11 / 52
第一章
第11話:愛好家
しおりを挟む
ああ、なるほど、確かに珍しい毒ではある。
一度で毒殺しようというのではないのだな。
とても珍しい三つの素材を特定の時間内に食べた時にだけ毒化するやつだ。
これなら方法次第では毒見役を掻い潜ってターゲットを殺せるかもしれない。
だが具体的にどうやる心算なのだろう。
一流の毒見役は、主人の使う食器やグラスを使うぞ。
食べ物ではなく食器やグラスに毒素材を塗っても無駄だぞ。
「これは確かに古代魔術皇国時代のワインですね。
私も何度か飲んだ事はありますが、独特の酸味と苦みがありますから、飲んだ事のある者なら間違いようがありません」
「本当ですか、ノアお兄様。
ノアお兄様が毎週用意してくださるのを、私、楽しみにしていましたのよ」
これ、これ、はしたない事を口にするのではありません。
毎古代魔術皇国時代のワインを毎週飲んでいるとなんて口にしたら、好事家から命を狙われてしまうのだよ、エラ。
それに、アレは全部俺が創りだした偽物のワインだったのだよ。
金銭的に購入できない訳ではありませんが、そんな事をしたら、それでなくても超高価な古代魔術皇国時代のワインが更に暴騰してしまいます。
それに、そもそも毎週飲めるほど古代魔術皇国時代のワインは現存していません。
だから今作られているワイン数種を色々な素材と一緒にブレンドして、更に経年経過魔術を使って作り上げた俺のオリジナルワインなのだよ。
「……毎週ですか、毎週、古代魔術皇国時代のワインを家族で飲んでいたのですか」
「ええ、そうですの、今は旅の途中なので飲めなくなくなってしまいましたが、大陸連合魔術学院に着いたら飲ませてくださると、ノアお兄様が約束してくださっていますの、私、とても楽しみにしていますのよ」
これ以上余計な事を言うと、伯爵の殺意が強くなってしまうよ、エラ。
眼の前の伯爵が明らかに常軌を逸した表情になっているのが分かりませんか。
最初の隠しきれない罪の意識が、今ではすっかり消えてしまっています。
恐らくですが、伯爵は古代魔術皇国時代のワインに魅せられているのでしょう。
ですが伯爵程度の身代では、十年に一度くらいしか購入できないでしょう。
それ以外に飲める機会があるとすれば、成金や王家に縋りついて媚を売って飲ませてもらう位しか方法はないでしょう。
「あら、これは魔術による保管が甘かったのですね。
私、ノアお兄様が教えてくださった事を忘れていませんわ。
古代魔術皇国時代のワインの中には、魔術による劣化防止があまいものがあるという話と、保存のいいものとの味の違いをちゃんと覚えておりますわ。
あの時は七本くらい用意して飲み比べさせていただきましたものね。
今でも思い出しますわ、古代魔術皇国時代のワインでも当たり年のワインの美味しさは別格でしたものね」
もうやめてあげなさい、エラ。
伯爵が真っ青になったと思ったら、今度は真っ赤になっているよ。
もう俺にはだいたい想像ができてしまった。
伯爵は俺達の暗殺の代償に古代魔術皇国時代のワインを受け取ったのだろう。
それなのに、それが劣化品だと分かって、褒美の方に受け取ったもう一本も劣化品かもしれないと心配になっていたのだ。
それが今度は、一度に七本も飲み比べたとか、当たり年のワインを飲んだと聞かされて、妬みで殺意を大きく膨らませてしまっているのだ。
これでは俺だけでなくエラまで狙われてしまうではないか。
まあ、返り討ちするくらいは簡単なのだが、なんか伯爵が哀れになってきたな。
伯爵を思いとどまらせる方法も思いついたし、元手がかかるわけでもないし、大して役に立たないかもしれないけれど、伯爵を味方に引き込んでおくか。
一度で毒殺しようというのではないのだな。
とても珍しい三つの素材を特定の時間内に食べた時にだけ毒化するやつだ。
これなら方法次第では毒見役を掻い潜ってターゲットを殺せるかもしれない。
だが具体的にどうやる心算なのだろう。
一流の毒見役は、主人の使う食器やグラスを使うぞ。
食べ物ではなく食器やグラスに毒素材を塗っても無駄だぞ。
「これは確かに古代魔術皇国時代のワインですね。
私も何度か飲んだ事はありますが、独特の酸味と苦みがありますから、飲んだ事のある者なら間違いようがありません」
「本当ですか、ノアお兄様。
ノアお兄様が毎週用意してくださるのを、私、楽しみにしていましたのよ」
これ、これ、はしたない事を口にするのではありません。
毎古代魔術皇国時代のワインを毎週飲んでいるとなんて口にしたら、好事家から命を狙われてしまうのだよ、エラ。
それに、アレは全部俺が創りだした偽物のワインだったのだよ。
