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第28話50日目の出来事
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(ねえ、龍ちゃん。
農作業や狩りは、龍ちゃんの神龍鱗兵がやってくれるんだよね?)
(そうだよ。
でも完全に任せきったら、人間の技術が失われるから、できる限り人間にやらせた方がいいんだよ)
(そうなんだ。
だったらダメだね)
(何がダメなんだい?
なんでも相談してくれないと困るよ)
(あのね、龍ちゃん。
全ての人に知識を与えたら、この国がよくなると思ったの。
だけどそれじゃあ、人々が自分で食べ物を作れなくなるんだね)
(いや、別に一日中農作業をしなくていいし、一日中勉強しなくていいんだよ。
一日の三分の二働いて、一日の三分の一勉強すればいいんだよ)
(そっか!
そうすればいいんだ。
ありがとう、龍ちゃん。
なんでも龍ちゃんに相談すればいいんだね)
神龍の心のなかから、人間を滅ぼそうという気持ちはなくなっていた。
シャロンを苦しめた人間達を皆殺しにした事で、憎しむほどの執着すらなくなり、全く人間に興味がなかった。
だから滅ぼうが繁栄しようが、どちらでもよかった。
ごくごく単純に、人間はシャロンを喜ばせ愉しませるだけの道具だった。
今度のシャロンの望みは、人間を賢くする事だった。
シャロンは、自分を単なる道具と考えていた父親から、政略結婚の必要な常識を身につかせるために、家庭教師をつけられていた。
全く愛情のない教育で、利用するための知識しか与えてもらえなかった。
だが稀に参加した夜会やサロンで、母親から愛情一杯の教えを受ける令嬢を見ることがあり、そんな教育を夢見ていた。
そんな教育を、人々に与えてあげたかった。
だが神龍は勘違いしてしまった。
というよりも、人間に愛情などないと考えていた。
神龍族だから、獣の龍や竜のように卵を産んでお終いではないが、それでも獣や鳥のような愛情などない。
わずかな母性はあるが、父性は全くない。
だから人間への教育はとても厳しいモノになる。
問題はほとんどの貴族士族が殺され、知識階層がほぼ壊滅している事だった。
知識を教える教師になれる者が存在しない。
他国の神に頼んで教師を派遣してもらうのは、絶対に嫌だった。
だから自前で何とかしようと、考えに考えた。
思いついたのが、独特の文化と知識を持つ流民の集団を連れてくることだった。
亡国の民や国を追放された一族が、護ってくれる神を探して大陸を放浪している。
運よく神を加護を受けられる者などほとんどいない。
神の守護を受けた国に長居は許されず、時には理不尽に襲われ殺される。
守護神の生贄として狩られる事も多い。
そんな流民を教師役に連れてくることにしたのだ。
農作業や狩りは、龍ちゃんの神龍鱗兵がやってくれるんだよね?)
(そうだよ。
でも完全に任せきったら、人間の技術が失われるから、できる限り人間にやらせた方がいいんだよ)
(そうなんだ。
だったらダメだね)
(何がダメなんだい?
なんでも相談してくれないと困るよ)
(あのね、龍ちゃん。
全ての人に知識を与えたら、この国がよくなると思ったの。
だけどそれじゃあ、人々が自分で食べ物を作れなくなるんだね)
(いや、別に一日中農作業をしなくていいし、一日中勉強しなくていいんだよ。
一日の三分の二働いて、一日の三分の一勉強すればいいんだよ)
(そっか!
そうすればいいんだ。
ありがとう、龍ちゃん。
なんでも龍ちゃんに相談すればいいんだね)
神龍の心のなかから、人間を滅ぼそうという気持ちはなくなっていた。
シャロンを苦しめた人間達を皆殺しにした事で、憎しむほどの執着すらなくなり、全く人間に興味がなかった。
だから滅ぼうが繁栄しようが、どちらでもよかった。
ごくごく単純に、人間はシャロンを喜ばせ愉しませるだけの道具だった。
今度のシャロンの望みは、人間を賢くする事だった。
シャロンは、自分を単なる道具と考えていた父親から、政略結婚の必要な常識を身につかせるために、家庭教師をつけられていた。
全く愛情のない教育で、利用するための知識しか与えてもらえなかった。
だが稀に参加した夜会やサロンで、母親から愛情一杯の教えを受ける令嬢を見ることがあり、そんな教育を夢見ていた。
そんな教育を、人々に与えてあげたかった。
だが神龍は勘違いしてしまった。
というよりも、人間に愛情などないと考えていた。
神龍族だから、獣の龍や竜のように卵を産んでお終いではないが、それでも獣や鳥のような愛情などない。
わずかな母性はあるが、父性は全くない。
だから人間への教育はとても厳しいモノになる。
問題はほとんどの貴族士族が殺され、知識階層がほぼ壊滅している事だった。
知識を教える教師になれる者が存在しない。
他国の神に頼んで教師を派遣してもらうのは、絶対に嫌だった。
だから自前で何とかしようと、考えに考えた。
思いついたのが、独特の文化と知識を持つ流民の集団を連れてくることだった。
亡国の民や国を追放された一族が、護ってくれる神を探して大陸を放浪している。
運よく神を加護を受けられる者などほとんどいない。
神の守護を受けた国に長居は許されず、時には理不尽に襲われ殺される。
守護神の生贄として狩られる事も多い。
そんな流民を教師役に連れてくることにしたのだ。
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