23 / 103
第一章
山崎合戦
しおりを挟む
秀吉も丹羽長秀も、長年信長に仕えてきただけに、保身の術にも長けていた。
信孝の口出しは防いだ上で、信長三男を邪険にすることなく、立てる所は立てた。
信長公を仇討ちする兄弟として、信孝と於次公を並び立たせたのだ。
曾我兄弟の仇討ちを知る武将達には、とても受けのよい処置であったので、秀吉の人望は更に増した。
一万六千から四千に激減したとは言え、多くの兵力を持つ三好信孝を好きにさせるわけにはいかない。
明智光秀に味方する事はないだろうが、敵前逃亡でもされたら、軍が友崩れを起こして崩壊してしまう。
そこで丹羽長秀と蜂屋頼隆に監視役と部隊指揮を任せた。
織田家の宿老として、信長が若年の頃から仕え戦い続けてきた、丹羽長秀の部隊指揮能力に些かの不安もなかった。
いよいよ戦機が高まり、秀吉軍と光秀軍の合戦が始まろうとしていた。
多くの人が、秀吉が勝つと判断したのか、それとも信孝と秀勝の仇討ちに感銘を受けたのか、秀吉軍には続々と人が集まっていた。
一方光秀には遅々として味方が集まらなかった。
秀吉軍四万に対して、光秀軍は一万を少し超える程度だった。
十一日の夜に、高山右近・中川清秀たちが最前線となる山崎の集落を占拠して陣を築いた。
池田恒興・池田元助・加藤光泰たちがその右翼に陣を築いた。
羽柴秀長・木下与一郎・黒田孝高・神子田正治たちが、天王山山裾の旧西国街道に沿って陣を築いた。
秀吉の本陣は更に後方の宝積寺に置かれ、急いで陣地化した。
十二日に両軍は円明寺川を挟んで対陣した。
明智光秀は御坊塚に本陣を築いた。
光秀の本陣前には、斎藤利三と阿閉貞征が布陣した。
河内衆と旧幕府衆らが、大軍が通過できる唯一の道、天王山と山崎沼の間に蓋をし、迎え討つように東西に布陣した。
十二日から十三日にかけて、両軍の物見が散発的に遭遇戦や威力偵察戦を繰り返したが、本格的な合戦には発展しなかった。
十三日の午後四時頃、秀吉軍の中川清秀部隊が、天王山の山裾を横切って、従弟・高山右近の横に布陣すべく、部隊を移動させていた。
それを好機と捉えた明智軍の伊勢貞興部隊が、攻撃を仕掛けた。
それを見て動揺する高山右近部隊に、斎藤利三部隊が攻撃を仕掛けた。
伊勢隊と斎藤隊の火の出るような猛攻に、中川隊と高山隊が窮地に陥った。
本陣の秀吉は、急ぎ堀秀政部隊を援軍に差し向け、中川隊と高山隊の崩壊を防いだ。
明智軍は中川隊と高山隊の側面を突こうと、松田政近部隊と並河易家部隊が天王山の中腹を進軍してきた。
それに対して天王山山麓に布陣していた羽柴秀長部隊・木下与一郎部隊・黒田孝高部隊・神子田正治部隊が前進した。
これによって明智軍の側面攻撃は防がれた。
天下を分ける合戦の攻防は二時間近く一進一退を繰り返したが、大きく戦況が動く時が来た。
信孝の口出しは防いだ上で、信長三男を邪険にすることなく、立てる所は立てた。
信長公を仇討ちする兄弟として、信孝と於次公を並び立たせたのだ。
曾我兄弟の仇討ちを知る武将達には、とても受けのよい処置であったので、秀吉の人望は更に増した。
一万六千から四千に激減したとは言え、多くの兵力を持つ三好信孝を好きにさせるわけにはいかない。
明智光秀に味方する事はないだろうが、敵前逃亡でもされたら、軍が友崩れを起こして崩壊してしまう。
そこで丹羽長秀と蜂屋頼隆に監視役と部隊指揮を任せた。
織田家の宿老として、信長が若年の頃から仕え戦い続けてきた、丹羽長秀の部隊指揮能力に些かの不安もなかった。
いよいよ戦機が高まり、秀吉軍と光秀軍の合戦が始まろうとしていた。
多くの人が、秀吉が勝つと判断したのか、それとも信孝と秀勝の仇討ちに感銘を受けたのか、秀吉軍には続々と人が集まっていた。
一方光秀には遅々として味方が集まらなかった。
秀吉軍四万に対して、光秀軍は一万を少し超える程度だった。
十一日の夜に、高山右近・中川清秀たちが最前線となる山崎の集落を占拠して陣を築いた。
池田恒興・池田元助・加藤光泰たちがその右翼に陣を築いた。
羽柴秀長・木下与一郎・黒田孝高・神子田正治たちが、天王山山裾の旧西国街道に沿って陣を築いた。
秀吉の本陣は更に後方の宝積寺に置かれ、急いで陣地化した。
十二日に両軍は円明寺川を挟んで対陣した。
明智光秀は御坊塚に本陣を築いた。
光秀の本陣前には、斎藤利三と阿閉貞征が布陣した。
河内衆と旧幕府衆らが、大軍が通過できる唯一の道、天王山と山崎沼の間に蓋をし、迎え討つように東西に布陣した。
十二日から十三日にかけて、両軍の物見が散発的に遭遇戦や威力偵察戦を繰り返したが、本格的な合戦には発展しなかった。
十三日の午後四時頃、秀吉軍の中川清秀部隊が、天王山の山裾を横切って、従弟・高山右近の横に布陣すべく、部隊を移動させていた。
それを好機と捉えた明智軍の伊勢貞興部隊が、攻撃を仕掛けた。
それを見て動揺する高山右近部隊に、斎藤利三部隊が攻撃を仕掛けた。
伊勢隊と斎藤隊の火の出るような猛攻に、中川隊と高山隊が窮地に陥った。
本陣の秀吉は、急ぎ堀秀政部隊を援軍に差し向け、中川隊と高山隊の崩壊を防いだ。
明智軍は中川隊と高山隊の側面を突こうと、松田政近部隊と並河易家部隊が天王山の中腹を進軍してきた。
それに対して天王山山麓に布陣していた羽柴秀長部隊・木下与一郎部隊・黒田孝高部隊・神子田正治部隊が前進した。
これによって明智軍の側面攻撃は防がれた。
天下を分ける合戦の攻防は二時間近く一進一退を繰り返したが、大きく戦況が動く時が来た。
24
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【アラウコの叫び 】第1巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日07:20投稿】 1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
また動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
対ソ戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。
前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。
未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!?
小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!
幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。
克全
歴史・時代
西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。
幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。
北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。
清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。
色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。
一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。
印旛沼開拓は成功するのか?
蝦夷開拓は成功するのか?
オロシャとは戦争になるのか?
蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか?
それともオロシャになるのか?
西洋帆船は導入されるのか?
幕府は開国に踏み切れるのか?
アイヌとの関係はどうなるのか?
幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?
【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎週月曜07:20投稿】
3巻からは戦争編になります。
戦物語に関心のある方は、ここから読み始めるのも良いかもしれません。
※1、2巻は序章的な物語、伝承、風土や生活等事を扱っています。
1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる