家柄だ。
俺ができる協力はこれからも惜しまない、何でも言ってくれ」
「ロジャー皇子殿下からお受けしたご恩は、皇都にいる主人にも伝えております。
主人を通して、この度のキャバン選帝侯の悪行を皇帝陛下に伝え、厳しく糾弾するように願い出ております」
良くできた領地家宰だ、俺の本心を分かってくれている。
「心から感謝する、ありがとう。
だが決して無理をしないようにとアバコーン辺境伯に伝えてくれ。
選帝侯どもの思い上がりと悪行は、留まるところを知らぬ。
皇子皇女をどれだけ殺したか分からぬほどだ。
そのような連中だから、アバコーン辺境伯を殺す事もためらわぬ」
「主の心配をしてくださり、ありがとうございます。
しかしながら、心配には及びません。
主の周りには、我が家自慢の腕利きが常に付き従っております。
ダンジョンの地下5階を、1人で狩りに行ける猛者たちでございます」
「ほう、それほどの猛者がいるのなら安心だ。
それに比べて俺の家臣たちは心許ない。
元は平民で、まだ召し抱えて15日とは言え、ダンジョンに挑んで14日目にようやく地下3階に潜れる程度だ」
「とんでもありません、平民がダンジョンの地下3階に潜れるのなら十分です。
それも武器を初めて持って、たった14日で潜れるようなら、将来は有望です。
もし宜しければ、これからも我が家のダンジョンをご利用ください」
さすがだ、機会を見ては領地の宣伝をする。
「そうだな、考えておこう。
対人戦闘を経験させるために、1度はゴブリンダンジョンに行かせなければいけないが、経験値を稼ぐだけならここでも問題はない」
「はっ、宜しくお願いいたします」
「ただし、以前言ったように、家臣たちの訓練と実利が目的だと、今回のような金遣いはできないぞ」
「心得ております、ロジャー皇子殿下にこれ以上のご負担をかけないように、普通の徒士が宿泊する宿を整備しておきます」
実は、全く負担になっていないので何の問題もない。
だが税を払わず隠れて狩りをしている事は口にできない。
実際にはゴブリンダンジョンよりもぼろ儲けできた。
上はキング・フォリスト・ウルフから下はフォリスト・ウルフまでの毛皮は、寒さの厳しいバカン辺境伯領にはありがたいドロップだった。
正確な人数は分からなくなっているが、建前上32万人いる領民全てに、暖かい毛皮のコートを、予備を含めて作ってやれる。
それだけでなく、狼毛皮を複数使った、厚くて広くて手足の出ない寝具を、上下そろいで作ってやれるだけの数が手に入った。
「うむ、世話になったな」
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