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第2章
第79話:航海(ガルグイユ、グランガチ、ケートス)
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神歴1818年皇歴214年5月1日交易湊:ロジャー皇子視点
「殿下が御生まれになられてから波乱万丈な生活になってしまいました」
スレッガー叔父上がうんざりしたと言う態度で話しかけてくる。
「俺の所為ではないぞ、母上が後宮に上がられたからだ」
俺も同じようにうんざりとしたという態度を作って言い返した。
「確かに姉上が後宮に入られて生活が一変しました。
ですがそれは常識の範囲、想像の範囲内です。
殿下が生まれてからは全く違います。
常識を逸脱して、想像の斜め上を急上昇していくのです」
「それは叔父上の想像力が貧弱だからです。
俺ならこれくらいの事は普通に考えつきますね」
「自分が魔海を突破できる船に乗る事がですか?
それとも、その船の周りを数万の魔魚が囲む事がですか?
そんな想像、普通の人間は絶対にしませんよ!」
そう、帝国に向けて魔海航行艦を出港させたが、沖合に出たら直ぐに魔海獣や魔魚が束になって襲い掛かって来た。
帝国へ行く時は使い魔にして戦力に加える心算だったから、集まる魔海獣と魔魚は全部使い魔にしたのだが……その数が多過ぎた。
クラーケンやザラタンのような別格の魔海獣だけでも数百体現れた。
全長が20メートル戦後もある、ガルグイユと呼ばれている小型の亜竜が襲って来たので使い魔にした。
同じく全長が20メートル前後ある、グランガチと呼ばれているワニ型の海魔獣も襲って来たので使い魔にした。
全長が100メートル近い、ケートスと呼ばれるキメラが現れた時は、魔海航行艦に乗り込んでいる全員が死を覚悟したと言う。
捕虜として乗船している元艦長は小便をちびっていた。
流石に俺が選抜した皇国士族は、小便はちびらなかったが、死を覚悟して固まっていたから、よほど恐ろしかったのだろう。
そんな巨大強力な海魔獣が魔海航行艦の近くを守り、その外側を10メートルから20メートルの魔魚が取り囲んでいるのだ。
陸の生活しか知らない叔父上は気の休まる事がないだろう。
叔父上だけでなく、俺が選抜した皇国士族も同じだ。
いや、海の漢のはずの元艦長もガタガタ震えているから、波に揺られて育ったような人間にも恐ろしい状況なのだろう。
それとも、元艦長は海の漢ではなく飾りの存在だったのか?
俺だってこんな状況を望んでいたわけではない。
不慣れな海で強敵と戦う気など全く無かった。
座礁しないように少しは沖に出たが、魔海獣や魔魚に出会わないように、できるだけ海岸沿いを西に向かったのだ。
俺が受ける魔力の感じから言えば、魔海の中心部からは相当離れていた。
大森林や大山脈で魔樹を伐採した時のように、中心部にまでは踏み込んでいない。
それどころか、魔海を避けて周辺部にも近づかないようにしていたはずなのだ。
それなのに、これだけの魔海獣や魔魚に遭遇するなんて思いもしていなかった。
それも、大森林や大山脈に比べれば格段に巨大で強力な魔獣なのだ。
想定外も良い所で、俺自身が声を大にして文句を言いたい!
可哀想だが、魔魚が10万を超えた時点で、それ以降集まる魔魚は餌と考えた。
餌用に、皇都肉ダンジョンで莫大な量を剥ぎ取り確保してある。
だが、魔魚が20万30万100万と増えると心許なくなる。
そこで、俺たちの強さなど関係なく、狂ったように襲って来る魔魚は餌と考えた。
個体で考えれば、魔魚とは別格の強さを誇る魔海獣は全て使い魔にした。
だが、群れとしてなら魔海獣を上回る強さの魔魚は、10万匹を上限とした。
10万匹を超えてから襲って来る魔魚は、餌として自由に狩らせた。
魔海獣にも魔魚たちにも自由に食べて良いと許可を与えた。
魔海獣は無双の強さを誇って一方的に魔魚を狩っていた。
だが魔魚は、使い魔にした魔魚が一方的に勝てたわけじゃない。
魔海獣とは違って、血も魔力も与えていないので、元からの強さだからだ。
魔魚には、種による強弱差もあれば、年齢による強弱差もある。
それに個体の強弱差が加わり、弱肉強食となった。
こちらを襲って来た魔魚は、生き残った強い個体を使い魔にした。
使い魔にする総魔魚数は10万匹で固定したので、個々の強さも群の強さも帝国に近づくほど強大になっていった。
皇国を超える広さの大砂漠沿岸部を越えると、人口100万人以下の中小国家群が群雄割拠する大陸西北部となる。
群雄割拠する戦乱の大陸西北部は、大砂漠沿岸部よりも長大だった。
海水真水化魔道具やストレージがなければ、定期的に補給しなければ、とても帝国にまではたどり着けないほど長大だった。
大陸西北部の端についても終わりではなく。
大陸の角に沿ってほぼ90度左に曲がり南下しなければならない。
ここでも大砂漠沿岸部よりも長大な距離を南下しなければならない。
数百の国が群雄割拠する大陸西北部を越えると、ようやく人口1000万人を超える大国が睨み合う大陸西南部となる。
皇国のある大陸北中部が戦乱期になる前、前皇室が統一していた頃は、5つの大国が鎬を削っていたと言う大陸西南部だが、今回は何の用もない。
俺が行かなければいけないのは、奴隷にされた人々が捕らわれているのは、大山脈を挟んで真裏にある、大陸南中部に覇を唱える帝国だ。
バーランド帝国に文句を言って誘拐拉致された人々を全て助け出す。
殺されてしまった人々を含めて、受けた損害は3倍にして払ってもらう!
