皇帝の14男ですが、皇位争いの暗殺や謀殺から生き延びて、何とか貧乏辺境伯家に婿入りできました。前世知識と魔力でスローライフしたい。

克全

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第1章

第54話:フキ紙と実験

神歴1817年皇歴213年7月3日バカン辺境伯家領都領城:ロジャー皇子視点

「意外と美味しくて食べ応えがありました。
 これを塩漬けにして干せば、携帯用の食料になるのですか?」

 フキの煮物が気に入ったスレッガー叔父上が聞いて来た。

「そうだな、水と一緒に煮たらスープ代わりになるが、これだけでは十分な兵糧とはは言えない。
 それに、フキは塩漬けにしないでそのまま干した方が良い。
 干肉は、長期保存するために強い塩に漬けてからカラカラに干してある。
 それを戻す時に強い塩水ができるから、それをスープに使う。
 だから他の具材になるフキやキノコはそのまま干した方が良い」

「そうなのですか、ですか貴重なキノコは、兵糧にできるほどの数を集めるのは難しいでしょう?」

「そうなのか、だったら試しにキノコの栽培もやろう。
 だがそれはこれからの話だ、まずはこれを見てくれ」

 俺は昨日から試作していた、超巨大フキの皮をむいて作った紙を見せた。
 フキの皮1枚で作った紙と、食物繊維が十字になるように、2枚を合わせて1枚にした紙をだした。

「これが殿下が試作された紙ですか?」

「そうだ、皮1枚だけで作った紙と2枚を合わせて作った紙だ。
 2枚を合わせるのに手間と時間がかかると思っていたのだが、拍子抜けするくらい簡単に合わせる事ができた」

「へぇ、なぜそんな事ができたのですか?」

「超巨大フキの皮をはいだ内側同士を合わせて乾かすと、そのままピッタリと張り付いてくれるんだ。
 そのどちらが文字を書きやすいか試してもらいたい」

「殿下は試されなかったのですか?」

「俺も試したが、他の人間の意見も聞きたいのだ」

「他の人間の意見を聞くのが俺だけで良いんですか?」

「ちゃんと他の人間の意見も聞く、最初に叔父上の意見が聞きたいのだ」

「そう言っていただけると安心して意見が言えます。
 俺の意見だけしか聞かないと言われたら、怖くて何も言えなくなります」

「言いたい放題の叔父上が良く言う」

「これは片面が凸凹していますね、かなり書きにくいです。
 もう片面は、凸凹は少ないですが、ペンの滑りが悪いですね」

 自分に都合が悪くなったから無視しやがった!
 まあ、いい、忘れた頃に意地悪してやろう。

「それは超巨大フキの皮を1枚だけ使った磨き前の紙だ。
 こちらが同じ1枚物を磨いた後の紙だ、試してくれ」

「おお、これはとても書きやすいですよ、サラサラ書ける。
 これなら十分羊皮紙の代わりに使えますよ!」

「厚みはどうだ、薄過ぎたりはしないか?」

「そうですね、書き損じた時に削る事を考えたら、2枚合わせた紙の方が良いかもしれませんが、これでも十分使えますよ。
 特に殿下が言っておられた、子供たちの勉強用の紙にするのなら、1枚紙で十分だと思います」

「では2枚物も試し書きしてくれ」

「おお、これはとても書きやすいですし、書き損じた時も安心して削れます。
 これなら公式の文章にも使えますし、記録用にも使えます。
 問題は殿下が言われていた原料の数ですが、領内で自作できたら問題解決です。
 ですが自作できなかった時の事も考えて、明日別の群生地を探しましょう!」

「そうだな、明日も軍団を総動員して巨大フキの群生地を探そう」

 群生地を探すのも収穫するのも、その気になれば自分1人でもできる。
 だが、これ以上俺の実力を明らかにする気はない。
 それに、俺1人の力よりも、家臣の力を高めた方が良い。
 
 俺が死んだらダメになるような領地経営ではいけないのだ。
 俺が死んでもビクともしないような、家臣領民が力を合わせて食糧を作り、金が稼げる領地経営にしなければいけない!

 これでバカン辺境伯家の紙生産はひとまず大丈夫だろう。
 問題はアバコーン辺境伯領の主産業である狼皮紙の活用法だ。
 何か狼皮紙特有の利点があればいいのだが、前世のラノベアイデアを試すか?

 魔樹の植物繊維から作った紙には、独特の特性があると書かれているラノベが多かったから、この世界もそうなっている可能性がある。

 同じように、モンスターの皮から作った獣皮紙なら、独特の特性があって、何かに使えるようにしてある可能性がある。

 良くあるのが、魔法陣を発動させるには魔獣皮に書かなければいけない事だ。
 問題はこの世界に魔法陣や魔道具の概念がない事だ。
 研究はされているが、まだ誰も成功していない。

「これから実験をするから帰ってくれ」

「相変わらずワガママすぎますぞ!」
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