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37話
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「敵意が強くなっているように思う。
今日明日には襲ってくる可能性が高い。
誘って返り討ちにしようと思うが、賛成してもらえるかな?」
イライアス様が確認されます。
積極的なイライアス様らしいというべきか、積極策だからイライアス様が口にされていると考えるべきか、多分後者ですね。
基本的な性格は双子なので同じだと思います。
ずっと役割分担して暮らしてこられたのでしょう。
「分かりました。
私も決着をつけたいと思っていました。
国を逃げ出し、起死回生に私を狙っているのでしょう。
もしかしたら、私が国を捨てたことを根に持っているのかもしれません」
「それが分からんな。
一緒に情報を検討したが、マルティナがルシア嬢をつけ狙う理由が分からん。
まして有力貴族の跡継ぎがそれに従うのが理解不能だ。
ましてその中にはルシア嬢の実の兄までいる。
薬か何かで操られてでもいるのか?」
「それは私にも分かりません。
単に地位が欲しいだけなら、ここまで私を追ってくる必要はありません。
男爵家の生まれとはいえ、聖女に認定されているのです。
王太子の妃は無理でも、伯爵家、いえ、侯爵家の夫人なら可能です」
「どうしても王妃の地位が欲しいのか、それとも何か別の目的があるのか、捕まえて聞きだすか?
それともあと腐れがないように、問答無用で殺すか?
ルシア嬢の兄だけでも確保するか?」
イライアス様が気を使ってくれています。
ですがそのような気遣いは不要です。
私には、いまだに夢の辛い記憶が鮮明に残っています。
何十回何百回と理不尽に殺されてきたのです。
彼らに対する慈悲の心など一片もありません!
それに、生け捕りにする方が、皆殺しよりも難しいです。
特にだれか一人だけを生け捕りにするためには、いちいち確認する必要があり、その度に一歩も二歩も攻撃が遅れます。
それではネイの安全が脅かされます。
ネイの命の方が原因究明よりも優先します。
彼らの殺意の理由など、どうでもいいのです。
国を捨ててでも、私を殺すために追ってきた。
それだけで十分殺す理由になります。
躊躇う理由など何一つありません。
皆殺しにします。
「気にしないでください。
私は母親です。
ネイの命が最優先です。
彼らの事情など関係ありません。
誘いに乗って襲ってきたら殺す。
それで構いません」
「なるほど。
そう言ってもらえれば一番楽だ。
夜に魔境に行く。
そこで魔獣に喰われてくれればそれでよし。
逃げ切るようなら追撃する。
いいな」
「「「「「おう!」」」」」
今日明日には襲ってくる可能性が高い。
誘って返り討ちにしようと思うが、賛成してもらえるかな?」
イライアス様が確認されます。
積極的なイライアス様らしいというべきか、積極策だからイライアス様が口にされていると考えるべきか、多分後者ですね。
基本的な性格は双子なので同じだと思います。
ずっと役割分担して暮らしてこられたのでしょう。
「分かりました。
私も決着をつけたいと思っていました。
国を逃げ出し、起死回生に私を狙っているのでしょう。
もしかしたら、私が国を捨てたことを根に持っているのかもしれません」
「それが分からんな。
一緒に情報を検討したが、マルティナがルシア嬢をつけ狙う理由が分からん。
まして有力貴族の跡継ぎがそれに従うのが理解不能だ。
ましてその中にはルシア嬢の実の兄までいる。
薬か何かで操られてでもいるのか?」
「それは私にも分かりません。
単に地位が欲しいだけなら、ここまで私を追ってくる必要はありません。
男爵家の生まれとはいえ、聖女に認定されているのです。
王太子の妃は無理でも、伯爵家、いえ、侯爵家の夫人なら可能です」
「どうしても王妃の地位が欲しいのか、それとも何か別の目的があるのか、捕まえて聞きだすか?
それともあと腐れがないように、問答無用で殺すか?
ルシア嬢の兄だけでも確保するか?」
イライアス様が気を使ってくれています。
ですがそのような気遣いは不要です。
私には、いまだに夢の辛い記憶が鮮明に残っています。
何十回何百回と理不尽に殺されてきたのです。
彼らに対する慈悲の心など一片もありません!
それに、生け捕りにする方が、皆殺しよりも難しいです。
特にだれか一人だけを生け捕りにするためには、いちいち確認する必要があり、その度に一歩も二歩も攻撃が遅れます。
それではネイの安全が脅かされます。
ネイの命の方が原因究明よりも優先します。
彼らの殺意の理由など、どうでもいいのです。
国を捨ててでも、私を殺すために追ってきた。
それだけで十分殺す理由になります。
躊躇う理由など何一つありません。
皆殺しにします。
「気にしないでください。
私は母親です。
ネイの命が最優先です。
彼らの事情など関係ありません。
誘いに乗って襲ってきたら殺す。
それで構いません」
「なるほど。
そう言ってもらえれば一番楽だ。
夜に魔境に行く。
そこで魔獣に喰われてくれればそれでよし。
逃げ切るようなら追撃する。
いいな」
「「「「「おう!」」」」」
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