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第一章
第9話:差別
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神暦3103年王国暦255年1月11日20時:ジャクスティン視点
昨日とは打って変わって、反吐が出るほど居心地の悪い空間だ。
身分で区別するのではなく、血族かどうかで差別をしていやがる!
博愛主義の俺様でも、最低限アルファとベータの差はつけているぞ!
「サザーランド公爵閣下、マーガデール男爵の二十二男エブリンと申します。
何分宜しくお願い申し上げます」
他の貴族の領内統治に口出しをしないのは王侯貴族の不文律だ。
とはいえ、ベータが声も掛けられていない高位貴族に先に声をかけるのは、とんでもない無礼だぞ!
「サザーランド公爵、公爵が王城内で行われた常識破りに比べれば、男爵の私が領内で多少の無礼を許す事など大した事ではない、そう思うのですが、違いますか?」
俺様がベータ落ちしている平民のエブリンをぶち殺そうとした途端、様子をうかがっていたマーガデール男爵が声をかけてきやがった。
「そうだな、俺様が王城内でやった事を考えれば、その程度の事は許される。
俺様が女王に働いた無礼に比べれば、領主である男爵が領内の身分を独自の定めにするくらい大したことはないな。
俺様にその身分差を押し付けない限り!」
「サザーランド公爵が、王侯貴族共通の定めを守るべき王城内で、他の貴族に非常識な身分差を強要された事は、どう言い訳されるのですか?」
「マーガデール男爵の言い分は間違っている。
俺様は今年に限って王城内で非常識をやったわけではない。
女王に頼まれてここ十五年は成人式で見つかったオメガを女王に引き渡してきた。
十五年も続ければ非常識ではなく成人式の常識になっている」
「真実はそうかもしれませんが、女王陛下が否定されればサザーランド公爵が勝手にやった事になりますよ」
「女王がそこまで身勝手を押し通すのなら、俺様も身勝手を押し通す。
王国からの分離独立だけで済ませてやろうと思っていたが、宣戦布告をしてウェリントン王家滅ぼしてやることにする。
そのきっかけをマーガデール男爵が与えてくれた事を感謝するよ」
「何もそんな簡単に王家との戦争を決める事はありません。
もっとゆっくり考えられた方が良いのではありませんか?」
「なあに、どうせマーガデール男爵に決闘を申し込むのだ。
王女の手先になっている小者だけを皆殺しにしても意味がない。
どうせなら黒幕である王女と保護者の女王を殺してしまった方が、何度も嫌な思いをするよりずっといい」
「申し訳ありませんでした!
王家の力を借りて調子に乗っていました!
もう二度とサザーランド公爵に逆らいません!
どうか命ばかりはお助け下さい!」
「ここまで堂々と喧嘩を売っていたのに、今更芋を引くなよ。
アルファなら最後まで堂々と自分の群れを護れやがれ!」
「自分の群れを護りたいから謝っているのです。
ベータであろうとオメガであろうと大切な私の子供です。
女王に性奴隷として奪われた子供を返してくれると言われれば、多少の無理はしますが、他の子供達を皆殺しにすると言われれば諦めるしかありません」
「俺様が確保して女王に引き渡したオメガの一人か……」
「そうです、サザーランド公爵が私をぶちのめして奪って行きました。
私の力で王侯貴族の争奪戦を勝ち抜いて我が子を守り切れたとは思いません。
ですが、サザーランド公爵がいなければ万が一の可能性はありました」
「そんな事を言われたら、そのガキも男爵も殺せなくなってしまうな」
「サザーランド公爵ならそう言ってくださると思っていました」
「王女と男爵が仕掛けた罠はぶち壊したから、もうこれ以上ここに引き付けている意味もなくなったぞ」
「王女の誘拐部隊は失敗したのですね。
サザーランド公爵の騎兵達は優秀なようですね」
男爵は大きな勘違いをしている。
確かによほど優秀でなければアルファ騎士で編制された誘拐部隊は撃退できない。
だがいくら優秀なベータ騎兵達でも、アルファ騎士を無傷では捕らえられない。
「俺様が幼い頃から徹底的に鍛えた連中が、獰猛な魔獣を相手に何十年も実戦経験を積んできているのだ。
どれほど才能と能力があっても、努力もせず経験も積んでいないアルファ騎士程度に負けたりはしない」
大嘘だが、これからの事を考えれば騙しておいた方が良い。
少しでも向うの動きを遅らせるためには、アルファ騎士に負けないベータ騎兵がいると思わせた方が良い。
「これはますますサザーランド公爵に逆らえなくなりますね。
これで女王のハーレムに捕らえられているオメガ家族を取り返してくださると言うのなら、家族思いの王侯貴族は進んでお味方する事でしょう」
表面的には根性なしに思える男爵だが、実際にはかなり強かだ。
士族の騎士や准男爵で終わらず、貴族の男爵に成りあがっているのだ。
士族とは一線を引く強さがあるのだ。
「男爵と同じ考えの王侯貴族を纏めてくれるのなら、男爵の家族を最優先で助けてやってもいいが、どうする?」
「そう言ってくださると思って、既にリストを作らせて頂いています。
ハーレムに捕らえられている家族が、どのあたりの部屋で寝泊まりしているかも調べてありますので、その気になっていただけたらお渡しします」
「今は領地に帰る途中だからまだいい。
今度領地から出る時か、男爵どうしても家族を助けて欲しい時に渡してもらおう」
「……その時を心待ちにさせて頂きます」
昨日とは打って変わって、反吐が出るほど居心地の悪い空間だ。
身分で区別するのではなく、血族かどうかで差別をしていやがる!