宣戦布告無しに魔獣に襲わせた悪逆非道を大陸中の喧伝する!
「殿下が御生まれになられてから波乱万丈な生活になってしまいました」
スレッガー叔父上がうんざりしたと言う態度で話しかけてくる。
「俺の所為ではないぞ、母上が後宮に上がられたからだ」
俺も同じようにうんざりとしたという態度を作って言い返した。
「確かに姉上が後宮に入られて生活が一変しました。
ですがそれは常識の範囲、想像の範囲内です。
殿下が生まれてからは全く違います。
常識を逸脱して、想像の斜め上を急上昇していくのです」
「それは叔父上の想像力が貧弱だからです。
俺ならこれくらいの事は普通に考えつきますね」
「自分が魔海を突破できる船に乗る事がですか?
それとも、その船の周りを数万の魔魚が囲む事がですか?
そんな想像、普通の人間は絶対にしませんよ!」
そう、帝国に向けて魔海航行艦を出港させたが、沖合に出たら直ぐに魔海獣や魔魚が束になって襲い掛かって来た。
帝国へ行く時は使い魔にして戦力に加える心算だったから、集まる魔海獣と魔魚は全部使い魔にしたのだが……その数が多過ぎた。
クラーケンやザラタンのような別格の魔海獣だけでも数百体現れた。
全長が20メートル戦後もある、ガルグイユと呼ばれている小型の亜竜が襲って来たので使い魔にした。
同じく全長が20メートル前後ある、グランガチと呼ばれているワニ型の海魔獣も襲って来たので使い魔にした。
全長が100メートル近い、ケートスと呼ばれるキメラが現れた時は、魔海航行艦に乗り込んでいる全員が死を覚悟したと言う。
捕虜として乗船している元艦長は小便をちびっていた。
流石に俺が選抜した皇国士族は、小便はちびらなかったが、死を覚悟して固まっていたから、よほど恐ろしかったのだろう。
そんな巨大強力な海魔獣が魔海航行艦の近くを守り、その外側を10メートルから20メートルの魔魚が取り囲んでいるのだ。
陸の生活しか知らない叔父上は気の休まる事がないだろう。
叔父上だけでなく、俺が選抜した皇国士族も同じだ。
いや、海の漢のはずの元艦長もガタガタ震えているから、波に揺られて育ったような人間にも恐ろしい状況なのだろう。
それとも、元艦長は海の漢ではなく飾りの存在だったのか?
俺だってこんな状況を望んでいたわけではない。
不慣れな海で強敵と戦う気など全く無かった。
座礁しないように少しは沖に出たが、魔海獣や魔魚に出会わないように、できるだけ海岸沿いを西に向かったのだ。
俺が受ける魔力の感じから言えば、魔海の中心部からは相当離れていた。
大森林や大山脈で魔樹を伐採した時のように、中心部にまでは踏み込んでいない。
それどころか、魔海を避けて周辺部にも近づかないようにしていたはずなのだ。
それなのに、これだけの魔海獣や魔魚に遭遇するなんて思いもしていなかった。
それも、大森林や大山脈に比べれば格段に巨大で強力な魔獣なのだ。
想定外も良い所で、俺自身が声を大にして文句を言いたい!
可哀想だが、魔魚が10万を超えた時点で、それ以降集まる魔魚は餌と考えた。
餌用に、皇都肉ダンジョンで莫大な量を剥ぎ取り確保してある。
だが、魔魚が20万30万100万と増えると心許なくなる。
そこで、俺たちの強さなど関係なく、狂ったように襲って来る魔魚は餌と考えた。
個体で考えれば、魔魚とは別格の強さを誇る魔海獣は全て使い魔にした。
だが、群れとしてなら魔海獣を上回る強さの魔魚は、10万匹を上限とした。
10万匹を超えてから襲って来る魔魚は、餌として自由に狩らせた。
魔海獣にも魔魚たちにも自由に食べて良いと許可を与えた。
魔海獣は無双の強さを誇って一方的に魔魚を狩っていた。
だが魔魚は、使い魔にした魔魚が一方的に勝てたわけじゃない。
魔海獣とは違って、血も魔力も与えていないので、元からの強さだからだ。
魔魚には、種による強弱差もあれば、年齢による強弱差もある。
それに個体の強弱差が加わり、弱肉強食となった。
こちらを襲って来た魔魚は、生き残った強い個体を使い魔にした。
使い魔にする総魔魚数は10万匹で固定したので、個々の強さも群の強さも帝国に近づくほど強大になっていった。
皇国を超える広さの大砂漠沿岸部を越えると、人口100万人以下の中小国家群が群雄割拠する大陸西北部となる。
群雄割拠する戦乱の大陸西北部は、大砂漠沿岸部よりも長大だった。
海水真水化魔道具やストレージがなければ、定期的に補給しなければ、とても帝国にまではたどり着けないほど長大だった。
大陸西北部の端についても終わりではなく。
大陸の角に沿ってほぼ90度左に曲がり南下しなければならない。
ここでも大砂漠沿岸部よりも長大な距離を南下しなければならない。
数百の国が群雄割拠する大陸西北部を越えると、ようやく人口1000万人を超える大国が睨み合う大陸西南部となる。
皇国のある大陸北中部が戦乱期になる前、前皇室が統一していた頃は、5つの大国が鎬を削っていたと言う大陸西南部だが、今回は何の用もない。
俺が行かなければいけないのは、奴隷にされた人々が捕らわれているのは、大山脈を挟んで真裏にある、大陸南中部に覇を唱える帝国だ。
バーランド帝国に文句を言って誘拐拉致された人々を全て助け出す。
殺されてしまった人々を含めて、受けた損害は3倍にして払ってもらう!
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