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第1章
羽田空港グルメ1と帯広競馬場
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羽田空港ターミナルビル:11月18日10時30分
昨晩色々と調べていた俺は、帯広競馬場には飛行機を使っていくことにした。運がいい事に4人分のチケットを取る事が出来たし、ゆっくり出発しても十分第1競走に間に合うのが分かった。
ホテルの朝食ブッフェをお腹一杯食べて、ホテルの羽田空港直通バスを利用して早目に空港に入り、空港内で目一杯遊ぶことにした。
帯広行の飛行機は11時35分発なので、10時半には軽く2食目を食べる事にしたが、めいめい好きな物が食べれる東京シェフズキッチンのフードコートで食べることにした。
俺は浅草の名店が出店している所のビーフステーキライス付を選び、太郎君はカツカレー、花子ちゃんはカニコロッケライス付きを選んでいた。ぶれない綾香さんは、中国料理店が出店している店で豚細切りあんかけラーメンとクリーミー坦々麺の2杯を完食していた。前もってネットで調べていたのだろう、どうりで朝食をサラダしか食べなかった訳だ。
ビーフステーキライス付き:1030円
カニコロッケライス付き :1080円
カツカレー :1080円
豚細切りあんかけラーメン:880円
クリーミー坦々麺 :980円
小計:5050円
「羽田発帯広行の時刻表」
羽田空港
7:05分発 7:55分発 11:35分発
帯広空港:33900円
8:40分着 9:30分着 13:10分着
8:50分発 9:45分着 13:25分発
帯広競馬場前:1000円
9:41分着 10:36分着 14:16分着
帯広競馬場:14:16
「着きましたね」
「結構疲れましたね」
「お馬さん~」
「花子お馬さんとお話したい~」
「じゃあ入りますか」
「「「はい」」」
パドック
「あの子元気ぃ~」
「次にあの子元気ぃ~」
「そうか、元気か、随分嬉しそうだけど、サラブレッドより輓馬の方が好きみたいだね」
「この子達優しい~」
「花子も大好きぃ~」
「サラブレッドは優しくないのかい?」
「口が悪い~」
「花子もちょっと嫌い~」
「そうか、輓馬は優しくてサラブレッドは気が強いんだね」
「どういうことなのでしょうか?」
「輓馬は人間と協力して、重い物を運んで働いていたから、人間と仲良くやれる個体が残されたんだろうね」
「サラブレッドは違うのですか?」
「平地の競走は、最高数億円の賞金が付くから、気性が荒くて人間に襲いかかろうと、とにかく早ければ正義なんだよ。僕がよく競馬を買っていた頃は、競走馬に病院送りにされる厩務員がよくいたよ。比較的大人しいと言われる乗馬でも、オーナーの顔に噛みついて数十針縫わせる怪我をさせていたしね」
「ちょっと怖いですね」
「ああ、だから太郎君と花子ちゃんは輓馬の方が気に入ったんだろうね」
「もっと見るぅ~」
「花子ももっと見るぅ~」
「じゃあコースに行きましょう」
「はい」
「コースに行くぅ~」
「花子もコースに行くぅ~」
帯広競馬場コースのスタート手前
「東京競馬場や大井競馬場のコースとは全く違うのですね?」
「ええ、僕も直接コースに来てみるのは初めてなんですが、重りを乗せた橇を誰が早く運ぶかの競走なので、坂の障害を越える直線200mのコースになっています」
「そうなのですね」
「いろいろな駆け引きや、騎手の技術があるでしょうが、今まで見てきた競馬との1番の違いは、荷物を運んで初めて勝負が決まると言う事です」
「どう言う事ですか?」
「この第1競走は2歳馬なので、雄は520kg、雌は490kgの重量の橇を引くのですが、その橇がゴールを通過して初めて勝負がつくのです」
「あの、その、今まで見てきた競馬と違って、橇を牽くと言う違いは分かったのですが、橇の最後が通過するのと、今までの競馬の違いと言うのがよく理解出来ないのです」
