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第2章
第77話:準備
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神歴1818年皇歴214年4月20日キャバン辺境伯領城:ロジャー皇子視点
魔道具の研究を始めて最初に造ったのだ、火属性の魔樹を材料に火属性の魔法陣を刻んだ、海水真水化の魔道具1号で、人間の魔力を注ぐことで作動する。
次に造ったのが、圧縮強化岩盤に火属性の魔法陣を刻んだ、海水真水化の魔道具で、これは地上で使うための巨大装置だ。
皇国沿岸部にある直轄領や貴族領には有償で圧縮強化岩盤製の塩田を造った。
塩田政策の代金は、出来た塩の5割を永遠に収める事だ。
お金の支払いではなく、現物の支払いなので皇国も貴族も損をしない。
投資する必要もなく莫大な量の塩を手に入れられるのだ。
唯一傷つく物があるとすれば、貴族たちのプライドだ。
貴族の中には、自分の領地に他の貴族の手が加わる事を嫌う者もいる。
だが大半の貴族は、自分のプライドよりも収入の増加を選んだ。
これで塩の値段が一気に下がることが予想された。
ただ、残念だが、周囲の魔力を集める魔法陣は思いつかなかった。
何度も実験したが、成功しなかった。
時間があれば完成させられると思うのだが、他に優先すべき事があった。
そこで、研究が好きな皇国士族を募集した。
当主や部屋住みに関係なく、能力のある者、やる気のある者を集めた。
ただし、皇国の家臣ではなく俺個人の家臣としてだ。
部屋住みは何の問題もない、新規召し抱えだ。
当主だった者は、子弟や親に家督を譲ってもらった。
普通は親に譲り返す事はできなのだが、特例としてジョージ皇帝に認めさせた。
「ロジャー、まだ皇位を継ぐ気にならないか?
そなたが継ぐのが1番揉め事が起こらないと思うのだ」
ジョージ皇帝がしつこく皇位を継げと言ってくる。
確かに絶対的な力を持つ俺が継ぐのが1番かもしれない。
だが、建前上の皇位継承権は、血が濃い家の長子となっている。
実際にはそうではない者が皇位を継いでいるが、建前がそうなっている。
臣籍降下した者は除外されるとか、言い訳をして建国皇帝陛下の定めを破り、選帝侯の都合の良い者が皇帝に据えられた事がある。
もしくは、ジョージ皇帝のように、父親が謀略の限りを尽くして、皇帝、皇太子、皇子たちを皆殺しにして、自分の子供を皇位に据えたケースもある。
俺が皇位に就いたら、まず間違いなくフレディ皇子とその一派が動く。
俺はもちろん、同母の兄弟姉妹を皆殺しにしようとする。
負ける気など毛頭ないが、その時には異母兄弟姉妹で殺し合う事になる。
勝てると分かっている勝負、それも殺し合いをこちらから始めるのは卑怯な気がしてしまうのだ。
「ジョージ皇帝陛下、私は皇位が欲しいと思った事がありません。
兄弟姉妹で殺し合ってまで手に入れたい物ではありません。
政務が重荷なら、新たに選ばれた選帝侯たちに任されればよいのです。
時間が経てば、今いる皇子よりも優秀な皇子が育つかもしれません」
「ロジャーよりも優秀な皇子が育つとは思えない」
「それでも1度臣籍に下りた者を皇位につけるよりはマシです。
次代の皇帝が、ジョージ皇帝陛下のように悪政を続けるようでしたら、選帝侯となった私がきついお仕置きをして反省していただきます。
反省していただけないのなら、皇位を次代に譲っていただきます」
「それがロジャーと言う事はないのか?」
「絶対に無いとは申しませんが、可能性は低いですね。
オスカー兄上はもちろん、イーサンがいます。
フレディ皇子の皇孫が無事に育っているかもしれません」
「フレディにはロジャーの言う通りにしろと命じているのだが、己の分も弁えずに皇位に就こうと動いておる、愚か者が!」
「母方の親族がやらせているのもありますし、私の事を嫌う名門譜代の連中がやらせているのもありますから、しかたがない事です。
それに、建国皇帝陛下の定めを守るのなら、フレディ皇子が皇位を継ぐのが順当だと言う事は、ジョージ皇帝陛下も分かっておられるでしょう」
「それはそうなのだが……」
「陛下、ハリソンの糞野郎と同じように、皇位継承権者を暗殺して自分の望む者を皇位につけようと言うのではありませんね?!」
「違う、そのような事はせん、余は父とは違う!」
「だったら恣意的に皇太子を選ぶのは止めていただきたい。
最後まで迷われるのは仕方のない事ですが、自分の血を受け継いだ子供を、邪魔者扱いする事だけは絶対に許せません」
「分かっている、分かっている、父のような卑怯下劣な真似はしない。
父が殺したウィリアム皇太子殿下に誓ってやらない」
「それならば良いのです、このまま皇子たちが成長して能力が分かるまで待っていただきます、良いですね?!」
「……ロジャーがそこまで言うならしかたがない、ロジャーを皇太子に定めるのは止めるが、フレディを皇太子にする事も無いぞ」
「そうで結構でございます。
フレディ皇子個人は兎も角、親族と取り巻きの質が悪すぎます。
今皇太子の定めてしまったら、ますます悪質な者が集まります。
今はフレディ皇子の近くにいる者の悪事を暴きましょう。
成功すれば、これから皇太子を誘導して私利私欲を満たそうとする者が減ります」
俺はジョージ皇帝陛下に悪臣佞臣奸臣を処罰するように強く言った。
ジョージ皇帝陛下は密偵たちを使って悪事を次々と暴いて行った。
