真実の愛に目覚めたと第三王子に婚約解消された私を救ってくれたのは。

克全

文字の大きさ
11 / 78
第一章

第11話:護衛騎士

しおりを挟む
「ライアンは伯爵家の次期当主とは別に、独自で騎士に叙任されている。
 本来の子爵待遇とは別の立場で王城に出入りする事ができる。
 しかも王家医師となったボリングブルック女子爵とは姉弟だ」

 ええと、わざわざ女子爵と言ったという事は、私の事ですよね。
 先の王家医師だったモウブレーの事を言っているわけではないですよね。

「それは、姉弟として一緒に王城に来て、国王陛下を護れと言う事ですか」

「そうだ、自分達が強引に推薦した人間が王家医師だったときは、間違っても国王陛下を殺すわけにはいかなかった。
 だが、俺の推薦したボリングブルック女子爵に王家医師が代わった途端、国王陛下が崩御されるような事があれば、堂々と俺を非難する事ができる。
 国王暗殺をした俺を討伐すると言う名目で他国と同盟を組んでだ」

 やっぱりそうなるのでしょうね、それくらいの事は分かっていました。
 私だって普通に貴族令嬢の教育を受けてきましたから、貴族令嬢として知っておかなければいけない事は理解しています。
 場合によったら、家を残すために仕える主君を裏切り、他国に切り替えなければいけない事くらい、最低限の常識として知っています。
 しかも、とても出来の悪いうえに強欲なヘンリー第三王子の婚約者にさせられていましたから、最悪貴族位を失う事も考えて知識と技術を習得していたのです。

「そのような危険な企みに姉上を巻き込む事は絶対に許せない。
 そこまでして王家に忠誠を尽くさなければいけない義理はない」

「ちょっと、ライアン、幾ら何でもそれは不敬すぎます」

「構わん、ボリングブルック女子爵。
 俺もライアンの立場だったら、同じ事を口にしていた。
 だがライアン、本当にそれがボリングブルック女子爵を護る事になるのか。
 今更俺から離れても、マージョリーとヘンリー、デイヴィッドとジェーンの恨みはなくならないぞ。
 貴族位を捨てて他国に行き、冒険者や治癒師として生きて行こうとしても、執念深い四人はどこまでも刺客を放ち続けるぞ。
 そんな状態で、ボリングブルック女子爵が幸せになれると思っているのか。
 それならば、正面から四人を完膚なきまで叩き潰した方が安全で、ボリングブルック女子爵も幸せになれるのではないか」

 とても驚きました、ロジャー第一王子がこれほど饒舌だとは知りませんでした。
 しかも言葉に真心がこもっているように聞こえます。
 本当に私の事を心配してくれているように聞こえます。
 このような言い方をされたら、ライアンも説得されてしまうかもしれません。

 ライアンが頑張ってくれて、王家医師の大役に就かなくてすむのなら、それが一番ですが、そのためにライアンがロジャー第一王子に殺されるのは嫌です。
 国王陛下が暗殺されてしまうのを見過ごす事も嫌です。
 ヘンリー第三王子達に陥れられて貴族位を失い、大陸を逃げ回るのは、名誉と誇りを踏みにじられるのと同じで、心が耐えられないでしょう。

「僕も四六時中起きていられるわけではないのですよ、ロジャー殿下。
 姉上だけに国王陛下の警護を頼むのは危険過ぎますし、二人では不可能です」

「そのような無理をさせる気はないから安心しろ、ライアン。
 基本二人は王家医師が出仕する時間だけ王城にいればいい。
 それ以外の時間は、俺とビゴッドが国王陛下を護る。
 どうしても二人とも手が離せない時は、信用する近衛騎士に警護させる。
 二人には俺とビゴッドに負担を少しでも減らして欲しいと思っているのだ」

 自分達の実母を蔑ろにした国王陛下でも、実の父親である事は変わりません。
 ヘンリー達に謀殺される事がないように、兄弟で見守る心算なのですね。
 ですが、国王陛下が寝込まれたままの状態では、誰かが代わって王国の政務をしなければいけないのです。

 それができるのは、ロジャー第一王子とビゴッド第二王子だけです。
 ヘンリー第三王子やマージョリー王妃にやらせたりしたら、国民は不幸になりますから、ここは手伝うしかありません。
 その不幸になる国民の中には、我が領の民もいるのですから。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』

鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」 その一言で、私は婚約を破棄されました。 理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。 ……ええ、どうぞご自由に。 私は泣きません。縋りません。 なぜなら——王家は、私を手放せないから。 婚約は解消。 けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。 失ったのは殿下の隣の席だけ。 代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。 最初は誰もが疑いました。 若い、女だ、感情的だ、と。 ならば証明しましょう。 怒らず、怯えず、排除せず。 反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。 派手な革命は起こしません。 大逆転も叫びません。 ただ、静かに積み上げます。 そして気づけば—— “殿下の元婚約者”ではなく、 “揺れない王”と呼ばれるようになるのです。 これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。 王冠の重みを受け入れた一人の女性が、 国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~

深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。 灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

処理中です...