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7話
「まあ、そういうわけなのよ。
コーンウォリス公爵閣下は女心が分からない野暮な人なの。
でも若奥様を愛しているのは間違いないわ。
貴女も自分の魔力をいじって分かったでしょ。
魔力が増えると扱えなくなって死にそうになると。
本当に死にかけたし、子供を殺しかけたでしょ。
だから嫌でも信じなさい!」
嘘です!
絶対に嘘です!
キャスバルが私を愛していたなんて、信じられません。
愛している相手に、あのような態度をとれるなんて信じられません!
それに、父上が私を騙していたなんて、信じられません。
いえ、父上だけでなく、家族全員を私を騙していたなんて、信じられるわけがないではありませんか!
それも、私を死なさないためだなんて、誰が信じるのです。
全部キャスバルとゾーイの陰謀です!
策略です!
でも、コーンウォリス公爵家に嫁いできてから、持病が安定したのは確かです。
魔力を鍛錬しだして、持病がぶりかえしたのも確かです。
私に持病があるからこそ、父上が家を傾けてまで縁談をまとめてくれたのも自覚していますし、持病があるからこそ、キャスバル様には選ばれないと思っていました。
そうです。
私は自分の悪いところから眼をそらしていたのです。
持病持ちだから、キャスバル様に愛されないのだとは自覚していても、それを認められなかったのです。
なのに、嫉妬にかられて勝手に魔力を増やし、みなの愛情を踏み躙るように死にかけてしまいました。
なにより、自分の子供を死なせかけてしまいました。
いえ、殺しかけたと言った方がいかもしれません。
でも、でもまだ信じきれません。
眼の前にいる賢女ゾーイはとても魅力的です。
貴族が好むような豊満な肉体ではありませんが、美しい顔立ちをしています。
私を騙して、意のままに操ろうとしているのかもしれません。
すでに魔法で意識を操られているのかもしれません。
でも、だからといって、彼女が真実を話していたら、私が魔力で対抗したら、イアンを残して死んでしまいます。
ああ、愛するイアン!
イアンを残して死ぬわけにはいきません!
でも、ゾーイとキャスバルに騙されるのは絶対に嫌!
「信じられません。
まだ信じる事はできません!
父上と母上を呼んでください。
父上と母上の言う事なら信じられます。
でも、キャスバル様と賢女ゾーイの言う事を鵜呑みにはできません!」
分かっています。
本当は分かっているのです。
病弱な私を、小さい頃から守り育ててくれた乳母が泣いているのです。
耐えきれずに嗚咽を漏らして泣いているのです。
キャスバル様と賢女ゾーイの言う事が真実だと、分かっているのです。
でも、それを認めたくない私がいるのです。
コーンウォリス公爵閣下は女心が分からない野暮な人なの。
でも若奥様を愛しているのは間違いないわ。
貴女も自分の魔力をいじって分かったでしょ。
魔力が増えると扱えなくなって死にそうになると。
本当に死にかけたし、子供を殺しかけたでしょ。
だから嫌でも信じなさい!」
嘘です!
絶対に嘘です!
キャスバルが私を愛していたなんて、信じられません。
愛している相手に、あのような態度をとれるなんて信じられません!
それに、父上が私を騙していたなんて、信じられません。
いえ、父上だけでなく、家族全員を私を騙していたなんて、信じられるわけがないではありませんか!
それも、私を死なさないためだなんて、誰が信じるのです。
全部キャスバルとゾーイの陰謀です!
策略です!
でも、コーンウォリス公爵家に嫁いできてから、持病が安定したのは確かです。
魔力を鍛錬しだして、持病がぶりかえしたのも確かです。
私に持病があるからこそ、父上が家を傾けてまで縁談をまとめてくれたのも自覚していますし、持病があるからこそ、キャスバル様には選ばれないと思っていました。
そうです。
私は自分の悪いところから眼をそらしていたのです。
持病持ちだから、キャスバル様に愛されないのだとは自覚していても、それを認められなかったのです。
なのに、嫉妬にかられて勝手に魔力を増やし、みなの愛情を踏み躙るように死にかけてしまいました。
なにより、自分の子供を死なせかけてしまいました。
いえ、殺しかけたと言った方がいかもしれません。
でも、でもまだ信じきれません。
眼の前にいる賢女ゾーイはとても魅力的です。
貴族が好むような豊満な肉体ではありませんが、美しい顔立ちをしています。
私を騙して、意のままに操ろうとしているのかもしれません。
すでに魔法で意識を操られているのかもしれません。
でも、だからといって、彼女が真実を話していたら、私が魔力で対抗したら、イアンを残して死んでしまいます。
ああ、愛するイアン!
イアンを残して死ぬわけにはいきません!
でも、ゾーイとキャスバルに騙されるのは絶対に嫌!
「信じられません。
まだ信じる事はできません!
父上と母上を呼んでください。
父上と母上の言う事なら信じられます。
でも、キャスバル様と賢女ゾーイの言う事を鵜呑みにはできません!」
分かっています。
本当は分かっているのです。
病弱な私を、小さい頃から守り育ててくれた乳母が泣いているのです。
耐えきれずに嗚咽を漏らして泣いているのです。
キャスバル様と賢女ゾーイの言う事が真実だと、分かっているのです。
でも、それを認めたくない私がいるのです。
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