母方の親族に加えて、側近としていた皇国士族から数多くの犯罪者を出した事で、フレディ皇子の評判は地に落ちた。
魔道具の研究を始めて最初に造ったのだ、火属性の魔樹を材料に火属性の魔法陣を刻んだ、海水真水化の魔道具1号で、人間の魔力を注ぐことで作動する。
次に造ったのが、圧縮強化岩盤に火属性の魔法陣を刻んだ、海水真水化の魔道具で、これは地上で使うための巨大装置だ。
皇国沿岸部にある直轄領や貴族領には有償で圧縮強化岩盤製の塩田を造った。
塩田政策の代金は、出来た塩の5割を永遠に収める事だ。
お金の支払いではなく、現物の支払いなので皇国も貴族も損をしない。
投資する必要もなく莫大な量の塩を手に入れられるのだ。
唯一傷つく物があるとすれば、貴族たちのプライドだ。
貴族の中には、自分の領地に他の貴族の手が加わる事を嫌う者もいる。
だが大半の貴族は、自分のプライドよりも収入の増加を選んだ。
これで塩の値段が一気に下がることが予想された。
ただ、残念だが、周囲の魔力を集める魔法陣は思いつかなかった。
何度も実験したが、成功しなかった。
時間があれば完成させられると思うのだが、他に優先すべき事があった。
そこで、研究が好きな皇国士族を募集した。
当主や部屋住みに関係なく、能力のある者、やる気のある者を集めた。
ただし、皇国の家臣ではなく俺個人の家臣としてだ。
部屋住みは何の問題もない、新規召し抱えだ。
当主だった者は、子弟や親に家督を譲ってもらった。
普通は親に譲り返す事はできなのだが、特例としてジョージ皇帝に認めさせた。
「ロジャー、まだ皇位を継ぐ気にならないか?
そなたが継ぐのが1番揉め事が起こらないと思うのだ」
ジョージ皇帝がしつこく皇位を継げと言ってくる。
確かに絶対的な力を持つ俺が継ぐのが1番かもしれない。
だが、建前上の皇位継承権は、血が濃い家の長子となっている。
実際にはそうではない者が皇位を継いでいるが、建前がそうなっている。
臣籍降下した者は除外されるとか、言い訳をして建国皇帝陛下の定めを破り、選帝侯の都合の良い者が皇帝に据えられた事がある。
もしくは、ジョージ皇帝のように、父親が謀略の限りを尽くして、皇帝、皇太子、皇子たちを皆殺しにして、自分の子供を皇位に据えたケースもある。
俺が皇位に就いたら、まず間違いなくフレディ皇子とその一派が動く。
俺はもちろん、同母の兄弟姉妹を皆殺しにしようとする。
負ける気など毛頭ないが、その時には異母兄弟姉妹で殺し合う事になる。
勝てると分かっている勝負、それも殺し合いをこちらから始めるのは卑怯な気がしてしまうのだ。
「ジョージ皇帝陛下、私は皇位が欲しいと思った事がありません。
兄弟姉妹で殺し合ってまで手に入れたい物ではありません。
政務が重荷なら、新たに選ばれた選帝侯たちに任されればよいのです。
時間が経てば、今いる皇子よりも優秀な皇子が育つかもしれません」
「ロジャーよりも優秀な皇子が育つとは思えない」
「それでも1度臣籍に下りた者を皇位につけるよりはマシです。
次代の皇帝が、ジョージ皇帝陛下のように悪政を続けるようでしたら、選帝侯となった私がきついお仕置きをして反省していただきます。
反省していただけないのなら、皇位を次代に譲っていただきます」
「それがロジャーと言う事はないのか?」
「絶対に無いとは申しませんが、可能性は低いですね。
オスカー兄上はもちろん、イーサンがいます。
フレディ皇子の皇孫が無事に育っているかもしれません」
「フレディにはロジャーの言う通りにしろと命じているのだが、己の分も弁えずに皇位に就こうと動いておる、愚か者が!」
「母方の親族がやらせているのもありますし、私の事を嫌う名門譜代の連中がやらせているのもありますから、しかたがない事です。
それに、建国皇帝陛下の定めを守るのなら、フレディ皇子が皇位を継ぐのが順当だと言う事は、ジョージ皇帝陛下も分かっておられるでしょう」
「それはそうなのだが……」
「陛下、ハリソンの糞野郎と同じように、皇位継承権者を暗殺して自分の望む者を皇位につけようと言うのではありませんね?!」
「違う、そのような事はせん、余は父とは違う!」
「だったら恣意的に皇太子を選ぶのは止めていただきたい。
最後まで迷われるのは仕方のない事ですが、自分の血を受け継いだ子供を、邪魔者扱いする事だけは絶対に許せません」
「分かっている、分かっている、父のような卑怯下劣な真似はしない。
父が殺したウィリアム皇太子殿下に誓ってやらない」
「それならば良いのです、このまま皇子たちが成長して能力が分かるまで待っていただきます、良いですね?!」
「……ロジャーがそこまで言うならしかたがない、ロジャーを皇太子に定めるのは止めるが、フレディを皇太子にする事も無いぞ」
「そうで結構でございます。
フレディ皇子個人は兎も角、親族と取り巻きの質が悪すぎます。
今皇太子の定めてしまったら、ますます悪質な者が集まります。
今はフレディ皇子の近くにいる者の悪事を暴きましょう。
成功すれば、これから皇太子を誘導して私利私欲を満たそうとする者が減ります」
俺はジョージ皇帝陛下に悪臣佞臣奸臣を処罰するように強く言った。
ジョージ皇帝陛下は密偵たちを使って悪事を次々と暴いて行った。
母方の親族に加えて、側近としていた皇国士族から数多くの犯罪者を出した事で、フレディ皇子の評判は地に落ちた。
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