異世界に跳ばされましたが、料理上手なお陰で王太子の胃袋を掴み溺愛されることになりました。

克全

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6話

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「おい、ルイーズ、お客さんがお呼びだ」

「はい、ただいま」

 私は反射的に返事をしてしまいました。
 なにかクレームでしょうか?
 腕力には全く自信がないのです。
 神様が色々と強くしてくれたはずですが、喧嘩や戦いは嫌なのです。

「急げ!
 お客さんを怒らせるんじゃない」

 仕方ありません。
 行かなければ店主を怒らせてしまいます。
 でも武器や防具を手放す気にはなりません。
 聖鎧の調理着には聖剣の包丁やオタマを装備することができるのです。
 この世界の人の眼に奇異に映ろうが、完全装備で行きます。

「お待たせいたしました。
 料理人のルイーズと申します」

「はぁあ?
 小娘じゃないか!
 小娘のお前がこの料理を作ったというのか?」

 失礼な人です。
 ですがこの世界は階級制で、平民は貴族士族には逆らえないと聞いています。
 それに、元の世界でも、信じられないくらい横柄なお客さんはいました。
 特に取材と称するテレビ局員や新聞社の人間は横柄でした。
 宣伝してやってる自分たちは、店にお金を払わなくていいと思っているのです。
 眼の前にいる男も同じようなヤカラなんでしょう。

「はい、私が作らせていただきました。
 子供の頃から料理が大好きで、ずっと修行してきました」

「はぁあ?
 今も子供だろうが!
 子供が子供の頃から修行しただと?
 笑わせんな!
 さっさと本物の料理人を出せ。
 これ以上隠すとタダではすまさんぞ!」

 本当に失礼な男です。
 少々自分が男前だからといって、なんでも通用すると思っているのでしょうか?
 まあ、少々どころか、とんでもない美男子ですが……
 女性なら絶世の美女と言える容貌ですね。
 ただこの世界は髪色が派手なようで、緑の髪ですが……

「お待ちください、騎士様!
 本当にこの者が作ったのです。
 以前働いていた料理人が、子爵様に無理矢理連れ去られてしまったもので、急遽雇った臨時の料理人なのです。
 ですが腕に間違いはありません!」

「はぁあ?
 以前の料理人が子爵に連れ去られただと?
 それはいつの事だ!」

「三日前でございます。
 それで急いで新しい料理人を探していましたら、昨日この者が働かせて欲しいと店を訪ねてきまして、試しに作らせてみますと、見事な料理を作りましたもので、雇うことにした次第でございます」

「ちぃい!
 三日前だと!?
 だったら俺が評判を聞いていたのはその料理人だ。
 俺としたことが、子爵ごときに送れをとったか!」

「あのぉ、もう御用がないなら厨房に戻っていいですか?
 まだ料理の途中でして……」

「あ? 
 ああ、そうか、しかたないな。
 いや、このまま手ぶらで帰るの業腹だ!
 何か作って見せろ!」
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