6 / 6
第一章
第6話:駆け落ち
「聖女に選ばれ公爵家に戻れたパウリナに、こんな事を言うのは身勝手だと分かっているけれど、どうしても言わずにはおられないんだ。
愛している、パウリナ、一緒に逃げてくれ。
騎士の地位を捨て、この国を捨てて逃げるんだ、貧しい暮らしになると思う。
思い描いていたような、騎士の奥様にはしてあげられなくなってしまった。
それでも、君と一緒にいたい気持ちを抑えられないんだ」
「ああ、うれしいは、ダヴィド。
聖女も公爵令嬢もどうでもいいの、私の願いはダヴィドの側にいる事。
地位がなくても貧乏でも構わないわ。
ダヴィドのお嫁さんになれるのなら、私は夢のように幸せなの。
どうか私を連れてここから逃げて!」
氷のような冷たい態度で、汚物を見るような蔑みの視線を向けて、全く口を利くことなく私と会ったアーシム、ウリヤーナ、アイリン。
当然私も一言も発せず、聖女として断固として頭も下げませんでした。
頭を下げるくらいなら死んだ方がマシですし、今のあいつらには、私を殺すどころか、傷一つ付けられないだろうという読みもありました。
このような状況になった原因を探り出し、それを利用して復讐する。
そう深く心に誓っていましたが、もうそんな事はどうでもいいです。
ダヴィドが命懸けで手に入れた地位も名誉も捨てて、私を選んでくれたんです。
復讐などといった矮小な事のために、ダヴィドを一瞬でも待たせるなんて、誰ができるというのですか!
それに、畜生腹を公表してまで私を戻すほどの非常事態に陥っているのです。
公爵だけでなく、国王までも巻き込むほどの非常事態です。
回避に必要な私がいなければ、国難となるでしょう。
私には最高の復讐ですが、よく考えれば黙って逃がしてくれるとは限りません。
追手がかかり、ダヴィドにも、とても迷惑をかけます。
「ダヴィド、多分私、凄く重要人物なの。
公爵家と王家の存亡にかかわっているようなの。
私を連れて逃げたら、王国から追手がかかるわ。
それでも私を連れて逃げてくれる?」
私は、本気で神に祈りました。
ダヴィドに王家を敵に回してでも私を連れて逃げると言わせてくださいと。
身勝手なのは分かっていますが、嘘偽りのない本心です。
それ以外の願いなどありません。
いえ、違います、嘘です、許してください、ごめんなさい。
ダヴィドと結婚して、末永く幸せに暮らしたいのです。
どうか神様、私が聖女だと言われるのなら、願いをかなえてください!
「もちろんだよ、パウリナ!
この国どころか、全ての人間を敵に回してでも、君と逃げるよ。
さあ、見つかる前に逃げよう」
「はい、あなた!」
愛している、パウリナ、一緒に逃げてくれ。
騎士の地位を捨て、この国を捨てて逃げるんだ、貧しい暮らしになると思う。
思い描いていたような、騎士の奥様にはしてあげられなくなってしまった。
それでも、君と一緒にいたい気持ちを抑えられないんだ」
「ああ、うれしいは、ダヴィド。
聖女も公爵令嬢もどうでもいいの、私の願いはダヴィドの側にいる事。
地位がなくても貧乏でも構わないわ。
ダヴィドのお嫁さんになれるのなら、私は夢のように幸せなの。
どうか私を連れてここから逃げて!」
氷のような冷たい態度で、汚物を見るような蔑みの視線を向けて、全く口を利くことなく私と会ったアーシム、ウリヤーナ、アイリン。
当然私も一言も発せず、聖女として断固として頭も下げませんでした。
頭を下げるくらいなら死んだ方がマシですし、今のあいつらには、私を殺すどころか、傷一つ付けられないだろうという読みもありました。
このような状況になった原因を探り出し、それを利用して復讐する。
そう深く心に誓っていましたが、もうそんな事はどうでもいいです。
ダヴィドが命懸けで手に入れた地位も名誉も捨てて、私を選んでくれたんです。
復讐などといった矮小な事のために、ダヴィドを一瞬でも待たせるなんて、誰ができるというのですか!