「ああ、綾香さんは興味がないから今までの競馬との勝負の違いが分からないのですね。普通の競馬は騎手が直接馬に乗り操ります。そして先に鼻先がゴールに達した馬が勝つルールです」
「ああ、そう言う事ですか! この橇を引く競馬は、馬の鼻先がゴールに達しても駄目なのですね」
「はい、例え先鼻がゴールを通過していても、橇の最後尾がゴールを通過するまでに、他の馬が橇の最後尾を通過させたら、最初に橇を通過させた馬の勝ちになるのです」
スターティングゲート
第1障害:高さ1mの坂
:最初のヤマ場となる。
中間点 :第1障害と第2障害の間
:馬の状態によっては、騎手が馬を停止させ、第2障害に向けスタミナを温存させることがある。
第2障害:高さ1・6mの坂
:レースの行方を左右する、ばんえい競馬最大のヤマ場である。
砂障害 :ゴール前に高さ0・5mの傾斜を付けた砂障害。
:よりエキサイティングなゴール前の接戦が繰り広げられる。
:(冬期間はヒーティングの稼働の為、砂障害はなくなる)
ゴール :元来が荷物を運ぶ競走なので、ソリの後端がゴール線を通過したところでゴール
:(通常の競馬は先に鼻先がゴールした馬の勝ち)
「本当に働く馬の競走なのですね」
「ええ、馬車はもちろんですが、電車が開発されるまでは、馬が客車や貨車を牽く、馬車鉄道と言う物さえあったのです」
「凄い歴史のある競馬なのですね」
「ええ、世界中探しても橇を使った競馬を公営競技として開催しているのは、この帯広競馬場だけなんですよ」
「素晴らしいことなんですね!」
「はい、でも一時は廃止寸前までいったんです」
「どう言うことなのですか?」
「2006年までは、この帯広のほかにも北見、岩見沢、旭川競馬場が巡回して開催していたのです。ですが年々売上が減少してしまい、年間30億円を越える累積赤字に耐えられなくなり、色々と議論を重ねられたのですが、帯広を除く北見、岩見沢、旭川の3市が廃止を決定したのです」
「まぁ! そんな困難を乗り越えて今競馬を開催されているのですね!」
「ええ、税金を一切投入せず、競馬関係者への報奨金を4割カットして、ネット企業と包括的な業務提携をし、ネットによる馬券販売を行うようになり、ようやく2012年度から、3年連続で前年度比100%超えを達成されているのです」
「関係者の方の努力が報われているのですね」
「はい、でも色々と問題もあるのです」
「沢山沢山努力をされたのですよね、それでもまだ問題があるのですか?」
「はい、今では売り上げの60%以上をネット販売に依存しています。今は土・日・月曜日の3日間開催が基本なのですが、中央競馬が開催されていない月曜日の売り上げが大きいのです」
「え~と、それなら土日を止めて、火水に開催日を変えたらどうでしょう?」
「ばんえい競馬だけの事を考えればそうなのですが、帯広市の観光資源と言う一面があるのです」
「私達のようにばんえい競馬を観に来る人がいて、ホテルに泊まったり飲食施設を利用したりする事が、帯広市にとって大切と言う事なのですね」
「はい、そもそもそれがあったから、3市がばんえい競馬から撤退する中で、帯広市議会は単独で継続の議決をしたのです。ばんえい競馬の利益だけを考えて、平日開催にするわけにはいかないのです」
「本当に辛く厳しい時に、支援してくれた人を裏切るのは人の道に反しますものね」
「お馬さんが橇を牽くよぉ~」
「馬さん達頑張ってるよぉ~」
「あの子、脚が痛いのに頑張るってぇ~」
「花子にも痛いって言ってたよぉ~」
「脚を痛めている馬がいるのかい?」
「「うんあの子だよぉ~」」
第1競走のスタートが切られたが、俺と綾香さんの話に聞き耳を立てていた地元の人だろう。太郎君と花子ちゃんが、9番の馬が脚を痛めていると聞いてギョッとしている。
「頑張れぇ~」
「痛いの痛いの飛んでけぇ~」
俺はそんな地元民に気付かない振りをして、必死で応援する太郎君と花子ちゃんに着いて歩いた。よほど感情移入しているのか、太郎君と花子ちゃんは、スタート地点からゴールまで、輓馬達と同じペースで歩いてついて行った。案の定と言うか、太郎君と花子ちゃんが脚を痛めていると言った9番の馬は、残念な事に最下位となってゴールした。
