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第一章
第1話:政略結婚
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「あのう、私に政略結婚ですか?
今のレイノルズ伯爵家には領地もなければお金も権力もありません。
あるのは借金だけですよ、そんな家と政略結婚しても意味がありませんよ」
私は既に疎遠になって久しい親類の伯爵夫人に返事をしました。
どう考えてもまともな話だとは思えないからです。
レイノルズ伯爵家は、これ以上悪くなれないくらい最悪の状態ですが、私までそれに巻き込まれる気はないのです。
平民に落ちるのは仕方がないですが、性奴隷にはなりたくはないのですよ。
「お相手は、レイノルズ伯爵家の事など、どうでもいいのよ。
あ、いえ、ごめんなさいね、貴女の伯爵令嬢という肩書が欲しいそうよ。
どうもね、あちらには色々と事情があるようで、私にも細かい所は話してくれないだけれど、貴女と個人的に条件を話し合いたいそうよ。
まあ、かなり条件は悪くなるのは覚悟しておいてね」
普通なら、このような胡散臭い話を受ける貴族令嬢はいないでしょう。
ですが私は、とても追い込まれていました。
両親と兄が放蕩の限りを尽くし、領地も財産も全て無くし、このままでは今月中に屋敷からも追い出されてしまいます。
単に屋敷を出るだけならいいのですが、安全な貴族街の屋敷を追い出されると、借金取りに拉致され、売春宿に直行という事もあり得るのです。
だからこうして、ソラリス侯爵家に来て直接交渉することになったのです。
「それで、どういう条件の政略結婚なのですか?」
私の前には、ソラリス侯爵ジャックス卿と、正室にマルガネラ夫人、結婚相手だというチャネラル卿がいます。
単に一対三というだけでも圧倒的に不利なのに、社交界でもまれた公爵家の当主と、女という不利を覆して大陸で一、二を争う商会を一代で築いた女傑が相手です。
それでも、気合だけは負けないようにしなければいけません。
「そうね、レイノルズ伯爵家の事情はよく知っているから、家と家の繋がりは求めないどころか不用よ。
だから貴女にはほとんど何の力もないのは分かっているわね。
だからこちらの条件を全部飲んでもらうわよ」
女傑のマルガネラ夫人が覆いかぶすように言ってきますが、そんな事はここに来る時から分かっていた事です。
今さら言われなくても分かっている事を口にする事で、私が断れないように追い込んでいるのでしょうが、それだけソラリス侯爵家にもこの結婚を纏めなければならない、不利な事情があるという事です。
「レイノルズ伯爵家とは私は別です。
レイノルズ伯爵家がどれほど困窮していようとも、私は自分の誇りを売り渡す気はありません!」
私は口には出さず、そちらにもどうしてもこの結婚を纏めなければいけない事情があるのでしょ、という表情をしてやりました。
今のレイノルズ伯爵家には領地もなければお金も権力もありません。
あるのは借金だけですよ、そんな家と政略結婚しても意味がありませんよ」
私は既に疎遠になって久しい親類の伯爵夫人に返事をしました。
どう考えてもまともな話だとは思えないからです。
レイノルズ伯爵家は、これ以上悪くなれないくらい最悪の状態ですが、私までそれに巻き込まれる気はないのです。
平民に落ちるのは仕方がないですが、性奴隷にはなりたくはないのですよ。
「お相手は、レイノルズ伯爵家の事など、どうでもいいのよ。
あ、いえ、ごめんなさいね、貴女の伯爵令嬢という肩書が欲しいそうよ。
どうもね、あちらには色々と事情があるようで、私にも細かい所は話してくれないだけれど、貴女と個人的に条件を話し合いたいそうよ。
まあ、かなり条件は悪くなるのは覚悟しておいてね」
普通なら、このような胡散臭い話を受ける貴族令嬢はいないでしょう。
ですが私は、とても追い込まれていました。
両親と兄が放蕩の限りを尽くし、領地も財産も全て無くし、このままでは今月中に屋敷からも追い出されてしまいます。
単に屋敷を出るだけならいいのですが、安全な貴族街の屋敷を追い出されると、借金取りに拉致され、売春宿に直行という事もあり得るのです。
だからこうして、ソラリス侯爵家に来て直接交渉することになったのです。
「それで、どういう条件の政略結婚なのですか?」
私の前には、ソラリス侯爵ジャックス卿と、正室にマルガネラ夫人、結婚相手だというチャネラル卿がいます。
単に一対三というだけでも圧倒的に不利なのに、社交界でもまれた公爵家の当主と、女という不利を覆して大陸で一、二を争う商会を一代で築いた女傑が相手です。
それでも、気合だけは負けないようにしなければいけません。
「そうね、レイノルズ伯爵家の事情はよく知っているから、家と家の繋がりは求めないどころか不用よ。
だから貴女にはほとんど何の力もないのは分かっているわね。
だからこちらの条件を全部飲んでもらうわよ」
女傑のマルガネラ夫人が覆いかぶすように言ってきますが、そんな事はここに来る時から分かっていた事です。
今さら言われなくても分かっている事を口にする事で、私が断れないように追い込んでいるのでしょうが、それだけソラリス侯爵家にもこの結婚を纏めなければならない、不利な事情があるという事です。
「レイノルズ伯爵家とは私は別です。
レイノルズ伯爵家がどれほど困窮していようとも、私は自分の誇りを売り渡す気はありません!」
私は口には出さず、そちらにもどうしてもこの結婚を纏めなければいけない事情があるのでしょ、という表情をしてやりました。
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