妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢の言い分

克全

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37話

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 正直忙しい一年でした。
 公爵家当主から、一気に三カ国の女王となったのです。
 暇なわけがないのです。
 私の願いなど関係なく、運命が私を三カ国の女王とした以上、その責任を全うしなければいけません。
 それが王侯貴族に生まれた者の義務です。

 それに、愚かな為政者になったとたん、フェルドナンドに狙われます。
 この一年の付き合いで、フェルドナンドの性格性質が結構わかりました。
 フェルドナンドは現実的な理想主義者なのです。
 矛盾した言葉のようですが、そうとしか表現のしようがありません。

 フェルドナンドには明確な理想像があるようです。
 理想像があるのは私と同じですが、理想の内容は違います。
 同時に現実主義者なので、遠い理想を実現させるために、現実を堅実確実に変えていきます。

 できもしない理想を掲げてわめき散らし、周りに迷惑被害を与える害悪とは違って、少しずつ現実を理想に近づけるのです。
 その点は私と同じですが、理想像が違いますから、いつか対立する時がきます。
 でもそれまでは手を携えていけます。
 
 理想の違いが大きくなって、別々の道を歩むようになったら、細心の注意が必要になりますが、何とかなると思えるようになりました。
 私がよき女王である限り、フェルドナンドは私を滅ぼさないと確信できます。
 理由は簡単です。
 私よりも悪い政治を怒っている王や国が沢山あるからです。
 私よりも先に彼らを滅ぼすでしょう。

「リポン侯爵。
 日照り対策はどうなっていますか?」

「代官に創水の魔術書を貸し与えました。
 不作にはならないと思います」

「ですがいつまでも魔術書に頼るわけにもいきませんね。
 遠くの川から水を引く事はできませんか?」

「魔力に頼らず水を引くとなると、大掛かりな工事が必要になります。
 王家王国の費用も莫大になりますが、よろしいのですか?」

「私を試しているのですか?
 民のために集めた税を有効に使うのが王侯貴族の務めです!
 このような場合に使わないで、いつ使うのですか?
 具体的な方策を考えてください」

「承りました」

 フェルドナンドが満足そうです。
 ちょっと腹が立ちます。
 私を試して、理想の答えが返ってきたことに満足しているようです。
 私はフェルドナンドの生徒ではありませんよ!

 でも、まあ、悪い気はしませんね。
 知識も魔力も桁外れのフェルドナンドの試験に合格したのですから。 
 それに、もうそろそろフェルドナンドは学院に帰るはずです。
 約束の一年はとうに過ぎています。

 今フェルドナンドがいてくれるのは、ここにいた方が都合がいいからだけです。
 フェルドナンドの桁はすれの魔力が使えなくなる前提で、これからの政治政策を勧めなければいけません。
 フェルドナンドのお陰で膨大な量の食糧が備蓄されているのです。
 それを有効的に使わなければいけません。
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