皇帝の14男ですが、皇位争いの暗殺や謀殺から生き延びて、何とか貧乏辺境伯家に婿入りできました。前世知識と魔力でスローライフしたい。

克全

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第2章

第97話:脅迫

神歴1818年皇歴214年9月20日帝国帝都帝宮:ロジャー皇子視点

 俺は悩んだ末に、自分が最善だと思う方法を選んだ。
 まずは宣戦布告とは言えない非常識で無礼な方法を使った西の王家を滅ぼした。
 偵察と親書運びをしてくれていた使い魔に滅ぼしてもらった。

 次に東の王家を滅ぼしたが、これも偵察と親書運びをしてくれていた使い魔にやってもらった。

 王家を完全に滅ぼしたので、偵察役の使い魔には1度戻って来てもらった。
 これまで頑張ってくれたので、褒美として血と魔力を与えた。

 これからもっと頑張ってもらわなければいけないので、血と魔力を与えて戦闘力と知能を高める必要があったのだ。

 帰って来てもらった使い魔の代わりに、これまで俺の側にいた使い魔を東西の隣国に送り込んで、有力貴族の動向を探らせた。
 同時に、当家を滅ぼした東西の隣国以外の国に、事情を書いた親書を送った。

『卑怯な方法で攻め込んできたガスペル王国とオーエン王国は、王を殺し王族を1人残さず皆殺しにした。
 両国は、余、アステリア皇国ロジャー皇子の属国にするから絶対に手を出すな。
 手を出したら両国の王家と同じように族滅させる。
 手を出す時は、王家を滅ぼした愚かな王と史書に書き残される覚悟をしてかかってこい、即座に族滅させてやる』

 完全に脅迫文だが、体裁だけは正式な親書に見えるようにして大陸各国に送った。
 これまでと同じように、鳥系の使い魔に送らせた。

 だが何者が運んでいるのか分からないようにした。
 何時の間にか役所や寝室に置くように命じてあった。

 何時誰が持って来たのか分からない方が、神秘的だし恐怖を感じる。
 使い魔だと分かれば対策を取られてしまうかもしれない。
 我が子のような使い魔が傷つくのは我慢ならない。

『正式な宣戦布告もせず、卑怯な方法で攻め込んできた騎士と徒士は皆殺しにした。
 やらせた国王を殺し王家も皆殺しにした。
 王国は余が支配して統治するので臣下の礼をとれ。
 余は帝国の帝都にいる、お前たちのために態々王都に行ってやる気はない。
 熊の姿形をした代官を送るから、その者に臣下の礼をとり指示に従え。
 クマに仕えるのが嫌なら、帝都まで来て余に仕えよ』

 とんでもなく偉そうな文章の手紙を、ガスペル王国とオーエン王国の全貴族と有力士族に送った。

 王家に忠誠を誓って戦いを選ぶ者は、勇者と認めて殺さずに屈服させて取り込む。
 戦力差を理解する知恵があり、帝都まで来て忠誠を誓う者も家臣に迎える。
 俺に仕える気にはならないが、勝てるとも思えず逃げ出す者は見逃してやる。

 そういう気持ちでいたのだが、貴族士族の反応は予想通りだった。
 臣籍降下して王族からは離れていたが、王家とのつながりがあり、いつ殺されるか分からないと恐怖した貴族は、能力や忠誠心に関係なく領地を捨てて逃げ出した。

 ガスペル王国とオーエン王国の王都よりも、バーランド帝国の帝都の方が近い両国の貴族士族は、馬を駆けさせ馬車を急がせ臣従を誓いに帝都にやってきた。

 帝都に来る途中にガスペル王国とオーエン王国の王都がある貴族は、1度王都に寄って、俺が送り込んだ熊姿の使い魔に会っていた。

 そのクマに貴族士族が臣従を誓う現場は、以前よりも多くの血と魔力を与えて戦闘力と知能を高めた、我が子同然の金色熊使い魔が映像と音声を送ってくれる。

 姿形が熊だと驚く貴族士族の姿も、獣だと内心では蔑む態度も、人間以上に巧みな金色熊の弁舌に恐怖する様子も見られる。

 それを確かめてから帝国で謁見に応じられるので、予備知識を持つ事ができる。
 俺が皇国に戻っても裏切らないであろう、信用ができる者を確かめられた。

 同時に、俺が皇国に戻ったら直ぐに裏切るであろう貴族士族を確認できた。
 更に俺が帝国にいても、自分に都合よく俺の能力を低く見積もり、自分の能力を過信してバカなマネをするに違いない貴族士族を確認できた。

 ガスペル王国とオーエン王国は俺個人の属国になった。
 直接統治する気はないが、王家を滅ぼした責任は取らないといけない。
 ただ問題は、両国が魔物の王国のようになった事だ。

 代官として送り込んだのは熊の姿をしている使い魔だ。
 配下として動いているのは、全て鳥の姿をしている使い魔だ。

 鳥の姿なので、人間と同じように流暢に話せる使い魔は少ない。
 愚かな人間よりははるかに賢いのだが、そうは思われない。
 更に教会関係者からは魔王の眷属を疑われる問題がある。

 この世界の教会は1柱の神を崇拝している訳ではない。
 首座にいる創世神はいるが、妻の神、子供の神、孫の神が数多くいる。
 その多くいる神々から、自分の都合の良い神を選らんで宗派を作っている。

 国や職業によって信じる神が違うのは、その神の名を使って悪事を働くためだ。
 他人の物を奪い、人を殺すのを正当化するために、神の名を騙っているだけで、本心から神がいると思っている者は少ない。

 今は俺が圧倒的な力を見せつけているから、属国の代官にクマ型やトリ型の使い魔を使っても、各種教会も王国も文句を言ってこない。

 だが、俺が少しでも弱みを見せたら、神の名を使って正義を掲げ、略奪目的で攻めてくるのは目に見えている。

 それが分かっているから、絶対に弱味は見せられない。
 常に圧倒的な力を見せ続けないと、俺が護っている民だけでなく、大陸各国の民も傷つき死んでいくことになる。
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