金銭的に購入できない訳ではありませんが、そんな事をしたら、それでなくても超高価な古代魔術皇国時代のワインが更に暴騰してしまいます。
それに、そもそも毎週飲めるほど古代魔術皇国時代のワインは現存していません。
だから今作られているワイン数種を色々な素材と一緒にブレンドして、更に経年経過魔術を使って作り上げた俺のオリジナルワインなのだよ。
「……毎週ですか、毎週、古代魔術皇国時代のワインを家族で飲んでいたのですか」
「ええ、そうですの、今は旅の途中なので飲めなくなくなってしまいましたが、大陸連合魔術学院に着いたら飲ませてくださると、ノアお兄様が約束してくださっていますの、私、とても楽しみにしていますのよ」
これ以上余計な事を言うと、伯爵の殺意が強くなってしまうよ、エラ。
眼の前の伯爵が明らかに常軌を逸した表情になっているのが分かりませんか。
最初の隠しきれない罪の意識が、今ではすっかり消えてしまっています。
恐らくですが、伯爵は古代魔術皇国時代のワインに魅せられているのでしょう。
ですが伯爵程度の身代では、十年に一度くらいしか購入できないでしょう。
それ以外に飲める機会があるとすれば、成金や王家に縋りついて媚を売って飲ませてもらう位しか方法はないでしょう。
「あら、これは魔術による保管が甘かったのですね。
私、ノアお兄様が教えてくださった事を忘れていませんわ。
古代魔術皇国時代のワインの中には、魔術による劣化防止があまいものがあるという話と、保存のいいものとの味の違いをちゃんと覚えておりますわ。
あの時は七本くらい用意して飲み比べさせていただきましたものね。
今でも思い出しますわ、古代魔術皇国時代のワインでも当たり年のワインの美味しさは別格でしたものね」
もうやめてあげなさい、エラ。
伯爵が真っ青になったと思ったら、今度は真っ赤になっているよ。
もう俺にはだいたい想像ができてしまった。
伯爵は俺達の暗殺の代償に古代魔術皇国時代のワインを受け取ったのだろう。
それなのに、それが劣化品だと分かって、褒美の方に受け取ったもう一本も劣化品かもしれないと心配になっていたのだ。
それが今度は、一度に七本も飲み比べたとか、当たり年のワインを飲んだと聞かされて、妬みで殺意を大きく膨らませてしまっているのだ。
これでは俺だけでなくエラまで狙われてしまうではないか。
まあ、返り討ちするくらいは簡単なのだが、なんか伯爵が哀れになってきたな。
伯爵を思いとどまらせる方法も思いついたし、元手がかかるわけでもないし、大して役に立たないかもしれないけれど、伯爵を味方に引き込んでおくか。
0
あなたにおすすめの小説
追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。
しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。
全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。
超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!?
万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。
一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。
「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」
――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。
これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~
リーフレット
ファンタジー
「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」
帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。
アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。
帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。
死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。
「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる