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第2章
第66話:海禁
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神歴1818年皇歴214年3月25日グレイシー内宮:ロジャー皇子視点
俺がブチ切れて暴れてから6カ月が経った。
俺が選んだ検分役を元選帝侯の領地に送ると、次々と重大な違法行為が発覚した。
以前なら揉み消せたのだろうが、俺が実力の一部を見せた後だから、庇おうとする者は皆無だった。
先に処罰されたキャバンに加え、残る4人にも自害が命じられた。
アステリア皇国における貴族士族の死刑は割と温情的だ。
致死量の睡眠薬を飲んで眠りながら死ねる。
前世の日本のように、自分で切腹しなければいけない訳じゃない。
もっとも日本の切腹も、本人が望まない限り扇子腹で許される。
扇子で腹を斬る振りをすると、介錯役の達人が首を刎ねてくれる。
普通なら合計5家の選帝侯家が取り潰しになる。
潰した後の家臣が叛乱を起こすのが不安なら、領地を減らして遠縁に継がせる。
だが今回は、皇室と皇国に事情があった。
ジョージ皇帝がとんでもない子沢山で、彼らが成人するまでに、皇子や皇女に相応しい養子先や嫁ぎ先を確保しなければいけないのだ。
そこで5つの選帝侯家は、取り潰す代わりに皇子たちの養子先にされた。
自害させられた当主の子女は、養子に送られた皇子の養子養女にされる予定だ。
元選帝侯の子女とはいえ、重罪人の子供なので、同じ貴族家には養子に行けないし、嫁ぐこともできない。
一生義理の親、それも年下の親、臣籍降下した皇子の厄介者として暮らすしかないのだが、それが嫌なら、教会に入って世俗を離れるしかない。
後は家臣の家に養子に入ったり降嫁したりだな。
ただ、養子に行く皇子たちは、まだとても幼い。
とても政務は取れないので、貴族家の重臣だけでなく、皇国からも貴族家の運営を監視する者が送られている。
それに、暗殺合戦は止めたのだが、暗殺を警戒して俺の治療を拒む親もいて、乳幼児の間に死んでしまう弟妹が後を絶たない。
だがそれもしかたがないのかもしれない。
ジョージ皇帝が新たに選んだ選帝侯や宮中伯は、全員俺の顔色を窺っている。
実力を隠すのを止めた俺の事が怖くて仕方がないのだ。
こんな状態だから、弟妹の家族も俺に治療させる気にならないのかもしれない。
俺は皇位には興味がないと言っているし、貴族家に養子に入ったから皇位継承権も無くなっているのだが、それでも警戒されてしまう。
同母兄のオスカーが、皇位継承権を残せるロクスバラ公爵の当主となったで、俺がオスカーを皇帝につけようとしていると邪推しているのだ。
特に生き残っている皇子の中で最年長の、フレディ皇子と家族と取り巻きが、目の色を変えて俺を警戒敵視している。
できれば誤解を解きたいのだが、一切聞く耳を持たない。
そうなるとこちらも引き続き家族の守りを固めないといけない。
余計な労力は使いたくないのに、困ったものだ。
まあ、ジョージ皇帝が極度に俺の事を怖がり、言い成りになっているから、フレディ皇子一派が警戒するのもしかたがない。
俺がその気になれば、フレディ皇子を廃嫡にする事も、オスカー兄さんを皇帝にする事も簡単だ。
現に長年続けてきた制限海外交易が俺のお願いで簡単に変わった。
これまで交易を許されていた国が入国禁止、交易禁止となった。
密貿易で奴隷として連れ去った人々を、全員帰さない限り禁止は解かない。
5年以内に連れ去った人々を全員帰さないと、こちらから攻め込んで取り返す。
そうジョージ皇帝に宣言させた。
内心では今直ぐ助けに行きたいが、情けない事に、皇国には海魔獣が跳梁跋扈する魔海を航行する船も無ければ、航海術を会得している船員もいない。
だから5年という期間を設けて、魔海航行艦を建造し船員を育てる。
そんな大事業は、俺がジョージ皇帝の尻を蹴り上げないと絶対にできない。
フレディ皇子一派に警戒されると分かっていても、俺がやるしかなかった。
とても大事な事業なので、堕落した皇国の騎士や徒士には任せられない。
財政的にも、皇国にそれだけの余裕がない。
