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第1章
第60話:家畜と徴用
神歴1817年皇歴213年7月8日バカン辺境伯家領都領城:ロジャー皇子視点
「殿下、乗馬訓練を始めたいのですが、よろしいですか?」
有り余る軍馬を有効利用したくなったのだろう。
スレッガー叔父上が、徒士ばかりの新規家臣から騎士を育てると言い出した。
「そうだな、馬の数はそろっているし、軽装、中装、重装の3つに分けた騎兵隊を作るつもりで準備してくれ」
「軽装、中装、重装ですって、意味が分かりません!」
「これまでの、金属製の盾を持ち、金属製全身鎧を装備して戦うのが重装騎兵だ。
軽い最低限の装備だけで、馬の脚の早さを生かして奇襲や後方かく乱を行う、弓を主力にするのが軽装騎兵だ。
その中間にあって、致命傷を受けそうな部分だけ厚みのある防具を身に付けて、重装騎兵よりも早く長く移動ができて、軽装騎兵よりも打たれ強いのが中装騎兵だ」
「本当に役に立つのか心配ですが、殿下が役に立つと申されるのでしたら、重装騎兵以上に役に立つのでしょう、分かりました、3つに分けて作ります」
「勘違いするな、叔父上、どちらが上とか下ではない。
戦場や戦況によって有利不利があるだけだ。
ようは、こちらの使い方しだいで役にも立てばムダにもなる。
俺が上手く使いこなすから、叔父上に育ててもらいたい」
「分かりました、任せてください」
許可をもらったスレッガー叔父上は、意気揚々と選抜した徒士たちの所に行った。
彼らが叔父上期待の騎士候補なのだろう。
「大森林で集めた牛系のモンスターは大人しくしているか?」
俺は農民出身の牛車担当徒士に聞いた。
「はい、これまで恐れていたのが何だったんだろうと思うくらい素直で大人しく、人間の言う通りに畑を耕したり荷車を曳いたりしています」
「お前たちがここに戻ってきた時に使った多くの荷車だが、戦時には食糧や装備を運ぶ牛車にしようと思っている」
「こちらに来る時には、馬や牛だけでなく、ロバやカリブー、犬や狼まで利用しましたが、牛に限られるのですか?」
「あの時に買った動物たちは、比較的年老いたモノが多かった。
近隣の農民や貴族士族が、若くて長く利用できる家畜を残して、年老いた家畜や弱った家畜を俺に売ったのだ。
そんな家畜は戦場に連れて行けない、領地に残して農作業と繁殖に専念させる。
戦場に連れて行く家畜は、大森林のモンスターにする。
その点を考えて、戦時に徴用する家畜と農作業用に残す家畜に選別をしろ」
「はい!」
馬以外の家畜のあつかいはこれで良いだろう。
問題は馬だ、貴族や騎士に馬は必要不可欠だ。
乗るのは馬、車を引かすのも馬と決まっている。
騎士か、騎兵隊は重装、中装、軽装の3つの兵種に分けるが、長年の伝統を考えると、重装以外は騎士と認められないかもしれない。
これまでの伝統が忘れられない士族出身者は、重装騎兵に入れよう。
中装と軽装は、徒士になれただけでも大出世と考えている平民にやってもらう。
頭の古い連中はなかなか認めないだろうが、俺が中装と軽装の騎兵隊を上手く操って大戦果をあげれば、これまでの考えも徐々に変わっていくだろう。
重装備を必要としなければ、騎兵隊を編成する費用は安くなり、育成に必要な年月も早くなる。
今手元にある馬を全て使って1万騎の大騎馬軍団を作り上げるには、乗馬の特訓に5年、馬上で上手く武器を扱えるようになるのに5年、合計10年はかかる。
中途半端な状態で戦場に投入して大損害を受けたら、再建するのにまた10年かかるが、半数が残っていれば先輩が鍛える事で時間短縮が可能だ。
そもそも、成人してから乗馬や武器の扱い方を学ぶようでは遅すぎる。
子供のうちから乗馬や武術に慣れ親しんでいれば、成人して直ぐに騎兵として活用できるから、馬を使って自給自足する小領地の騎士家を創設したい。
騎乗資格を持つ戦国時代の武士は、予備を含めた2頭の馬と2つの鎧を持っていなければいけなかった。
だが土佐の一領具足は、兵農分離前の半農半兵の地侍で、農耕兼用の馬1頭と1つの鎧だけの騎兵だった。
今の皇国の騎士は、最低でも300人の領民を持つ領主だが、一領具足で良いと割り切れば、もっと少ない領民数ですむ。
いや、領民のいない、家族だけで領地を耕す武装農民でも騎兵にできる
皇国騎士は、領民に耕させている自分の土地と領民の土地を合わせれば、240ヘクタールの農地と240ヘクタールの森林、30ヘクタールの溜池を持っている。
それくらいないと、軍馬2頭と金属製の完全鎧2つを維持できないし、皇国が定めている軍役を守る事ができない。
だが、予備の馬の必要がなく、予備の鎧も必要がないのなら、領民のいない9ヘクタールの自作農でも軽装騎兵としての家を維持できる。
だがこれは、全ての農地を毎年耕作できる前提で成り立っている。
農地の1/3しか耕作できない三圃式農業では、27ヘクタールの農地が必要になってしまうのだ。
土地が余っていて、人間が少ないバカン辺境伯領では、20年くらいは三圃式農業で大丈夫だが、人が増えてきたらそうはいかなくなる。
子供の数を制限するか、老人を捨てるか、土地や食糧を奪い合う戦いをするか。
どちらにしてもろくな未来ではなくなる。
20年以内に全ての農地で毎年耕作できるようにしたい。
その為には効果的な肥料が必要になる。