博愛主義の俺様でも、最低限アルファとベータの差はつけているぞ!
「サザーランド公爵閣下、マーガデール男爵の二十二男エブリンと申します。
何分宜しくお願い申し上げます」
他の貴族の領内統治に口出しをしないのは王侯貴族の不文律だ。
とはいえ、ベータが声も掛けられていない高位貴族に先に声をかけるのは、とんでもない無礼だぞ!
「サザーランド公爵、公爵が王城内で行われた常識破りに比べれば、男爵の私が領内で多少の無礼を許す事など大した事ではない、そう思うのですが、違いますか?」
俺様がベータ落ちしている平民のエブリンをぶち殺そうとした途端、様子をうかがっていたマーガデール男爵が声をかけてきやがった。
「そうだな、俺様が王城内でやった事を考えれば、その程度の事は許される。
俺様が女王に働いた無礼に比べれば、領主である男爵が領内の身分を独自の定めにするくらい大したことはないな。
俺様にその身分差を押し付けない限り!」
「サザーランド公爵が、王侯貴族共通の定めを守るべき王城内で、他の貴族に非常識な身分差を強要された事は、どう言い訳されるのですか?」
「マーガデール男爵の言い分は間違っている。
俺様は今年に限って王城内で非常識をやったわけではない。
女王に頼まれてここ十五年は成人式で見つかったオメガを女王に引き渡してきた。
十五年も続ければ非常識ではなく成人式の常識になっている」
「真実はそうかもしれませんが、女王陛下が否定されればサザーランド公爵が勝手にやった事になりますよ」
「女王がそこまで身勝手を押し通すのなら、俺様も身勝手を押し通す。
王国からの分離独立だけで済ませてやろうと思っていたが、宣戦布告をしてウェリントン王家滅ぼしてやることにする。
そのきっかけをマーガデール男爵が与えてくれた事を感謝するよ」
「何もそんな簡単に王家との戦争を決める事はありません。
もっとゆっくり考えられた方が良いのではありませんか?」
「なあに、どうせマーガデール男爵に決闘を申し込むのだ。
王女の手先になっている小者だけを皆殺しにしても意味がない。
どうせなら黒幕である王女と保護者の女王を殺してしまった方が、何度も嫌な思いをするよりずっといい」
「申し訳ありませんでした!
王家の力を借りて調子に乗っていました!
もう二度とサザーランド公爵に逆らいません!
どうか命ばかりはお助け下さい!」
「ここまで堂々と喧嘩を売っていたのに、今更芋を引くなよ。
アルファなら最後まで堂々と自分の群れを護れやがれ!」
「自分の群れを護りたいから謝っているのです。
ベータであろうとオメガであろうと大切な私の子供です。
女王に性奴隷として奪われた子供を返してくれると言われれば、多少の無理はしますが、他の子供達を皆殺しにすると言われれば諦めるしかありません」
「俺様が確保して女王に引き渡したオメガの一人か……」
「そうです、サザーランド公爵が私をぶちのめして奪って行きました。
私の力で王侯貴族の争奪戦を勝ち抜いて我が子を守り切れたとは思いません。
ですが、サザーランド公爵がいなければ万が一の可能性はありました」
「そんな事を言われたら、そのガキも男爵も殺せなくなってしまうな」
「サザーランド公爵ならそう言ってくださると思っていました」
「王女と男爵が仕掛けた罠はぶち壊したから、もうこれ以上ここに引き付けている意味もなくなったぞ」
「王女の誘拐部隊は失敗したのですね。
サザーランド公爵の騎兵達は優秀なようですね」
男爵は大きな勘違いをしている。
確かによほど優秀でなければアルファ騎士で編制された誘拐部隊は撃退できない。
だがいくら優秀なベータ騎兵達でも、アルファ騎士を無傷では捕らえられない。
「俺様が幼い頃から徹底的に鍛えた連中が、獰猛な魔獣を相手に何十年も実戦経験を積んできているのだ。
どれほど才能と能力があっても、努力もせず経験も積んでいないアルファ騎士程度に負けたりはしない」
大嘘だが、これからの事を考えれば騙しておいた方が良い。
少しでも向うの動きを遅らせるためには、アルファ騎士に負けないベータ騎兵がいると思わせた方が良い。
「これはますますサザーランド公爵に逆らえなくなりますね。
これで女王のハーレムに捕らえられているオメガ家族を取り返してくださると言うのなら、家族思いの王侯貴族は進んでお味方する事でしょう」
表面的には根性なしに思える男爵だが、実際にはかなり強かだ。
士族の騎士や准男爵で終わらず、貴族の男爵に成りあがっているのだ。
士族とは一線を引く強さがあるのだ。
「男爵と同じ考えの王侯貴族を纏めてくれるのなら、男爵の家族を最優先で助けてやってもいいが、どうする?」
「そう言ってくださると思って、既にリストを作らせて頂いています。
ハーレムに捕らえられている家族が、どのあたりの部屋で寝泊まりしているかも調べてありますので、その気になっていただけたらお渡しします」
「今は領地に帰る途中だからまだいい。
今度領地から出る時か、男爵どうしても家族を助けて欲しい時に渡してもらおう」
「……その時を心待ちにさせて頂きます」
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