だから俺が個人的な資金で、船も人も集める事にした。
五選帝侯処罰に連座して多くの皇国騎士や徒士を処罰した。
領地を没収したり報酬を取り上げたりした。
だがそれくらいでは、ジョージ皇帝の悪政による慢性的な赤字を補填する程度だ。
とても魔海航行艦を建造する資金は生み出せない。
それに、強力な魔海航行艦を信用できない皇国士族に預ける気にはならない。
俺の支配下にある直臣にしか任せられない。
船の形や大きさは、前世で調べ覚えている大型フリゲート艦にした。
戦列艦だと速力と運動性能が低過ぎる気がしたからだ。
戦列艦では敵対する国の船や海魔獣と互角に戦えない気がしたのだ。
「大型フリゲート」
排水量:2200トン
トン数:1576トン
全長 :62メートル
全幅 :14メートル
吃水 :7メートル
帆装 :3本マスト
武装 :24ポンド長砲×30門
:24ポンド艦首砲×2門
:24ポンド艦尾砲×4門
:32ポンド短砲×20門
乗員 :450名
搭載船:長ボート 1隻
:カッター 2隻
:捕鯨ボート2隻
:快速ギグ 1隻
:雑用ボート1隻
:短ボート 1隻
俺は、魔海航行艦の建造と所有をジョージ皇帝に認めさせた。
その上で、俺が選んだ皇国検分役が治める、キャバン辺境伯領で魔海航行艦の建造をさせた。
前選帝侯の悪政で腐敗疲弊したキャバン辺境伯領を復興させるためだ。
同母弟のイーサンが跡を継ぐかもしれないので、収支が黒字になるように、商工業はもちろん、造船業も他領を越える状態にしたかった。
ただ、異母弟が次々と死んでいくので、今皇国が預かっている元選帝侯家を継ぐ者がいなくなるかもしれない。
長期間当主のいない辺境伯家は異常だが、当主が本当に政務を執っている貴族家は少なく、大抵は重臣が専横している。
だから生まれたばかりの1歳児皇子が死ぬまでの数年間表向きの当主となり、実際は辺境伯家の重臣や皇国が送り込んだ後見人が政務を執るのも許される。
皇子が死んだ後は、また当主不在の期間となる。
兄や俺の子供が養子先に困らないように、当主のいない譜代貴族家があって良い。
などと考えていると、皇国の役人が報告にやって来た。
「ロジャー殿下、レベルが規定以上になった者をどうしましょう?」
俺がブチ切れて暴れてから6カ月が経った。
俺が選んだ検分役を元選帝侯の領地に送ると、次々と重大な違法行為が発覚した。
以前なら揉み消せたのだろうが、俺が実力の一部を見せた後だから、庇おうとする者は皆無だった。
先に処罰されたキャバンに加え、残る4人にも自害が命じられた。
アステリア皇国における貴族士族の死刑は割と温情的だ。
致死量の睡眠薬を飲んで眠りながら死ねる。
前世の日本のように、自分で切腹しなければいけない訳じゃない。
もっとも日本の切腹も、本人が望まない限り扇子腹で許される。
扇子で腹を斬る振りをすると、介錯役の達人が首を刎ねてくれる。
普通なら合計5家の選帝侯家が取り潰しになる。
潰した後の家臣が叛乱を起こすのが不安なら、領地を減らして遠縁に継がせる。
だが今回は、皇室と皇国に事情があった。
ジョージ皇帝がとんでもない子沢山で、彼らが成人するまでに、皇子や皇女に相応しい養子先や嫁ぎ先を確保しなければいけないのだ。
そこで5つの選帝侯家は、取り潰す代わりに皇子たちの養子先にされた。
自害させられた当主の子女は、養子に送られた皇子の養子養女にされる予定だ。
元選帝侯の子女とはいえ、重罪人の子供なので、同じ貴族家には養子に行けないし、嫁ぐこともできない。
一生義理の親、それも年下の親、臣籍降下した皇子の厄介者として暮らすしかないのだが、それが嫌なら、教会に入って世俗を離れるしかない。
後は家臣の家に養子に入ったり降嫁したりだな。
ただ、養子に行く皇子たちは、まだとても幼い。
とても政務は取れないので、貴族家の重臣だけでなく、皇国からも貴族家の運営を監視する者が送られている。
それに、暗殺合戦は止めたのだが、暗殺を警戒して俺の治療を拒む親もいて、乳幼児の間に死んでしまう弟妹が後を絶たない。
だがそれもしかたがないのかもしれない。
ジョージ皇帝が新たに選んだ選帝侯や宮中伯は、全員俺の顔色を窺っている。
実力を隠すのを止めた俺の事が怖くて仕方がないのだ。
こんな状態だから、弟妹の家族も俺に治療させる気にならないのかもしれない。
俺は皇位には興味がないと言っているし、貴族家に養子に入ったから皇位継承権も無くなっているのだが、それでも警戒されてしまう。
同母兄のオスカーが、皇位継承権を残せるロクスバラ公爵の当主となったで、俺がオスカーを皇帝につけようとしていると邪推しているのだ。
特に生き残っている皇子の中で最年長の、フレディ皇子と家族と取り巻きが、目の色を変えて俺を警戒敵視している。
できれば誤解を解きたいのだが、一切聞く耳を持たない。
そうなるとこちらも引き続き家族の守りを固めないといけない。
余計な労力は使いたくないのに、困ったものだ。
まあ、ジョージ皇帝が極度に俺の事を怖がり、言い成りになっているから、フレディ皇子一派が警戒するのもしかたがない。
俺がその気になれば、フレディ皇子を廃嫡にする事も、オスカー兄さんを皇帝にする事も簡単だ。
現に長年続けてきた制限海外交易が俺のお願いで簡単に変わった。
これまで交易を許されていた国が入国禁止、交易禁止となった。
密貿易で奴隷として連れ去った人々を、全員帰さない限り禁止は解かない。
5年以内に連れ去った人々を全員帰さないと、こちらから攻め込んで取り返す。
そうジョージ皇帝に宣言させた。
内心では今直ぐ助けに行きたいが、情けない事に、皇国には海魔獣が跳梁跋扈する魔海を航行する船も無ければ、航海術を会得している船員もいない。
だから5年という期間を設けて、魔海航行艦を建造し船員を育てる。
そんな大事業は、俺がジョージ皇帝の尻を蹴り上げないと絶対にできない。
フレディ皇子一派に警戒されると分かっていても、俺がやるしかなかった。
とても大事な事業なので、堕落した皇国の騎士や徒士には任せられない。
財政的にも、皇国にそれだけの余裕がない。
だから俺が個人的な資金で、船も人も集める事にした。
五選帝侯処罰に連座して多くの皇国騎士や徒士を処罰した。
領地を没収したり報酬を取り上げたりした。
だがそれくらいでは、ジョージ皇帝の悪政による慢性的な赤字を補填する程度だ。
とても魔海航行艦を建造する資金は生み出せない。
それに、強力な魔海航行艦を信用できない皇国士族に預ける気にはならない。
俺の支配下にある直臣にしか任せられない。
船の形や大きさは、前世で調べ覚えている大型フリゲート艦にした。
戦列艦だと速力と運動性能が低過ぎる気がしたからだ。
戦列艦では敵対する国の船や海魔獣と互角に戦えない気がしたのだ。
「大型フリゲート」
排水量:2200トン
トン数:1576トン
全長 :62メートル
全幅 :14メートル
吃水 :7メートル
帆装 :3本マスト
武装 :24ポンド長砲×30門
:24ポンド艦首砲×2門
:24ポンド艦尾砲×4門
:32ポンド短砲×20門
乗員 :450名
搭載船:長ボート 1隻
:カッター 2隻
:捕鯨ボート2隻
:快速ギグ 1隻
:雑用ボート1隻
:短ボート 1隻
俺は、魔海航行艦の建造と所有をジョージ皇帝に認めさせた。
その上で、俺が選んだ皇国検分役が治める、キャバン辺境伯領で魔海航行艦の建造をさせた。
前選帝侯の悪政で腐敗疲弊したキャバン辺境伯領を復興させるためだ。
同母弟のイーサンが跡を継ぐかもしれないので、収支が黒字になるように、商工業はもちろん、造船業も他領を越える状態にしたかった。
ただ、異母弟が次々と死んでいくので、今皇国が預かっている元選帝侯家を継ぐ者がいなくなるかもしれない。
長期間当主のいない辺境伯家は異常だが、当主が本当に政務を執っている貴族家は少なく、大抵は重臣が専横している。
だから生まれたばかりの1歳児皇子が死ぬまでの数年間表向きの当主となり、実際は辺境伯家の重臣や皇国が送り込んだ後見人が政務を執るのも許される。
皇子が死んだ後は、また当主不在の期間となる。
兄や俺の子供が養子先に困らないように、当主のいない譜代貴族家があって良い。
などと考えていると、皇国の役人が報告にやって来た。
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