「太郎君、花子ちゃん、お馬さん達の応援がしたいから、ちょっと付き合ってくれるかな」
「いいよぉ~」
「花子もいいよぉ~」
「どこに行かれるのですか?」
「総合案内所に行って、責任者に会わせてもらおうと思ってね」
「重大な事をされるのですか?」
「重大というほどでもないのだけれど、色々とお願いしたい事があってね」
「そうなのですか、では直ぐに行きましょう」
「ああ、悪いけど付き合ってくれ」
「はい」
「いいよぉ~」」
「花子もいいよぉ~」
帯広競馬場:総合受付
「すみません、次回の朝調教ツアーとバックヤードツアーを申し込んでおきたいのですが」
「はい、ありがとうございます。次回の朝調教ツアーは11月26日の開催となり、バックヤードツアーも明日の13時開催となるのですが、それで宜しいでしょうか?」
「はい、それで大丈夫です」
「おじさんそれ楽しいの?」
「花子は昨日みたいに馬車に乗れるの?」
「ごめんね、今日は馬車やってないんだよ、明日なら13時から14時30分までやってるんだけど、そうなると13時45分からのバックヤードツアーに参加できなくなるんだよね」
受付の女性が、太郎君と花子ちゃんに優しく説明してくれた。
「明日も明後日も来させてもらいますから、明日は馬車に乗って明後日にバックヤードツアーに参加させてもらうと言う事でいいでしょうか?」
「そうして頂けますか」
「スタンダードツアー」
想定滞在時間:1時間程度
料金 :無料
「バックヤードツアー」
受付場所 :総合案内所(スタンド1階奥)
受付時間 :土・日曜日 13:00~
:月曜日 13:30~
開始時間 :準ナイター開催時(11/25~12/29)13:45~
料金 :1人500円
:(おみやげ付き)
:小学生以下無料
定員 :20名(定員以上のお申込みがあった場合追加の可能性あり)
想定滞在時間:1時間半から2時間以上
「朝調教ツアー」
受付場所 :電話予約
受付時間 :実施前日の18:00まで
:月曜日 13:30~
開始時間 :12月3日まで午前6:00開始
:12月24日~1月28日午前6:30開始
:2月4日~3月25日午前6:00開始
集合場所 :帯広競馬場厩舎門前
料金 :大人2000円
:小中学生500円
:(小学生未満無料)
:(プレミアムラウンジ利用券、おみやげ付き)
定員 :各回15名
想定所要時間:1時間程度
(プレミアムラウンジ利用券は参加する朝調教ツアーの前日または当日のみ利用可能)
(1月1日のプレミアムラウンジ利用可能日は当日のみ)
(3月25日のプレミアムラウンジ利用可能日は3月24日のみ)
「馬車」
受付:帯広競馬場入場門付近で当日受付
料金:大人300円
:お子様300円
「それと協賛レースの件で色々と御相談したいのですが、責任者の方はおられますか?」
「レースに協賛して頂けるのですか、それはありがとうございます!」
「ええ、それで色々と御相談させていただきたいのです」
「協賛して下さるレースの10日前までに応募して頂けたら大丈夫ですし、大抵のことでしたら私でもお話を伺う事が出来ると思うのですが?」
「そうですか、でしたら予算は200万円ほどで、来れないことも想定して事前にお金をお預けしておきたいのです。それと他に協賛したいと言う方の邪魔になるといけませんし、そんな事になれば貴重な協賛金を逃す事になりますから、10日前までに依頼のなかった全レースに協賛する契約をしておきたいのです」
「偉そうな事を申してすみませんでした、そのような契約ですと、とてもではありませんが私の独断で決めることは出来ません。責任者を呼んで参りますので、しばらくお待ちくださいますか」
「はい、ありがとうございます。こちらこそややこしい話をしてすみません」
昨晩色々と調べていた俺は、帯広競馬場には飛行機を使っていくことにした。運がいい事に4人分のチケットを取る事が出来たし、ゆっくり出発しても十分第1競走に間に合うのが分かった。
ホテルの朝食ブッフェをお腹一杯食べて、ホテルの羽田空港直通バスを利用して早目に空港に入り、空港内で目一杯遊ぶことにした。
帯広行の飛行機は11時35分発なので、10時半には軽く2食目を食べる事にしたが、めいめい好きな物が食べれる東京シェフズキッチンのフードコートで食べることにした。
俺は浅草の名店が出店している所のビーフステーキライス付を選び、太郎君はカツカレー、花子ちゃんはカニコロッケライス付きを選んでいた。ぶれない綾香さんは、中国料理店が出店している店で豚細切りあんかけラーメンとクリーミー坦々麺の2杯を完食していた。前もってネットで調べていたのだろう、どうりで朝食をサラダしか食べなかった訳だ。
ビーフステーキライス付き:1030円
カニコロッケライス付き :1080円
カツカレー :1080円
豚細切りあんかけラーメン:880円
クリーミー坦々麺 :980円
小計:5050円
「羽田発帯広行の時刻表」
羽田空港
7:05分発 7:55分発 11:35分発
帯広空港:33900円
8:40分着 9:30分着 13:10分着
8:50分発 9:45分着 13:25分発
帯広競馬場前:1000円
9:41分着 10:36分着 14:16分着
帯広競馬場:14:16
「着きましたね」
「結構疲れましたね」
「お馬さん~」
「花子お馬さんとお話したい~」
「じゃあ入りますか」
「「「はい」」」
パドック
「あの子元気ぃ~」
「次にあの子元気ぃ~」
「そうか、元気か、随分嬉しそうだけど、サラブレッドより輓馬の方が好きみたいだね」
「この子達優しい~」
「花子も大好きぃ~」
「サラブレッドは優しくないのかい?」
「口が悪い~」
「花子もちょっと嫌い~」
「そうか、輓馬は優しくてサラブレッドは気が強いんだね」
「どういうことなのでしょうか?」
「輓馬は人間と協力して、重い物を運んで働いていたから、人間と仲良くやれる個体が残されたんだろうね」
「サラブレッドは違うのですか?」
「平地の競走は、最高数億円の賞金が付くから、気性が荒くて人間に襲いかかろうと、とにかく早ければ正義なんだよ。僕がよく競馬を買っていた頃は、競走馬に病院送りにされる厩務員がよくいたよ。比較的大人しいと言われる乗馬でも、オーナーの顔に噛みついて数十針縫わせる怪我をさせていたしね」
「ちょっと怖いですね」
「ああ、だから太郎君と花子ちゃんは輓馬の方が気に入ったんだろうね」
「もっと見るぅ~」
「花子ももっと見るぅ~」
「じゃあコースに行きましょう」
「はい」
「コースに行くぅ~」
「花子もコースに行くぅ~」
帯広競馬場コースのスタート手前
「東京競馬場や大井競馬場のコースとは全く違うのですね?」
「ええ、僕も直接コースに来てみるのは初めてなんですが、重りを乗せた橇を誰が早く運ぶかの競走なので、坂の障害を越える直線200mのコースになっています」
「そうなのですね」
「いろいろな駆け引きや、騎手の技術があるでしょうが、今まで見てきた競馬との1番の違いは、荷物を運んで初めて勝負が決まると言う事です」
「どう言う事ですか?」
「この第1競走は2歳馬なので、雄は520kg、雌は490kgの重量の橇を引くのですが、その橇がゴールを通過して初めて勝負がつくのです」
「あの、その、今まで見てきた競馬と違って、橇を牽くと言う違いは分かったのですが、橇の最後が通過するのと、今までの競馬の違いと言うのがよく理解出来ないのです」
「ああ、綾香さんは興味がないから今までの競馬との勝負の違いが分からないのですね。普通の競馬は騎手が直接馬に乗り操ります。そして先に鼻先がゴールに達した馬が勝つルールです」
「ああ、そう言う事ですか! この橇を引く競馬は、馬の鼻先がゴールに達しても駄目なのですね」
「はい、例え先鼻がゴールを通過していても、橇の最後尾がゴールを通過するまでに、他の馬が橇の最後尾を通過させたら、最初に橇を通過させた馬の勝ちになるのです」
