女将軍 井伊直虎

克全

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本編

美濃制圧

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 『川手城・義直・井伊直虎』

 「母上様、どうすればいいでしょう?」

 「義直様はどうすればいいと思っているのですか?」

 「直接攻撃すれば合戦手当も増えてしまうし、功名を得た者達へ褒美を与えなければならなくなり、私の蔵入り地が減ってしまうのですよね?」

 「そうですよ義直様。」

 「攻めあぐねたり僅かな敗戦でもあれば、美濃・尾張の国衆・地侍が再度の寝返りをする可能性もあり、駿河の御屋形様の介入も考えられるのですね。」

 「そうですね、それも心配ですね。」

 「信長と同じように、安全を保証して美濃追放がよいのでしょうか?」

 「それが1番義直様の自力を養うことが出来るでしょうね、費用や恩賞を出さずに済みますし、敵味方の将兵の損害も少なくて済みます。」

 義直は何度も使者を往復させて降伏交渉を行った。私的な財産を持ちだす許可を与え、一門や斎藤飛騨守・長井道利と共に越前国の朝倉義景のもとへ落ちる許可を与えた。

 義直の元には多くの国衆・地侍・足軽が残る事になり、銭で義直が自由に動かせる戦力が一気に増員された事になる。


 『稲葉山城・義直・井伊直虎』

 「安藤殿・竹中殿よく来てくれた、2人とも今後の働きを期待しておる。」

 「はい、これからは義直様の為精一杯働かせて頂きます。」

 「私も義父と共に誠心誠意働かせて頂きます。」

 義直は母の直虎と相談の上で、美濃の完全支配に乗り出した。特に国衆・地侍の掌握には全力を尽くした。同時に長良川の合戦で道三側につき、美濃から出て行かなければならなくなった者達を呼び戻して、銭で扶持する家臣とした。

 同時に婚姻政策も進め、御隠居様の許可を得て、新野親矩の娘を御隠居様(今川義元)の養女としたうえで、浅井長政の正室として送り込み縁を結んだ。

 浅井賢政(新九郎・長政)は、永禄3年(1560年)8月中旬に15歳の若さで軍を率い、六角軍を相手に野良田の戦いで見事な戦い振りを披露し、六角軍2万5000兵を1万1000兵で討ち破った。これによって重臣の赤尾清綱・海北綱親・遠藤直経らを心酔させている。

 永禄4年(1561年)、細川晴元が三好長慶に幽閉されると六角承禎は激怒し、畠山高政と共に京都に進軍し長慶の嫡男・三好義興と家老の松永久秀と将軍地蔵山の戦い勝利した。これで一時的ではあるが、三好家を京都より追い出すことに成功している。


 『稲葉山城・義直・井伊直虎』

 「母上様、これは好機ではありませんか?」

 「義直様はどうすればいいと思っているのですか?」

 「六角は京に兵を集めております、浅井・北畠と組んで北伊勢を切り取るべきではないでしょうか?」

 「そうですね、家臣達とも相談して1番よい策を採る事が大切ですよ。」

 「やっと千種忠治殿に活躍してもらえますね。」

 「そうですね、六角に近い者達を攻め滅ぼし、南朝として千種忠治殿に味方して来た者達を盛り立てていくのが大切ですね。」

 六角の主力軍が京で三好と睨み合っているのを機に、義直は直卒の足軽軍を2万と、美濃・尾張・三河から動員した国衆・地侍3万兵の総兵力5万で北伊勢に攻め込んだ。
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