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第一章
第7話:姑息な罠
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神暦3103年王国暦255年1月10日13時:ジャクスティン視点
日々恐ろしいくらい倍々で増えている魔力。
前世のラノベにあった強大な魔術が再現できる。
刻々と研ぎ澄まされていく本能が、魔術も使わないのにあらゆるものを知覚する。
「もうしばらくするとリアムがやってくる。
奴なら敵対しないと思うが、念のために用心しておけ」
俺様達は街道の宿場町にある飯屋で食事を取っていた。
それほど大した料理が置いている訳ではないが、馬車を走らせながら冷めた携帯食を口にするよりは、多少汚くても振動のない飯屋で温かい物が食べたかったのだ。
「リアム殿ですか?
ロスリン伯爵家の当主ですよね?」
セイントが聞いてきた。
オリビアは全く思い出せないようだが、何度も会っているだろう?
「そうだ、何度も戦場で肩を並べて戦った事のある戦友だ。
性根の腐った王女の命令で追いかけ来たのだろう」
「ミア王女は父上と戦友を戦わせようとしているのですか?!
何と下劣な!
そのような性根の腐った王女に忠誠を誓うなど真っ平御免です!
公爵家は独立を宣言しましょう!」
「兄上の申される通りです。
王位にふさわしくない者に仕える必要などありません。
本来アルファは天上天下唯我独尊の存在です。
魔獣という存在があるから仕方なく協力しているだけです。
向こうが喧嘩を売ってきているのに、助けてやる義務はありません」
「セイントとオリビアの言う通りだが、今はまだ待て。
リアムが王女の命令通りに俺様を襲うとは限らない。
王女が馬鹿でも、その後ろには女王がいる。
大きな失態にならないように助言や助力をしているはずだ」
「父上がそう申されるのでしたら、先制攻撃は我慢します。
ですが向こうが手を出して来たら、手加減なしで報復します」
「兄上の申される通りです。
後の先が確実に取れるように、十分な準備を整えましょう」
「セイントとオリビアの言う事は分かったし、それでいい。
ジェネシスはどう思う?」
「オメガの僕が話してもいいのですか?」
「構わない、今この場には家族しかいない。
領地に戻って家族にジェネシスがオメガ判定されたと伝えるまでは今まで通りだ」
「では言わせていただきます。
私の知っている王女はそれほど愚かではありません。
アルファになった影響で本能に振り回されているだけだと思います」
「父上、ジェネシスの申す通りだと思います。
私もアルファになってしばらくの間は自分をコントロールできませんでした」
「私も兄上と同じです。
今の王女は本能に振り回されているだけだと思います」
「ジェネシスはよく気がついた。
二人もよくオメガ落ちしたジェネシスの言う事を公平に聞き入れた。
普通のアルファなら、オメガの言う事など歯牙にもかけずに遮っている」
「父上は王女が本能を抑えて何か罠をしかけて来ていると思われるのですか?」
「いや、まだ本能に振り回されているだろう。
だがその事は女王も知っている。
王女が暴発しない程度に抑え込んでいるはずだ。
だとすると、王女には俺達を襲うようにリアムに命じさせ、裏ではリアムに襲撃の中止を命じているだろう。
ただ問題は、中止させただけで終わるのか、その後で別の罠を仕掛けたかだ」
「仕掛けたに違いありません」
「私もそう思います」
「ジェネシスはどう思っているのだ」
「仕掛けていると思います」
「具体的にはどう仕掛ける?」
「私はオメガなので、正式な場所には入れません。
私を生きたまま王城に連れ帰ろうと思えば、お爺様達と引き離しておいて攫うしか方法がないと思うのです。
女王はロスリン伯爵閣下に、お爺様を舞踏会や晩餐会に誘えと命じたのではないでしょうか?」
「ジェネシスのその智謀に期待をかけていたのだが、オメガ落ちしてしまった。
アルファになって本能に振り回され、その智謀を使えなくならない限り、優秀な後継者になっていたと思うのだが、残念だ」
「期待に応えられず申し訳ありません」
「まあ、いい、オメガ落ちして智謀も衰えていたら問題だったが、以前と同じように先が読めるのならベータでもオメガでも同じだ。
城に残って我ら三人の知恵袋になってくれればいい」
「ありがとうございます」
「二人とも聞いていたな」
「「はい」」
「これから領地に帰るまでの間に、近隣の貴族や士族から招待状が届く。
だがそれは友情や好意からではなく、王家の手先となって公爵家の名誉に泥を塗るための策略だ。
全て断るか、罠を逆手にとってぶちのめすかだ!」
「「おう!」」
残念ながら、オメガ落ちしたジェネシスは一緒に叫んでくれなかった。
アルファの俺様達に遠慮してしまうのだから仕方がない。
とはいえ、経絡に魔力を流している影響か、自発性が戻ってきている。
このまま魔力鍛錬を続けていれば、オメガから成人式前の状態に戻れるかもしれない。
あるいは、オメガから別の何かに進化してくれるかもしれない
だが、過度なはしない、最低でもベータになってくれれば万々歳だ!
