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24話

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「フェルドナンド殿の情報は集まりましたか?」

「完全ではありませんし、精度も低いですが、多少集まっております」

「精度が低くても構いません。
 報告してください」

「はい、マイロード。
 フェルドナンド殿はサンアリステラ皇国の先々代皇帝の末子だそうです」

「やはり皇族でしたか。
 続けてください」

「はい、マイロード。
 フェルドナンド殿は、当時の皇帝が湯殿番の女官に手を付けて産ませたそうです」

「湯殿番ですか。
 身分は低そうですね」

「はい、マイロード。
 一応士族ですが、騎乗資格もない徒士の娘だそうです」

「後宮に奉公できる最下級ですか。
 よく処分されませんでしたね」

「手を付けて直ぐに、フェルドナンド殿の父親である先々代皇帝が亡くなられ、先代皇帝が戴冠されたのです」

「なるほど、そういう事ですか。
 即位直後に父親の子供、自分の弟を殺すにはさすがに躊躇われたのですね」

「はい、マイロード。
 戴冠という恩赦を出すほどの慶事を、血で穢すなど幸先が悪すぎますので。
 そこで湯殿番だった母親に伯爵夫人の爵位を与え、辺境の忘れ去られた離宮を与えたのだそうでございます」

「恩で縛ろうとしたのか、それとも事実上の追放か、判断が難しいですね」

「はい、マイロード。
 精度の低い情報ですが、血塗られることの多い皇位継承を考えれば、温情深い対応だと、サンアリステラ皇国では考えられていたそうでございます」

「だがそれではすまなかった。
 フェルドナンド殿の魔力が強大すぎた。
 そういう事ですか?」

「ここからは噂が多岐にわたり、推測するのも難しい状態でございます」

「どういう噂なのですか?」

「フェルドナンド殿の魔力の強大さに危機感を覚えた母親が、学院に入学させたという噂もあれば、当時の皇太子、現皇帝が恐れてむりやり学院に入学させたという噂。
 恐れて入学させたの前皇帝だったという噂もあれば、多くの有力貴族の名前があげられるものまで、推測すら不可能なほど多くの噂が流れております」

「分かりました。
 誰が学院に入学させたかという噂はいいです。
 フェルドナンド殿を殺そうとしている者の噂はありますか?」

「これも同じです、マイロード。
 現皇帝から有力家臣まで、多くの者が噂されています。
 ただ逆に、フェルドナンド殿を助けようとしている者がいるという噂もあります。
 それも現皇帝から有力家臣まで名前が挙がっています」

 困りましたね。
 フェルドナンド殿の敵が分からないと、フェルドナンド殿に味方するべきか敵に回すべきかの判断すらできません。
 お金がいくらかかっても構いません。
 手柄を立ててくれた者は、我が家の家臣に取立てます。
 集められるだけの情報を集めてください」

「はい、マイロード」
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