愛孫と婚約破棄して性奴隷にするだと?!

克全

文字の大きさ
4 / 48
第一章

第3話:サザーランド公爵対ミア王女

しおりを挟む
神暦3103年王国暦255年1月1日17時:ジャクスティン視点

「そいつは俺の物だ!」

 ミア王女がいきなりジェネシスの首に咬みつこうとしやがった!

「じゃまましいわ!」

 俺様の初孫に手を出す奴は誰であろうと容赦しない!
 王女であろうと問答無用でブチ殺す!

「ギャッ、フン!」

 俺様の前蹴りとも回し蹴りとも言えない、最短距離の蹴りを顎に受けて、ミア王女が吹き飛んだ。
 下顎骨を粉砕した手ごたえがあるから、もう番の印はつけられないだろう。

「王女様に手助けしろ!」
「ギャッフ!」
「恨み重なるサザーランド公爵をぶちのめせ!」
「ゲッフ!」
「一度にか、グアッフ!」

 ほんの僅かでも敵対の素振りを見せた者は容赦なくぶちのめす。
 番の印がつけられないように、顎を砕き牙を折る!

「セイント、自分の息子くらい自分で護れ!」

「はい、父上」

 オメガ落ちしてしまったら、自分の息子でも襲うのが人間の性だが、セイントは理性を保つことができるようだ。
 これならジェネシスを任せる事ができるだろう。

「オリビア、ジェネシスを護る気があるならあそこに突っ込め!
 正気を失いそうなら俺様がぶちのめしてやる!」

「御冗談を、てめえら覚悟しやがれ!
 あたしの甥っ子に手出しする奴は殺す!」

 オリビアが一塊になって襲ってくる貴族達に突っ込んでいった。
 流石俺様の娘だけあって理性が強いだけでなく血の気も多い。
 
「ギャッ、グッ、ガッ、ゴッ、ゲッ、ゴッホ」

 立て続けに襲ってきた下級貴族達を問答無用で返り討ちにしてやった。
 顎や牙だけを狙っていたら効率が悪い。
 もっとも効率の良い場所を叩いて戦力を削ぎ、その後で牙をへし折る!
 
「アルファの象徴である牙をへし折られたい奴からかかってこい!」

「「「「「ウッ」」」」」

 アルファの象徴である牙を折られる事は、途轍もない恥となる。
 ベータやガンマが表だって馬鹿にする事はないが、陰で何を言われる事か。
 一時的に支配力が低下してしまうので、オメガに逃げられてしまうかもしれない。

「おのれ、公爵といえども王女に逆らうとは何事だ!
 それにジェネシスは元々俺の婚約者だ!
 オメガ落ちした以上、アルファになった俺の性奴隷にするのが道理だ!
 これ以上邪魔するなら公爵位を剥奪してぶち殺すぞ!」

 ほう、あの一撃を受けてすぐに立ち直ったばかりか、俺様の殺気を正面から受けているのに喧嘩を売ってくる。
 アルファの中でも相当の才能を持っているな。

「アルファに成ったばかりの尻の青いガキが一人前の口を利くな!」

 とはいえ、才能を磨いた事もなければ実戦経験もないクソガキだ。
 才能が開花する前に殺してしまえば何の問題もない。

「サザーランド公爵、王女の非礼は詫びる、この通りだ」

 百戦錬磨の女狐め、俺様が王女を殺す気になったのが分かったようだ。
 五十四歳にしてやっと生まれた血を分けた後継者だ。
 俺様に殺されて失うくらいなら、頭を下げた方が良いと決断しやがった。

「女王陛下?!
 陛下ともあろう御方が家臣に頭を下げるなど!」

「黙れ、愚か者!
 余が女王でいられるのは、サザーランド公爵が簒奪しなかったからだ!
 王家の血筋に配慮して、遥かに力の落とる余を立ててくれているのだ!
 それも分からぬ愚か者が!
 長年肩を並べて魔獣と戦い続けている我らの事に口出しするな!」

 確かに、女王が俺様より弱いのは間違いない。
 だが、他の高位貴族達に劣るわけではない。
 一対一ならこの国で俺の次に強いのは女王だ。

「サザーランド公爵、これまでの忠誠心に応えて、オメガ落ちしたジェネシスを連れ帰る事を許したが、婚約者だったミアの気持ちも分かってやってくれ。
 どうだろう、今日サザーランド公爵が献上してくれたオメガを下賜しよう。
 その代わりジェネシスを献上してくれないだろうか?」

「女王陛下、私にはもう二人も後継者がいます。
 三十二で伯爵位を授かる長男と、十八で准男爵を授かる長女です。
 まだまだ才能が有り、これからも実力を高める事でしょう。
 この二人なら、その気になれば王位だって狙えます。
 無理にオメガを手に入れて子供を生ませる必要はありません。
 陛下に献上したオメガと初孫では、価値が違い過ぎて話になりません」

「聞いたか、ミア。
 婚約者だったジェネシスが欲しければ、それに見合うモノを手に入れろ。
 実力で劣る時は、他の手段で欲しいものを手に入れるしかないのだ」

 確かに、弱者が強者から欲しいモノを手に入れようと思えば、強者が本当に欲しているモノを知らなければいけない。

 だが、前世の記憶を取り戻してしまった俺が欲するモノは、この世界の常識から大きく違ってしまっているぞ。

「……分かりました、必ず手に入れてみせます」

 くっ、くっ、くっ、くっ、負けず嫌いのようだな。
 その言い方、対価を探すのではなく実力を高めて力尽くで奪う気だ。
 アルファらしい考えだが、その考えが寿命を縮める事になる。

「……ミアは自分の実力を思い知った方が良いだろう。
 今日の成人式はここまでとする。
 ミア、余が直々にアルファの力を全て引き出すための訓練をつけてやる」

 ちっ、邪魔な芽は若い内に摘んでおこうと思ったのに。
 やっと手に入れた後継者を俺様に殺されるのがよほど嫌なのだろう。
 これならしばらくはジェネシスを奪いに襲撃してくる事はないだろう。

「女王陛下、成人式の終わった事ですし、領地に戻って魔獣を狩ってまいります」

 とはいえ、爵位を持つほどの有力なアルファが集まる王都に、オメガ落ちしたジェネシスを置いておくのは危険過ぎる。

「そうか、公爵に預けてある領地には、強力な魔獣を抑える大切な役目がある。
 公爵以外には務まらない重要な役目だ。
 戻ってくれるというのなら引き留める訳にはいかないな」

 俺様を殺したら、王国中が強力な魔獣に襲われると思いださせているな。
 これで多少でも頭の回る貴族は襲撃を思い止まるかもしれない。
 ジェネシスが発情期のフェロモンを出さなければの話しだが……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

処理中です...