「人糞を肥料にする実験はどうなっている?!」
「殿下、乗馬訓練を始めたいのですが、よろしいですか?」
有り余る軍馬を有効利用したくなったのだろう。
スレッガー叔父上が、徒士ばかりの新規家臣から騎士を育てると言い出した。
「そうだな、馬の数はそろっているし、軽装、中装、重装の3つに分けた騎兵隊を作るつもりで準備してくれ」
「軽装、中装、重装ですって、意味が分かりません!」
「これまでの、金属製の盾を持ち、金属製全身鎧を装備して戦うのが重装騎兵だ。
軽い最低限の装備だけで、馬の脚の早さを生かして奇襲や後方かく乱を行う、弓を主力にするのが軽装騎兵だ。
その中間にあって、致命傷を受けそうな部分だけ厚みのある防具を身に付けて、重装騎兵よりも早く長く移動ができて、軽装騎兵よりも打たれ強いのが中装騎兵だ」
「本当に役に立つのか心配ですが、殿下が役に立つと申されるのでしたら、重装騎兵以上に役に立つのでしょう、分かりました、3つに分けて作ります」
「勘違いするな、叔父上、どちらが上とか下ではない。
戦場や戦況によって有利不利があるだけだ。
ようは、こちらの使い方しだいで役にも立てばムダにもなる。
俺が上手く使いこなすから、叔父上に育ててもらいたい」
「分かりました、任せてください」
許可をもらったスレッガー叔父上は、意気揚々と選抜した徒士たちの所に行った。
彼らが叔父上期待の騎士候補なのだろう。
「大森林で集めた牛系のモンスターは大人しくしているか?」
俺は農民出身の牛車担当徒士に聞いた。
「はい、これまで恐れていたのが何だったんだろうと思うくらい素直で大人しく、人間の言う通りに畑を耕したり荷車を曳いたりしています」
「お前たちがここに戻ってきた時に使った多くの荷車だが、戦時には食糧や装備を運ぶ牛車にしようと思っている」
「こちらに来る時には、馬や牛だけでなく、ロバやカリブー、犬や狼まで利用しましたが、牛に限られるのですか?」
「あの時に買った動物たちは、比較的年老いたモノが多かった。
近隣の農民や貴族士族が、若くて長く利用できる家畜を残して、年老いた家畜や弱った家畜を俺に売ったのだ。
そんな家畜は戦場に連れて行けない、領地に残して農作業と繁殖に専念させる。
戦場に連れて行く家畜は、大森林のモンスターにする。
その点を考えて、戦時に徴用する家畜と農作業用に残す家畜に選別をしろ」
「はい!」
馬以外の家畜のあつかいはこれで良いだろう。
問題は馬だ、貴族や騎士に馬は必要不可欠だ。
乗るのは馬、車を引かすのも馬と決まっている。
騎士か、騎兵隊は重装、中装、軽装の3つの兵種に分けるが、長年の伝統を考えると、重装以外は騎士と認められないかもしれない。
これまでの伝統が忘れられない士族出身者は、重装騎兵に入れよう。
中装と軽装は、徒士になれただけでも大出世と考えている平民にやってもらう。
頭の古い連中はなかなか認めないだろうが、俺が中装と軽装の騎兵隊を上手く操って大戦果をあげれば、これまでの考えも徐々に変わっていくだろう。
重装備を必要としなければ、騎兵隊を編成する費用は安くなり、育成に必要な年月も早くなる。
今手元にある馬を全て使って1万騎の大騎馬軍団を作り上げるには、乗馬の特訓に5年、馬上で上手く武器を扱えるようになるのに5年、合計10年はかかる。
中途半端な状態で戦場に投入して大損害を受けたら、再建するのにまた10年かかるが、半数が残っていれば先輩が鍛える事で時間短縮が可能だ。
そもそも、成人してから乗馬や武器の扱い方を学ぶようでは遅すぎる。
子供のうちから乗馬や武術に慣れ親しんでいれば、成人して直ぐに騎兵として活用できるから、馬を使って自給自足する小領地の騎士家を創設したい。
騎乗資格を持つ戦国時代の武士は、予備を含めた2頭の馬と2つの鎧を持っていなければいけなかった。
だが土佐の一領具足は、兵農分離前の半農半兵の地侍で、農耕兼用の馬1頭と1つの鎧だけの騎兵だった。
今の皇国の騎士は、最低でも300人の領民を持つ領主だが、一領具足で良いと割り切れば、もっと少ない領民数ですむ。
いや、領民のいない、家族だけで領地を耕す武装農民でも騎兵にできる
皇国騎士は、領民に耕させている自分の土地と領民の土地を合わせれば、240ヘクタールの農地と240ヘクタールの森林、30ヘクタールの溜池を持っている。
それくらいないと、軍馬2頭と金属製の完全鎧2つを維持できないし、皇国が定めている軍役を守る事ができない。
だが、予備の馬の必要がなく、予備の鎧も必要がないのなら、領民のいない9ヘクタールの自作農でも軽装騎兵としての家を維持できる。
だがこれは、全ての農地を毎年耕作できる前提で成り立っている。
農地の1/3しか耕作できない三圃式農業では、27ヘクタールの農地が必要になってしまうのだ。
土地が余っていて、人間が少ないバカン辺境伯領では、20年くらいは三圃式農業で大丈夫だが、人が増えてきたらそうはいかなくなる。
子供の数を制限するか、老人を捨てるか、土地や食糧を奪い合う戦いをするか。
どちらにしてもろくな未来ではなくなる。
20年以内に全ての農地で毎年耕作できるようにしたい。
その為には効果的な肥料が必要になる。
「人糞を肥料にする実験はどうなっている?!」
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