四代目 豊臣秀勝

克全

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第一章

山崎合戦

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 秀吉も丹羽長秀も、長年信長に仕えてきただけに、保身の術にも長けていた。
 信孝の口出しは防いだ上で、信長三男を邪険にすることなく、立てる所は立てた。
 信長公を仇討ちする兄弟として、信孝と於次公を並び立たせたのだ。
 曾我兄弟の仇討ちを知る武将達には、とても受けのよい処置であったので、秀吉の人望は更に増した。
 一万六千から四千に激減したとは言え、多くの兵力を持つ三好信孝を好きにさせるわけにはいかない。
 明智光秀に味方する事はないだろうが、敵前逃亡でもされたら、軍が友崩れを起こして崩壊してしまう。
 そこで丹羽長秀と蜂屋頼隆に監視役と部隊指揮を任せた。
 織田家の宿老として、信長が若年の頃から仕え戦い続けてきた、丹羽長秀の部隊指揮能力に些かの不安もなかった。
 いよいよ戦機が高まり、秀吉軍と光秀軍の合戦が始まろうとしていた。
 多くの人が、秀吉が勝つと判断したのか、それとも信孝と秀勝の仇討ちに感銘を受けたのか、秀吉軍には続々と人が集まっていた。
 一方光秀には遅々として味方が集まらなかった。
 秀吉軍四万に対して、光秀軍は一万を少し超える程度だった。
 十一日の夜に、高山右近・中川清秀たちが最前線となる山崎の集落を占拠して陣を築いた。
 池田恒興・池田元助・加藤光泰たちがその右翼に陣を築いた。
 羽柴秀長・木下与一郎・黒田孝高・神子田正治たちが、天王山山裾の旧西国街道に沿って陣を築いた。
 秀吉の本陣は更に後方の宝積寺に置かれ、急いで陣地化した。
 十二日に両軍は円明寺川を挟んで対陣した。
 明智光秀は御坊塚に本陣を築いた。
 光秀の本陣前には、斎藤利三と阿閉貞征が布陣した。
 河内衆と旧幕府衆らが、大軍が通過できる唯一の道、天王山と山崎沼の間に蓋をし、迎え討つように東西に布陣した。
 十二日から十三日にかけて、両軍の物見が散発的に遭遇戦や威力偵察戦を繰り返したが、本格的な合戦には発展しなかった。
 十三日の午後四時頃、秀吉軍の中川清秀部隊が、天王山の山裾を横切って、従弟・高山右近の横に布陣すべく、部隊を移動させていた。
 それを好機と捉えた明智軍の伊勢貞興部隊が、攻撃を仕掛けた。
 それを見て動揺する高山右近部隊に、斎藤利三部隊が攻撃を仕掛けた。
 伊勢隊と斎藤隊の火の出るような猛攻に、中川隊と高山隊が窮地に陥った。
 本陣の秀吉は、急ぎ堀秀政部隊を援軍に差し向け、中川隊と高山隊の崩壊を防いだ。
 明智軍は中川隊と高山隊の側面を突こうと、松田政近部隊と並河易家部隊が天王山の中腹を進軍してきた。
 それに対して天王山山麓に布陣していた羽柴秀長部隊・木下与一郎部隊・黒田孝高部隊・神子田正治部隊が前進した。
 これによって明智軍の側面攻撃は防がれた。
 天下を分ける合戦の攻防は二時間近く一進一退を繰り返したが、大きく戦況が動く時が来た。
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