諦めることなく、根気よく魔力鍛錬をやり続ける!
日々恐ろしいくらい倍々で増えている魔力。
前世のラノベにあった強大な魔術が再現できる。
刻々と研ぎ澄まされていく本能が、魔術も使わないのにあらゆるものを知覚する。
「もうしばらくするとリアムがやってくる。
奴なら敵対しないと思うが、念のために用心しておけ」
俺様達は街道の宿場町にある飯屋で食事を取っていた。
それほど大した料理が置いている訳ではないが、馬車を走らせながら冷めた携帯食を口にするよりは、多少汚くても振動のない飯屋で温かい物が食べたかったのだ。
「リアム殿ですか?
ロスリン伯爵家の当主ですよね?」
セイントが聞いてきた。
オリビアは全く思い出せないようだが、何度も会っているだろう?
「そうだ、何度も戦場で肩を並べて戦った事のある戦友だ。
性根の腐った王女の命令で追いかけ来たのだろう」
「ミア王女は父上と戦友を戦わせようとしているのですか?!
何と下劣な!
そのような性根の腐った王女に忠誠を誓うなど真っ平御免です!
公爵家は独立を宣言しましょう!」
「兄上の申される通りです。
王位にふさわしくない者に仕える必要などありません。
本来アルファは天上天下唯我独尊の存在です。
魔獣という存在があるから仕方なく協力しているだけです。
向こうが喧嘩を売ってきているのに、助けてやる義務はありません」
「セイントとオリビアの言う通りだが、今はまだ待て。
リアムが王女の命令通りに俺様を襲うとは限らない。
王女が馬鹿でも、その後ろには女王がいる。
大きな失態にならないように助言や助力をしているはずだ」
「父上がそう申されるのでしたら、先制攻撃は我慢します。
ですが向こうが手を出して来たら、手加減なしで報復します」
「兄上の申される通りです。
後の先が確実に取れるように、十分な準備を整えましょう」
「セイントとオリビアの言う事は分かったし、それでいい。
ジェネシスはどう思う?」
「オメガの僕が話してもいいのですか?」
「構わない、今この場には家族しかいない。
領地に戻って家族にジェネシスがオメガ判定されたと伝えるまでは今まで通りだ」
「では言わせていただきます。
私の知っている王女はそれほど愚かではありません。
アルファになった影響で本能に振り回されているだけだと思います」
「父上、ジェネシスの申す通りだと思います。
私もアルファになってしばらくの間は自分をコントロールできませんでした」
「私も兄上と同じです。
今の王女は本能に振り回されているだけだと思います」
「ジェネシスはよく気がついた。
二人もよくオメガ落ちしたジェネシスの言う事を公平に聞き入れた。
普通のアルファなら、オメガの言う事など歯牙にもかけずに遮っている」
「父上は王女が本能を抑えて何か罠をしかけて来ていると思われるのですか?」
「いや、まだ本能に振り回されているだろう。
だがその事は女王も知っている。
王女が暴発しない程度に抑え込んでいるはずだ。
だとすると、王女には俺達を襲うようにリアムに命じさせ、裏ではリアムに襲撃の中止を命じているだろう。
ただ問題は、中止させただけで終わるのか、その後で別の罠を仕掛けたかだ」
「仕掛けたに違いありません」
「私もそう思います」
「ジェネシスはどう思っているのだ」
「仕掛けていると思います」
「具体的にはどう仕掛ける?」
「私はオメガなので、正式な場所には入れません。
私を生きたまま王城に連れ帰ろうと思えば、お爺様達と引き離しておいて攫うしか方法がないと思うのです。
女王はロスリン伯爵閣下に、お爺様を舞踏会や晩餐会に誘えと命じたのではないでしょうか?」
「ジェネシスのその智謀に期待をかけていたのだが、オメガ落ちしてしまった。
アルファになって本能に振り回され、その智謀を使えなくならない限り、優秀な後継者になっていたと思うのだが、残念だ」
「期待に応えられず申し訳ありません」
「まあ、いい、オメガ落ちして智謀も衰えていたら問題だったが、以前と同じように先が読めるのならベータでもオメガでも同じだ。
城に残って我ら三人の知恵袋になってくれればいい」
「ありがとうございます」
「二人とも聞いていたな」
「「はい」」
「これから領地に帰るまでの間に、近隣の貴族や士族から招待状が届く。
だがそれは友情や好意からではなく、王家の手先となって公爵家の名誉に泥を塗るための策略だ。
全て断るか、罠を逆手にとってぶちのめすかだ!」
「「おう!」」
残念ながら、オメガ落ちしたジェネシスは一緒に叫んでくれなかった。
アルファの俺様達に遠慮してしまうのだから仕方がない。
とはいえ、経絡に魔力を流している影響か、自発性が戻ってきている。
このまま魔力鍛錬を続けていれば、オメガから成人式前の状態に戻れるかもしれない。
あるいは、オメガから別の何かに進化してくれるかもしれない
だが、過度なはしない、最低でもベータになってくれれば万々歳だ!
諦めることなく、根気よく魔力鍛錬をやり続ける!
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