それに、畜生腹を公表してまで私を戻すほどの非常事態に陥っているのです。
公爵だけでなく、国王までも巻き込むほどの非常事態です。
回避に必要な私がいなければ、国難となるでしょう。
私には最高の復讐ですが、よく考えれば黙って逃がしてくれるとは限りません。
追手がかかり、ダヴィドにも、とても迷惑をかけます。
「ダヴィド、多分私、凄く重要人物なの。
公爵家と王家の存亡にかかわっているようなの。
私を連れて逃げたら、王国から追手がかかるわ。
それでも私を連れて逃げてくれる?」
私は、本気で神に祈りました。
ダヴィドに王家を敵に回してでも私を連れて逃げると言わせてくださいと。
身勝手なのは分かっていますが、嘘偽りのない本心です。
それ以外の願いなどありません。
いえ、違います、嘘です、許してください、ごめんなさい。
ダヴィドと結婚して、末永く幸せに暮らしたいのです。
どうか神様、私が聖女だと言われるのなら、願いをかなえてください!
「もちろんだよ、パウリナ!
この国どころか、全ての人間を敵に回してでも、君と逃げるよ。
さあ、見つかる前に逃げよう」
「はい、あなた!」
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい
八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。
ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。
これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。
悪役令嬢として追放された私、辺境の公爵様に溺愛されています〜趣味の魔法薬作りが本物の聖女の力だったと気づいてももう遅い〜
黒崎隼人
恋愛
「お前のような女との婚約は、この場をもって破棄する」
妹のような男爵令嬢に功績をすべて奪われ、悪役令嬢として国を追放された公爵令嬢ルミナ。
行き場を失い、冷たい床に崩れ落ちた彼女に手を差し伸べたのは、恐ろしいと噂される北の辺境公爵、ヴィンセントだった。
「私の妻として、北の地へ来てくれないか」
彼の不器用ながらも温かい庇護の下、ルミナは得意の魔法薬作りで領地を脅かす呪いを次々と浄化していく。
さらには、呪いで苦しんでいたモフモフの聖獣ブランまで彼女にべったりと懐いてしまい……?
一方、ルミナという本物の聖女を失った王都は、偽聖女の祈りも虚しく滅亡の危機に瀕していた。
今さらルミナの力に気づき連れ戻そうとする王太子だったが、ヴィンセントは冷酷にそれを跳ね除ける。
「彼女は私の妻だ。奪い取りたければ、騎士団でも何でも差し向けてみるがいい」
これは、誰からも愛されなかった不遇の令嬢が、冷徹な公爵とモフモフ聖獣に底なしに溺愛され、本当の幸せと笑顔を取り戻すまでの心温まる雪解けのロマンス。
妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?
志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」
第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。
「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」
「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」
「そうですわ、お姉様」
王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。
「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」
私だけが知っている妹の秘密。
それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。
離縁され隣国の王太子と海釣りをしていたら旦那様が泣きついてきた。私は別の隣国の王太子と再婚します。
唯崎りいち
恋愛
「真実の愛を見つけた」と言って、旦那様に一方的に離縁された侯爵令嬢。だが彼女の正体は、大陸最大級の鉄鋼財閥の後継であり、莫大な資産と魔力を持つ規格外の存在だった。
離縁成立から数時間後、彼女はすでに隣国の王太子と海の上でカジキ釣りを楽しんでいた。
一方、元旦那は後になって妻の正体と家の破産寸前の現実を知り、必死に追いすがるが——時すでに遅し。
「旦那様? もう釣りの邪魔はしないでくださいね」
恋愛より釣り、結婚より自由。
隣国王太子たちを巻き込みながら、自由奔放な令嬢の人生は加速していく。
婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。
将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。
レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています