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4話
「姫様、助けに参りました」
聖騎士の武装にそっくりな、でも聖騎士が装備する真銀よりも、はるかに貴重で高価で防御力が高い真金製の騎士装束を装備した者が、デイジーに声をかけた。
本来ならば心からのお礼を言わなければいけないところだが、舌を引き千切られたデイジーには言葉が出せなかった。
そこで、それでもできる精一杯の礼として、貴族令嬢として最上位の礼を示した。
「姫様、失礼」
その態度に不信を感じた真金の騎士は、無礼を承知で近づき、そっと優しくデイジーの下顎に手を添え、口を開けさせた。
デイジーは舌を引き千切られた時の恐怖が蘇って、口を閉じそうになるのを必死で耐えた。
ここで口を閉じれば、命の恩人を疑っていることになる。
恐怖で脂汗が流れ、ガタガタと手足が震えても、必死で口を開け続けた。
「失礼いたしました」
真金の騎士は、デイジーの恐怖の原因を知り、心から詫びた。
詫びると同時に、怒りに気を失いそうになった。
この城を吹き飛ばしたいほどの怒りで一杯だったが、全身全霊の精神力でその怒りと破壊衝動を抑え込んだ。
そんな簡単に殺すわけにはいかなかった。
震え泣き叫んで命乞いをさせてから殺さねば、これほど傷つけられたデイジーの恨みは晴らせないと思った。
まず最初に行うのは、眼の前に倒れている糞蟲共の始末だった。
こいつらも直ぐには殺さない。
恐怖で精神に異常をきたすくらい追い込んでから殺す。
もしくは殺しては蘇らせて殺す。
この世界で考えられた、ありとあらゆる残虐非道な拷問と処刑を繰り返す。
だが最初にやる事は決まっていた。
しかし真金の騎士は、それをデイジーに見せないくらいの配慮はできる男だった。
真金の騎士は、優しくデイジーをエスコートして、自分の後を追ってきた天馬の引く馬車に入ってもらった。
「姫様。
大変でしたね。
このワインを飲んで落ち着いてください。
私はこの城の掃除をしますから、しばしお待ちください。
いえ、心配しないでください。
直ぐに戻ります」
真金の騎士は、馬車備え付けの魔道具から適度に冷えた赤ワインをとりだした。
それを見たデイジー、自分がとても渇いている事に気がついた。
当然だった。
あまりにもいろいろな事が短期間に起こり過ぎていた。
そこで勧められるままワインを飲んだ。
一杯二杯三杯と飲んでしまうほど、渇き動顛していた。
そしてそのまま眠ってしまった。
それも当然だった。
真金の騎士が勧めたワインは、眠り薬にも使う強力な薬酒だった。
デイジーが深く眠ったのを確かめた真金の騎士は、血の饗宴を開くことにした。
聖騎士の武装にそっくりな、でも聖騎士が装備する真銀よりも、はるかに貴重で高価で防御力が高い真金製の騎士装束を装備した者が、デイジーに声をかけた。
本来ならば心からのお礼を言わなければいけないところだが、舌を引き千切られたデイジーには言葉が出せなかった。
そこで、それでもできる精一杯の礼として、貴族令嬢として最上位の礼を示した。
「姫様、失礼」
その態度に不信を感じた真金の騎士は、無礼を承知で近づき、そっと優しくデイジーの下顎に手を添え、口を開けさせた。
デイジーは舌を引き千切られた時の恐怖が蘇って、口を閉じそうになるのを必死で耐えた。
ここで口を閉じれば、命の恩人を疑っていることになる。
恐怖で脂汗が流れ、ガタガタと手足が震えても、必死で口を開け続けた。
「失礼いたしました」
真金の騎士は、デイジーの恐怖の原因を知り、心から詫びた。
詫びると同時に、怒りに気を失いそうになった。
この城を吹き飛ばしたいほどの怒りで一杯だったが、全身全霊の精神力でその怒りと破壊衝動を抑え込んだ。
そんな簡単に殺すわけにはいかなかった。
震え泣き叫んで命乞いをさせてから殺さねば、これほど傷つけられたデイジーの恨みは晴らせないと思った。
まず最初に行うのは、眼の前に倒れている糞蟲共の始末だった。
こいつらも直ぐには殺さない。
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もしくは殺しては蘇らせて殺す。
この世界で考えられた、ありとあらゆる残虐非道な拷問と処刑を繰り返す。
だが最初にやる事は決まっていた。
しかし真金の騎士は、それをデイジーに見せないくらいの配慮はできる男だった。
真金の騎士は、優しくデイジーをエスコートして、自分の後を追ってきた天馬の引く馬車に入ってもらった。
「姫様。
大変でしたね。
このワインを飲んで落ち着いてください。
私はこの城の掃除をしますから、しばしお待ちください。
いえ、心配しないでください。
直ぐに戻ります」
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当然だった。
あまりにもいろいろな事が短期間に起こり過ぎていた。
そこで勧められるままワインを飲んだ。
一杯二杯三杯と飲んでしまうほど、渇き動顛していた。
そしてそのまま眠ってしまった。
それも当然だった。
真金の騎士が勧めたワインは、眠り薬にも使う強力な薬酒だった。
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