スターティングゲート
第1障害:高さ1mの坂
:最初のヤマ場となる。
中間点 :第1障害と第2障害の間
:馬の状態によっては、騎手が馬を停止させ、第2障害に向けスタミナを温存させることがある。
第2障害:高さ1・6mの坂
:レースの行方を左右する、ばんえい競馬最大のヤマ場である。
砂障害 :ゴール前に高さ0・5mの傾斜を付けた砂障害。
:よりエキサイティングなゴール前の接戦が繰り広げられる。
:(冬期間はヒーティングの稼働の為、砂障害はなくなる)
ゴール :元来が荷物を運ぶ競走なので、ソリの後端がゴール線を通過したところでゴール
:(通常の競馬は先に鼻先がゴールした馬の勝ち)
「本当に働く馬の競走なのですね」
「ええ、馬車はもちろんですが、電車が開発されるまでは、馬が客車や貨車を牽く、馬車鉄道と言う物さえあったのです」
「凄い歴史のある競馬なのですね」
「ええ、世界中探しても橇を使った競馬を公営競技として開催しているのは、この帯広競馬場だけなんですよ」
「素晴らしいことなんですね!」
「はい、でも一時は廃止寸前までいったんです」
「どう言うことなのですか?」
「2006年までは、この帯広のほかにも北見、岩見沢、旭川競馬場が巡回して開催していたのです。ですが年々売上が減少してしまい、年間30億円を越える累積赤字に耐えられなくなり、色々と議論を重ねられたのですが、帯広を除く北見、岩見沢、旭川の3市が廃止を決定したのです」
「まぁ! そんな困難を乗り越えて今競馬を開催されているのですね!」
「ええ、税金を一切投入せず、競馬関係者への報奨金を4割カットして、ネット企業と包括的な業務提携をし、ネットによる馬券販売を行うようになり、ようやく2012年度から、3年連続で前年度比100%超えを達成されているのです」
「関係者の方の努力が報われているのですね」
「はい、でも色々と問題もあるのです」
「沢山沢山努力をされたのですよね、それでもまだ問題があるのですか?」
「はい、今では売り上げの60%以上をネット販売に依存しています。今は土・日・月曜日の3日間開催が基本なのですが、中央競馬が開催されていない月曜日の売り上げが大きいのです」
「え~と、それなら土日を止めて、火水に開催日を変えたらどうでしょう?」
「ばんえい競馬だけの事を考えればそうなのですが、帯広市の観光資源と言う一面があるのです」
「私達のようにばんえい競馬を観に来る人がいて、ホテルに泊まったり飲食施設を利用したりする事が、帯広市にとって大切と言う事なのですね」
「はい、そもそもそれがあったから、3市がばんえい競馬から撤退する中で、帯広市議会は単独で継続の議決をしたのです。ばんえい競馬の利益だけを考えて、平日開催にするわけにはいかないのです」
「本当に辛く厳しい時に、支援してくれた人を裏切るのは人の道に反しますものね」
「お馬さんが橇を牽くよぉ~」
「馬さん達頑張ってるよぉ~」
「あの子、脚が痛いのに頑張るってぇ~」
「花子にも痛いって言ってたよぉ~」
「脚を痛めている馬がいるのかい?」
「「うんあの子だよぉ~」」
第1競走のスタートが切られたが、俺と綾香さんの話に聞き耳を立てていた地元の人だろう。太郎君と花子ちゃんが、9番の馬が脚を痛めていると聞いてギョッとしている。
「頑張れぇ~」
「痛いの痛いの飛んでけぇ~」
俺はそんな地元民に気付かない振りをして、必死で応援する太郎君と花子ちゃんに着いて歩いた。よほど感情移入しているのか、太郎君と花子ちゃんは、スタート地点からゴールまで、輓馬達と同じペースで歩いてついて行った。案の定と言うか、太郎君と花子ちゃんが脚を痛めていると言った9番の馬は、残念な事に最下位となってゴールした。
「太郎君、花子ちゃん、お馬さん達の応援がしたいから、ちょっと付き合ってくれるかな」
「いいよぉ~」
「花子もいいよぉ~」
「どこに行かれるのですか?」
「総合案内所に行って、責任者に会わせてもらおうと思ってね」
「重大な事をされるのですか?」
「重大というほどでもないのだけれど、色々とお願いしたい事があってね」
「そうなのですか、では直ぐに行きましょう」
「ああ、悪いけど付き合ってくれ」
「はい」
「いいよぉ~」」
「花子もいいよぉ~」
帯広競馬場:総合受付
「すみません、次回の朝調教ツアーとバックヤードツアーを申し込んでおきたいのですが」
「はい、ありがとうございます。次回の朝調教ツアーは11月26日の開催となり、バックヤードツアーも明日の13時開催となるのですが、それで宜しいでしょうか?」
「はい、それで大丈夫です」
「おじさんそれ楽しいの?」
「花子は昨日みたいに馬車に乗れるの?」
「ごめんね、今日は馬車やってないんだよ、明日なら13時から14時30分までやってるんだけど、そうなると13時45分からのバックヤードツアーに参加できなくなるんだよね」
受付の女性が、太郎君と花子ちゃんに優しく説明してくれた。
「明日も明後日も来させてもらいますから、明日は馬車に乗って明後日にバックヤードツアーに参加させてもらうと言う事でいいでしょうか?」
「そうして頂けますか」
「スタンダードツアー」
想定滞在時間:1時間程度
料金 :無料
「バックヤードツアー」
受付場所 :総合案内所(スタンド1階奥)
受付時間 :土・日曜日 13:00~
:月曜日 13:30~
開始時間 :準ナイター開催時(11/25~12/29)13:45~
料金 :1人500円
:(おみやげ付き)
:小学生以下無料
定員 :20名(定員以上のお申込みがあった場合追加の可能性あり)
想定滞在時間:1時間半から2時間以上
「朝調教ツアー」
受付場所 :電話予約
受付時間 :実施前日の18:00まで
:月曜日 13:30~
開始時間 :12月3日まで午前6:00開始
:12月24日~1月28日午前6:30開始
:2月4日~3月25日午前6:00開始
集合場所 :帯広競馬場厩舎門前
料金 :大人2000円
:小中学生500円
:(小学生未満無料)
:(プレミアムラウンジ利用券、おみやげ付き)
定員 :各回15名
想定所要時間:1時間程度
(プレミアムラウンジ利用券は参加する朝調教ツアーの前日または当日のみ利用可能)
(1月1日のプレミアムラウンジ利用可能日は当日のみ)
(3月25日のプレミアムラウンジ利用可能日は3月24日のみ)
「馬車」
受付:帯広競馬場入場門付近で当日受付
料金:大人300円
:お子様300円
「それと協賛レースの件で色々と御相談したいのですが、責任者の方はおられますか?」
「レースに協賛して頂けるのですか、それはありがとうございます!」
「ええ、それで色々と御相談させていただきたいのです」
「協賛して下さるレースの10日前までに応募して頂けたら大丈夫ですし、大抵のことでしたら私でもお話を伺う事が出来ると思うのですが?」
「そうですか、でしたら予算は200万円ほどで、来れないことも想定して事前にお金をお預けしておきたいのです。それと他に協賛したいと言う方の邪魔になるといけませんし、そんな事になれば貴重な協賛金を逃す事になりますから、10日前までに依頼のなかった全レースに協賛する契約をしておきたいのです」
「偉そうな事を申してすみませんでした、そのような契約ですと、とてもではありませんが私の独断で決めることは出来ません。責任者を呼んで参りますので、しばらくお待ちくださいますか」
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「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
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魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
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